ご挨拶

こんにちは! アリス・ウォータース来日プロジェクトチームです。

世界中の料理人と教育者に影響を与えた料理人であり思想家、アリス・ウォータース氏が、2023年秋に日本を訪れます。

私たちプロジェクトチームは、これまで1年間、地域を豊かにする食(とくに学校給食)や "生かしあう経済" を、この日本でアリス氏と共に学びたいと考え、企画を進めてきました。その中で、いつからか「この機会を自分たちだけで独り占めしてはもったいない」「アリス氏と共に日本各地を訪ね歩き、語られる言葉を広く共有したい」と考えるようにもなりました。

旅で見たもの、聞いたこと、味わったもの、気づいたことを余すところなく記録し、観る人の五感に響く映像を作ることができたら --- そう考え、この度、映画化のためのクラウドファンディング に挑戦します。

来日時にアリス氏に会ったり、完成する映画をひと足先に観たり、旅の裏側をのぞいたりと、来日ツアーから一般公開までの期間、一緒に盛りあがりながらご支援くださる方を募集いたします!
(リターンの詳細は、文末にてご覧ください)


アリス・ウォータースってどんな人?

映画の水先案内人となる、アリス・ウォータース氏を改めて紹介させてください。

アリス氏は、「アメリカで最も予約が取れない」と言われたこともあるレストラン「シェ・パニース」のオーナーであり、世界中にスローフードを普及させて「おいしい革命」を引き起こした料理人です。1971年にカリフォルニア州バークレーでレストランを開業し、地産地消、有機栽培、食の安全、ファーマーズマーケットなど、今や食のトレンドとなった重要なコンセプトを実践、それはスローフード革命として世界中に広がりました。

レストラン「シェ・パニース」。
客席と一体になったオープンなキッチンで、誰かの家で温かなもてなしを受けているような気持ちになる。

ライフワークの「エディブル・ スクールヤード(食育菜園)」は、学校の校庭で生徒が作物をともに育て、ともに調理し、ともに 食べ、生命(いのち)のつながりを学ぶという取り組みで、子どもたちの人間としての成長を促す機会となっています。この活動は「エディブル教育」に発展し、日本にも広がっています。

公立中学校の校庭に、広さ1エーカーの菜園。屋外の教室で五感を使い、身体を動かしながら数学や理科を学ぶことができるよう、学習指導要領に沿ったカリキュラムが組まれている。

キッチンでは、国語や社会科などの文系科目を学ぶ。授業で中東について学びながらキッチンでピタパンやフムスを作れば、地理や歴史を五感で感じることができる体験となる。

創設から28年目を迎えたエディブルスクールヤードには、世界中から視察者が訪れる。写真は英国国王が皇太子だった時の訪問時の様子。元米国大統領夫人のミシェル・オバマ氏は、アリスの進言により大統領公邸に家庭菜園を作った。


私たちは、そんなアリス・ウォータース氏が生涯のテーマである「スローフード」の世界観について語った著書『スローフード宣言〜食べることは生きること』の日本語版を、2022年秋に出版しました。

出版からの1年間は、「アリス氏を日本にお招きすることはできないだろうか?」と自治体や企業、個人サポーターなど、あらゆるつながりに声をかけ、協議を重ね、資金調達を行ってきました。

「海士の風」より2022年秋に出版。小野寺愛が翻訳。
原題は "We Are What We Eat - A Slow Food Manifesto"

加速し過ぎた「ファスト」社会の中で、このままでは人も地球も消耗され、希望を抱きにくい社会を生み出し続ける --- アリス氏はそんな現代社会を憂いた上で、「でも、大丈夫。解決策は、私たち皆の中に、すでにあるのです」と、「スロー」を取り戻していく大切さを語ります。

シンプルな美しさ、季節ごとに違うこと、預かる責任、働く喜び、生かしあうつながり --- 今回の旅では、日本各地でアリス氏と共に、そんな大事な価値観を思い出すことができればと願っています。

