これらは全て精神疾患の親をもつ子ども・若者の言葉です。

精神疾患の親をもつ子どもは、他の子どもと比べて精神疾患を患う確率が、2.5倍高いと言われています。

多くの場合それは親のせいではなく

〇社会に支援がほとんどないこと

〇精神疾患をもつ方やその家族に対する社会の理解が不足していること

といった社会側の要因が大きく影響しています。その結果、当事者の子ども・若者たちは1人で悩みを抱え、精神面・生活面で不安定になりやすいというのが現状です。私たちNPO法人CoCoTELIは学生団体として1年半の間行ってきた活動をパワーアップし、精神疾患の親をもつ子どもが自身のメンタルヘルスに高確率で不調を抱えてしまう問題の解決を目指しプロジェクトを始めます!

このクラウドファンディングの支援者数やみなさんの応援メッセージは当事者の子ども・若者1人1人の希望や勇気につながります。クラウドファンディングを通じて、この活動を一緒に進める仲間になっていただけると嬉しいです!

なぜ2年分なのか、なぜこんなに大きな金額が必要なのか、など詳しいことは文章中に。

ご支援やご拡散は僕たちにとってとっても嬉しいです。しかしそれだけではなく興味を持って、知ることがまずはじめの一歩となり、当事者の子ども・若者が生きやすい社会に繋がります。

みなさんの5分をください。よろしくお願いします。


2001年8月14日

僕は静岡県の浜松市で生まれました。両親と11歳年上の姉。普通の家族でした。
僕が幼稚園に通っていたあるとき、父親がうつ病を発症し、僕の人生は大きく変わりました。父親がうつ病になったことをきっかけに、父親から手が出てきたり、ひどい言葉をかけ続けられたり、父親の心のケアをしたり。そんな経験をしながら生活を続けてきました。

当時はとても苦しかったけど、誰にも相談することはできませんでした。

「自分のような状況に置かれる人は、他にいないのではないか…?」

学校の先生がうつ病になったことを馬鹿にする友達を見て感じた精神疾患に対する偏見の目、友達が家族LINEや旅行の話をしていて感じた周りの家庭と自分の家庭との違い。誰にも相談ができないまま、1人で悩みを抱え、孤独感を感じる毎日。時には友達と喧嘩をしたり悪いことをしたりしてストレス発散をしていました。先生にもよく怒られました。

そんななか、幼稚園の頃に始めたサッカーは、僕にとって心の支えでした。

でもいつしかサッカーも家庭の状況を左右するものに。僕のプレーの調子によって、父親の心が揺れ動く毎日。プレーの結果ひとつで、家庭のなかの安全性が大きく左右される毎日。サッカーをさせてもらっていたことには感謝ですが、本当に苦しかったです。
そんな家庭環境のなかでも、僕がサッカーに没頭することができたのは、叔母の存在があったからです。金銭面でも情緒面でも支えてくれる叔母がいなかったら僕はどうなっていたのだろう。時々そんなことを考えます。

いま考えると『たまたま』両親以外に支えてくれる人がいた。
『運』『偶然』といったものに恵まれていたから僕は今元気に過ごせています。


新型コロナウイルスが流行り始めた2020年4月、僕は両親のもとから離れ、関西大学に進学。自分は大阪で1人暮らしを始めることになりました。1人暮らしを始める前は家族から離れることで楽になれると思っていました。
しかし、そんなことはなかった。次に襲ってきたのは猛烈な罪悪感と実家で何が起きているかわからない恐怖心でした。

入学してすぐ大学がオンラインに。新型コロナウイルス流行の終わりが全く見えない中、想像していたキャンパスライフとは程遠いオンラインの大学生活を送っていました。そんな時僕に『たまたま』の出会いがありました。そしてその出会いが僕の人生を大きく変えました。
それは、同い年で、同じ、『精神疾患の親をもつ友達』との出会いでした。

人生で初めて、自分の家族のことを彼女に話しました。それはもう衝撃的な時間でした。
「同じような経験をしている人がいるんだ。こんな気持ちを人に話していいんだ。え、もうやばい。良かった、、😭😭😭」
その日から自分の家族のことを安心して話せる場所ができ、『1人じゃない』ということに気がつきました。

僕の人生はまた、『たまたま』自分と同じ環境で育った友達と『運』良く、『偶然』出会ったことで、大きく変わりました。
2年半前、初めて自分の家庭のことをしっかりと言葉にした文章はこちら
https://note.com/toi_hirai/n/n5ee54a8699fe