『スローフード宣言〜食べることは生きること』もくじ


アリスが描く未来 〜学校給食からはじまる、循環する社会をつくりたい〜

アリス氏自身は今、どんな思いで来日ツアーに向き合おうとしているか、動画でご覧ください。

写真をクリックすると、動画をご覧いただけます。


こんにちは。アリス・ウォータースです。

カリフォルニア州バークレーにあるレストラン、シェ・パニースのオーナーであり、

エディブルスクールヤード・プロジェクトの創設者です。

 この秋に日本を訪れて皆さんとお話しできることを、とても楽しみにしています。


 1周年を迎えるこの本のタイトルは、

『スローフード宣言〜食べることは生きること』。

この50年間、人の食べかたがどんな風に変わってきたかについて書いた本です。

 私たちは食事を不健康に変えてきてしまったばかりか、

食べ物と一緒に、大切な価値観をも変えてしまったのではないか、という話をしています。


 人間らしい価値観を取り戻すために、そして、

大地の世話をしながら私たちの食べ物を作ってくれる人々を支えるために、

今、私たちにできることは何でしょうか。


 ひとつの手段として、公立の学校で給食の食材をどこから仕入れるか、

それを変えることができたらどうでしょう。

給食の大切さは、私たち皆が深く知っていますよね。


 今回、日本を旅しながら皆さんと話ができることは、心からの喜びです。

 食べかたを変えれば、人の価値観、そして社会が変わります。


 さあ、皆で動きましょう。

気候変動を止め、(地球と私たち自身の)健康を回復するために。



映像メッセージにもある通り、スローフードとは、単に食の話ではありません。加速する気候変動や(地球も人も)健康を害している現状を変えていくために、私たちはいかにして、人間らしい価値観を取り戻していけばいいのでしょうか。

変化を生むための最有力な手段のひとつとして、近年、アリス・ウォータース氏が唱えているのが「学校給食の地産地消化」と、「生かしあう経済」です。


(*1) 農業畜産の温室効果ガスについて  / (*2) リジェネラティブ農業のCO2隔離について

無料で地産地消の学校給食を、すべての子どもたちに届けましょう。
その食材は、大地や働き手を大切にする農家や酪農家から購入しましょう。
食事を通して子どもたちに、身体に必要な栄養のこと、預かる責任、
コミュニティの大切さを伝えたいのです。
  

子どもたちの食が変われば次世代が変わり、経済の仕組みが変われば社会が変わる。

アリスが提唱するスローフード文化をビジネスの世界でとらえ直してみると、課題を短期視点・部分最適にファストで解決しようとするのではなく、課題の本質を捉え、壁を超えて連携し、長期的な課題解決に取り組むスローイノベーションやスローリーダーシップといった経済活動のあり方が見えてきます。

スローな経済とは、単に「ゆっくり」な経済ではありません。競争とスピードを重視してきた「ファスト」な経済から、互いを生かしあう経済への移行と捉えてみると、新しい展望が開けます。

ビジネスリーダープログラム詳細はこちら


2020年、アリス氏がカリフォルニア大学デイヴィス校 (UC Davis) と提携したことも、私たちにとって大きなインスピレーションとなりました。

「食」を媒介として人と人、人と自然を繋げ、社会課題を解決していくために、アリス氏は現在、同校で「エディブル教育のためのアリス・ウォータース研究所」(The Alice Waters Institute for Edible Education)を設立準備中です。教育、医療、農業、政策、ビジネスなど多分野の専門家を集め、次世代の学校や経済のありかたを社会実装し、最終的には全米に広げることを目的としています。

日本においても、多セクターで連携して「食」のありかたに向き合い直すことで、ずっと続いていく「生かしあう経済」を生み出して行きたい。今回、そんな思いを持って、アリス氏と各地を巡ります。