自己紹介


先程の話は本プロジェクトを行うNPO法人CoCoTELIの代表である僕、平井登威の経験です。今、改めて振り返ってみると僕の人生は様々な『運』や『偶然』『たまたま』に恵まれていたなと思います。そして、それがなければどんな人生になっていたかはわかりません。そんななか原体験から精神疾患の親をもつ子ども・若者の居場所づくりを始め多くの当事者と出会ってきました。その中で当事者の子ども・若者を取りまく様々な問題とそれを構成する課題が見えてきました。

私たちCoCoTELIは、2021年の9月から『精神疾患の親をもつ25歳以下の子ども・若者を対象』とした、オンラインの居場所づくりをはじめました。居場所づくりだけでなく、必要によっては、個別相談を行うなど、当事者とのつながりを持ち続けています。それから今まで、当事者として、できる範囲で活動を広げていきながら、当事者約250名ほどと出会い、声を聴かせてもらいました。

そんななか、出会ってきた当事者の子ども・若者の多くが、メンタルヘルスに不安・不調を抱えていました。


実際にCoCoTELIで簡単な調査を行ったところ、アンケートに回答した当事者の約95%(n=23)が、『自身のメンタルヘルスに不安を感じている』ことがわかりました。実際に調べてみると、精神疾患の親をもつ子どもは他の子どもと比べて、『精神疾患の罹患率が2.5倍高い』ということ。そして『子ども全体の15%〜23%が、精神疾患の親をもつ』という衝撃的な研究データを見つけました(※)。

それなのに、彼ら・彼女らのサポートを行う社会資源がほとんどないという現状に、非常に衝撃を受けました。

精神疾患に対する強い偏見

多くの人が『精神疾患に対する強い偏見』を感じたことがあるのではないでしょうか?CoCoTELIで出会う当事者の中にも、精神疾患に対する偏見から「家族の悩みを人に話すことができなかった」という声が多くあります。

このように『精神疾患に対する強い偏見』が、相談をするハードルを上げてしまっています。実際に、この文章を書いている僕も、中学生の頃、友達がうつ病をバカにしているのを聞いたことがあり、家族のことを人に打ち明けることができませんでした。

「家族の問題は、家族で解決するべき」といった風潮

こういった、古くから続く“家族主義”の風潮が、当事者自身が抱える家族の悩みを家族以外の人に相談しづらくさせている現状があります。

自分を取り巻く家族の状況を客観的に認識すること。そして誰かに「助けて」と言うこと。

そのこと自体とてもハードルが高いのではないでしょうか。


当事者を『待つ支援』だけでは足りない

最近、少し似た言葉である『ヤングケアラー』の支援において相談窓口などの設置が進んでいます。

現在の状況のままだと多くの相談窓口が当事者を『待つ』支援。当事者の『自覚』と『助けてと言う勇気』が前提となっています。しかし、自分の家庭環境や状況を自覚する難しさ、この自己責任論が強い社会で「助けて」と言うハードルの高さを考えると相談窓口などの支援に自分からつながることができる当事者はごく僅かなのではないでしょうか?

私たちは、

早い段階から当事者に『社会側から』気付ける仕組みを作ることで、『必要なときに必要なサポートを届けられる仕組みを構築する』

ということの必要性を感じています。

この仕組みを確立することによって、必要なサポート受けることができていれば起きなかったはずの貧困や虐待などの問題が起きるリスクが低下する(より深刻な問題が起きることの予防になる)のではないか?と考えています。

当事者がつながれる、『居場所的役割』をもつ支援団体が少ない

精神疾患の親をもつ子ども・若者をサポートする、社会資源がほとんどないのがいまの日本の現状です。

居場所や支援など、当事者の子ども・若者たちが選べる選択肢が増えていく必要がある。

僕たちはそのように考えています。


当事者が、自分の人生を生きること。必要なときに必要とするサポートを受けられること。


それらが『たまたま』『偶然』『運』といったものに左右されることなく、子どもが子どもらしく。その人がその人らしく。生きることができるために。


活動を進めていきます。

- 本人主体の関わり・居場所 -

『課題を抱える子どもたちと出会ったらすぐ専門家・支援につなげてあげないと!』

そういった声を聞くことがよくあります。

しかし、本当に当事者はみんなそれを望んでいるのでしょうか?


私たちは、大人側が良かれと思った短期的視点が当事者の声を奪っていることを何度も見て・聴いてきました。そして、それがその後の人生で「助けて」という声を上げる力を奪ってしまっていることも感じてきました。

当事者である子ども・若者にも様々なニーズがあります。そして必ずしも支援を求めているとは限りません。まずは当事者と出会い、丁寧に寄り添い過ごし、本人のペースで語れるのを待つことが大切なのではないでしょうか?

その中で愚痴を吐いたり、辛い気持ちを語ったり、その気持ちや悩みの解決策を一緒に整理したり考えたり。そういった日常の関わりの先で当事者の希望に沿って一緒に考える、必要があれば専門家とのつながりを提供するなどのステップがあると考えています。

- 地域関係ないオンラインの居場所 -

現状精神疾患の親をもつ子ども・若者への支援がほとんど無いなか、1つの地域に特化した活動にすることで、住む場所・地域を理由にこぼれ落ちてしまう子ども・若者が多くいます

オンラインというツールを使いながら、住んでいる場所に関係なく、安心できる居場所や、当事者のニーズに合わせた、さまざまなサポートを構築していくことが必要です。今までCoCoTELIの活動で出会った当事者は、北は岩手県、南は鹿児島県までと都市部から地方まで、幅広い地域の当事者とつながっています。

そこで聴いた当事者の声として、都市部では子ども・若者支援の文脈でさまざまな支援を受けられる選択肢がある一方、地方では、まだまだ選択肢が少ない現状があります。

そういった理由から私たちは1stステップとして住む場所・地域が関係ないオンラインでの居場所づくりを行います。

私たちは『居場所』と『支援』は別物であると考えています。居場所が支援前提となることでその場は状況改善が求められる場になり、ありのままの自分で在れる場ではなくなっていくからです。

一方、私たち当事者が、居場所としての役割を担い関係性を構築するなかでさまざまな事情を抱え、現在も苦しんでいる当事者や支援を受けたいと考える当事者とも出会ってきました。

彼ら、彼女らのなかには、住む地域によって、支援者とつながることが難しい、CoCoTELI以外に助けを求めることが難しい、といったこともあります。そんな当事者たちには定期的な支援、定期的に関われる支援者が必要となります。

僕たちは当事者同士の『ピアの関わり』を通した『居場所づくり』は得意ですが、福祉の専門家・支援者が担う『支援』は得意ではありません。

そこで、僕たちCoCoTELI内に福祉の専門家(社会福祉士・精神保健福祉士等)がいる状態を作ることで、居場所と支援、どちらの役割にも対応できる体制を作る必要があると考えています。

※助成金の採択状況/クラウドファンディングの状況によって、変動する可能性があります。

今回のクラウドファンディングはオンライン上で居場所・支援両方の役割を担う体制を構築するために行います。金額が大きいのは2年分の資金を集めるためです。

〇専門職の方の人件費(2年分、週2日を想定)

定期的な支援を必要とする当事者の子ども・若者たちにCoCoTELI内で支援を届けることができる体制をつくります。そのためには専門的な観点から当事者と関係性を構築、サポートできる専門職の存在が必要です。そこには人件費が必要になります。

〇ピアサポーター養成の体制づくり

私たちは当事者の子ども・若者たちとの関わりの中でピアがもつ力を感じています。「同じ立場じゃないと話せなかった」「孤独感が解消された」。そんな声を何度も聴いてきました。そんななか、CoCoTELIにつながった当事者がピアサポーターとなり当事者をサポートすることを望むこともあります。しかし、そのためにはピアサポーターを望む当事者が自身を守る知識やCoCoTELI側の体制が必要です。私たちはピアサポーターになることを望む当事者が自身の心や体力を削ってしまわないように。ピアサポーター養成講座や定期的な1on1、月1回のカウンセリング費用負担(予定)などピアサポーターへの手厚いサポートを行なっていきます。

〇なぜ2年分の資金なのか?