 毎日3000万人の子どもたち(米国)に食事を提供する学校給食は、地域で最も大きなレストランチェーンとも言えます。大学を含むすべての学校が、例外なく地域の生産者から食材を購入するようになるとき、本当の変化が起こります。環境再生型農業、地域社会、学校がウィンウィンの関係になるのです。子どもたちには、学校の食堂に足を踏み入れるだけでスローフード的価値観が浸透していくことでしょう。(『スローフード宣言』p199)


10日間のツアー行程

訪問地や出会う人々の詳細は こちらの記事 にある通りで、各地域を貫くテーマは著書『スローフード宣言』で提案するとおり、「スローで人間らしい価値観をいかに取り戻すか」となります。その手段として、アリス氏が大切だと訴える "学校給食" と "生かしあう経済" を二つの軸として、今回の旅を進めていきます。


映画を作り、次世代につなぎたい!

アリス氏のレストラン「シェ・パニース」は、50年間、地域で "生かしあう経済圏" を築いてきました。

シェ・パニース

その半世紀分の経験と知恵を次の世代に繋ぐため、映画制作は、気鋭の若手が担当します。

商業的な映像制作で活躍する一方で、社会問題全般に意識がある映像作家、JUNYA Tanaka社会で今起きている問題やサステナビリティーに焦点をあてた映像作品を次々に発表しています。2023年2月にはロシアとウクライナの間に起こった戦争の現実を肌で感じるため、自ら国境まで赴いて、難民となったウクライナの人々の声を聞きました。

 日本にも、人間らしい価値観を取り戻しながら動き出した事例がたくさんあります。その数々を、世界の「スローフード」を牽引してきたアリス氏の視点から読み解く映画にしたい。映画を通して、食べることから "生かしあう経済" が広がる実感を、次世代にまで広げていきたい。そんな夢を形にする資金を、皆さまからご協力いただけたら幸甚です。


エディブルスクールヤードでは、色とりどりの鶏を放し飼いしている。
「Cooorrrrn!!(トウモロコシだよ〜!)」と声をかけると
皆一斉に小屋に戻ってくる。

単にご支援をいただくというよりは、このスローなムーブメントに加わる 仲間 を募集したい気持ちでいます。終わりなき成長を軸とするファストな社会だけでなく "生かしあうつながり" にも目を向けた循環社会へと共に動いていく方々に、これを機会に出会うことができたら嬉しいです!



スケジュール

2023年9月12日 アリス・ウォータース来日企画、プレスリリース配信

2023年9月12日 クラウドファンディングの告知開始

2023年10月9日〜18日 アリス氏来日ツアー

2023年10月31日 クラウドファンディング終了

2023年11月中旬 カリフォルニア取材

2023年12月上旬 映画と公式ムック本の編集

2023年12月21日 映画の初稿を試写、皆でタイトルを考えるワークショップ(会場:六本木 Um Cafe)

2024年1月 映画の最終編集、公式ムック本の印刷

2024年1月24日 リターン(返礼品)発送開始

2024年1月27日 オンライン試写会(〜1週間限定で、2月10日まで自宅視聴可能)

2024年2月2日 試写会 in 東京(会場:UNIVERSITY of CREATIVITY。80人限定)

2024年2月3日 試写会 in 鎌倉(会場:With Kamakura。50人限定の試写会を昼と夜に2回実施)

映像作家 Junya がZ世代の仲間たちと運営するUm Cafe(六本木)。
12月19日(火)夜、ここで初稿試写と映画のタイトルを考えるワークショップを実施。

資金の使い道 

アリス・ウォータース氏の来日ツアー実施にかかる費用の約半額(約1,100万円)は、自治体や法人、個人のパートナーの皆さまのご協力で、無事、目処を立てることができました。

本クラウドファンディングでは、アリス氏の言葉を記録するための映画化、そして、映像では伝えきれないエッセンスをまとめたムック本を制作するのに必要な費用、残り1,000万円 を、皆さまからご支援いただけたらと考えています。