今までの学生団体での活動は自身の貯金内でできる範囲で活動を行なっていたため過去の実績がほとんどありません。そのため過去の実績が重視されることが多い助成金採択のハードルが高い。そんななか、助成金に依存した活動を行うことで安定的に支援を届けることができるかどうかが助成金の採択状態に左右されてしまいます

精神疾患の親をもつ子ども・若者をサポートする社会資源が少ない中で助成金に依存し「助成金が通らなかったからサポートを終了します」ということは起こしたくない。そういったことが起こらないようにするために、2年分の資金をクラウドファンディングで集め、活動を進めながらファンドレイジングに力を入れる。その期間で必要最低限の運営資金を継続寄付で毎月入ってくる状態をつくることを目指すという判断をしました。

地域や交通費が関係ないオンラインだからこその良さ・できることがあると同時にオフラインだからこその良さ・できることがあります。実際にオフラインの居場所づくりは、私たちが取り組む課題である、

『当事者の子どもたちに出会うことが難しい』

『当事者の子ども・若者をサポートする社会資源がほとんどない』

という課題にアプローチをするために必要です。当事者が助けを求めるのを『待つ』のには限界があるなかで、病院や学校、地域のNPO、自治体など、他機関・他職種の連携を通じて、早い段階で当事者たちと出会うこと、当事者がありのままの自分で過ごすこと。支援が必要である場合は、さまざまな団体・人と連携しながらサポートをする。

『社会側』から当事者を発見する仕組みをつくり、政策提言などの手段を用いて、この取り組みを、日本全国に広げていくことで、当事者の選択肢を増やし支援の土壌をつくっていきたいと考えています。

CoCoTELIでの関わりを通して、大切にしたいことがあります。

プラスでも。マイナスでも。現状維持であっても

どんな自分でも在れる場。


自分を主語にして話す時間。

自分の本当の気持ちを認識すること。


それらは、いつか、自分を守る力になるということを願いながら、

当事者と一緒に悩み、考える時間を、大切にしたいです。



3年前。

新型コロナウイルスが猛威を振るい始めたタイミングで大学に入学した当時の僕は、3年後に『家庭』に関することをテーマに活動を進めているということなど、全く想像していませんでした。

しかし、気がついたらどうしても解決したい問題の解決に挑戦するために2023年4月から大学を休学。


気がついたら大学2年生の秋から本格的に活動を始めたCoCoTELIがNPO法人CoCoTELIになっていました。


それは全て当事者と関わる中でこの問題に取り組む必要性を感じたからでした。


僕たちは1年半の間、学生団体としての活動を進めてきたなかで多くの当事者と出会い、対話を続けてしました。


その度に、彼ら・彼女らのように悩んでいるけど、誰にも相談できずに『孤独感』を感じている当事者が多くいるということに気がつきました。


そして、これは目の前だけの小さな問題ではなく社会全体の大きな問題なんだ、ということを知りました。


そして、今そのどうしても解決したい大きな問題に対して挑戦を始めています。


今そんな挑戦ができている僕ですが、大学一年生で初めて同じような立場の人と出会うまでは家族のことで常に頭を悩ませていました。

でも『たまたま』の出会いに救われ、今こういった挑戦ができています。


でも僕はそれはおかしいと思う。


『たまたま』や『偶然』『運』といったものに左右されずに必要なときに必要なサポートを気軽に受けることができるようになって欲しい。


そして『精神疾患をもつ本人もその家族も生きやすい社会』になって欲しい。

僕たちはそんな社会を目指して進んでいきます。



あなたの目の前にいる子ども・若者が

「元気に振る舞っている」かもしれない。

「問題行動が多い」かもしれない。

でも、本当は、その裏で悩んでいるかもしれません。

そんな彼ら・彼女らの未来のために、力を貸してください。

NPO法人CoCoTELI 代表 平井 登威


今後のスケジュール

8月末:クラウドファンディング終了

11月〜:SWさん契約、支援体制構築、『支援』の役割本格開始

12月:『支援』本格開始に伴う広報開始

12月:第0回ピアサポーター養成講座開始

4月:第1回ピアサポーター養成講座

2024年中:オフラインの居場所開始(地域未定)


CoCoTELIとは

CoCoTELIは『精神疾患をもつ本人もその家族も生きやすい社会』を目指し活動している団体です。2021年9月にボランティア活動を始め、2023年5月24日にNPO法人になりました。今後は『精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌をつくる』ために活動を広げていきます。

NPO法人ETIC.社会起業塾採択

一般財団法人Soil『Soil100』採択


※NPO法人CoCoTELIは非営利法人ですが、このクラウドファンディングを支援することで、支援者が税制優遇を受けることはありません。


参考文献
※:蔭山正子, 横山恵子, 坂本拓, 小林鮎奈, & 平間安喜子. (2021). 精神疾患のある親をもつ子どもの体験と学校での相談状況:成人後の実態調査. 日本公衆誌, 第68巻(第2号), 131–143.



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