プロジェクトチームの紹介

来日プロジェクトチームのメンバーは、暮らす土地も背景も得意分野も多様な10人です。事務局をつとめるのは、島根県沖に浮かぶ離島・海士町(あまちょう)の出版社「海士の風」(社名:株式会社風と土と、本社:島根県隠岐郡海士町、代表取締役:阿部裕志)となります。

クラファン期間終了後の映画配給は、「人と人をつないで世界の課題解決をする」をミッションに、映画買い付け・配給・宣伝事業を行なっているユナイテッドピープルが行います。


チームのほかに、アリス・ウォータース氏を各地で受け入れる地域パートナー、来日予算を協賛してくださった企業パートナーもあり、現在、総勢50人以上で来日の準備を進めています。


最後に

半世紀にわたる地元での実践を通して、人と地球と食に人生を捧げてきたアリス・ウォータースは、料理人にとどまらず、教育者やビジネスマン、政治家など、あらゆる層の人々に影響を与えてきました。

『スローフード宣言〜食べることは生きること』で語られている内容も、レストラン「シェ・パニース」や「エディブルスクールヤード」での実践も、食の話にとどまりません。アリス氏が食のサステナビリティーを通して訴えているのは、人間性のサステナビリティーの話であり、社会全体を幸せにする価値観の提案です。

世界的に影響力のある方ですが、実際にお会いして感じる存在の柔らかさと温かさはまるで、昔からよく知っている親戚のお母さんのようです。彼女が毎日少しずつ、地元の仲間たちと積み上げてきたことが世界の「おいしい革命」を支えてきたのだと思うと、勇気が湧きます。

チームメンバーのひとり、翻訳者の小野寺愛は、アリスからかつて、こんな言葉を聞きました。


「私が一人でやったことなんて、一つもないんですよ。

 シェ・パニースでも、エディブルスクールヤードでも、私はいつも、友達に "助けて" って言うところからはじめるんです。一人じゃできないことも、皆でならできるから。店の仕入れを通して地域に新しい経済圏を作ることも、"食べられる校庭" を学校に作るという壮大な夢も、一人では絶対にできませんでした。

 つながりがあって、皆でやれば、必ずできる。だからまずは聞いてみて。"自分でやるのだ" って一人で完結せずに、まずは周りに聞いてみる。それって、とても大切な一歩だと思うんですよ」

(『スローフード宣言』p224「訳者あとがき」より)


2018年、沖縄で開催された日本スローフード協会のイベントにて
登壇するアリス氏と、翻訳者の小野寺愛

真っ直ぐにこちらを見て、ゆっくりと言葉を選びながら語られたこのメッセージを思い出し、今回、思いきって、皆さんにクラウドファンディングへのご参加とご協力をお願いしています。

アリス氏と一緒に日本の実践者たちを訪ねることで、彼女が本の中で「スローフード的価値観」と呼ぶ、人間らしい価値観を社会全体で取り戻すヒントを探したい。2024年春に映画を公開できたら、各地の学校やカフェでの上映を広げ、そこから始まる社会の変化を見てみたい。プロジェクトチームのスタッフ一同で、そんな大きな夢を見ています。

まずは、クラウドファンディングを通して支えてくださる方々と、来年2月の試写イベントで乾杯ができる日を、今から楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします!


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2024/03/01 09:00

    映画を観てくださった方々から続々と感想が届いています。全てはご紹介できませんが、匿名にて一部掲載をさせていただきます。ーー「1週間前に私はレストランの大切な生産者である80歳の母を看取りました。 果たして私に彼女の畑を引き継げるだろうかと思い悩む日々、、、映画を観て、アリスの優しく丁寧な語りに...

  • 2024/02/27 14:48

    2月上旬にクラファン支援者向けに映画の完成記念試写会を開催しました。そのときのレポートを訳者で通訳の小野寺愛さんが書いてくれました。ーーーーーーーーーーーーアリスの映画『We Are What We Eat - 未来につなぐおいしい解決策』試写会の余韻がまだ続いています。温かさに溢れたあの場が...

  • 2024/01/21 12:47

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

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