初めまして映画『囁きの河』実行委員会です。令和2年7月の豪雨により球磨川が氾濫して甚大な被害を受けた、熊本県人吉市を舞台に映画製作の準備をしております。近年、どこにでも起こりうる可能性を秘めた自然災害、そして河と共に生きる人々をこの映画を通して描いていきます。映画の力を信じてこのテーマと想いを皆さんと共有していければと思い制作準備をしております。
熊本豪雨から3か月目のある日、母の訃報を聞いた今西孝之は、22年ぶりに故郷の町に足を踏み入れた。山が削られ、多くの家屋が流されて、川の地形まですっかり変わり果てていた。孝之は、故郷を離れて以来会う事のなかった息子の文則と再会する。
だが、文則はかつて幼い自分を見捨てた父に心を開こうとはしなかった。
文則は、球磨川下りの船頭になるための修業に励んでいた。だが、水害後航行不能となった球磨川下りの再開の目処は、たっていなかった。
孝之たちの家の対岸に、老舗旅館「人吉三日月荘」が建っている。旅館の主、山科宏一は、孝之の幼馴染であり、女将の雪子は、孝之のかつての恋人である。帰還を機に、夫婦との交流が再開した。
水害の時、旅館の建物が半壊してしまった。
さらに宏一の父は、その最中に溺死しまう。この出来事によって宏一は、大きなトラウマを抱えることになる。
なんとか旅館を再生しようとする雪子と、旅館を畳んでしまいたいと思う宏一との間に、心の溝が生まれる。
水害を機に多くの人々が、進むべき道筋を見失い混乱していた。
孝之は、先ずは荒れ果てた田畑の開墾に乗り出した。
水害を受けた土を耕すことに次第に、深い生きがいを感じるようになった。
雪子も、宏一を何とか説得して、旅館再生に向けての道を歩み始めていた。
だが、河と共に生きようとする人々に、次々と試練が訪れる。
彼らの復興への歩みは閉ざされてしまうのであろうか。
彼らは、どのような決断をするのであろうか。
球磨川の水が、逆巻くように流れて行く。
「甲羅のない蟹」の陥穽(おとしあな)を超えて
2020年7月4日未明の人吉豪雨。これまで、その惨状を支援すべく、様々な手立てを講じ、その一つにこの映画の制作が帰結。他人事を自分事にする意味で,「忘己利他」の精神で支援の絆を繋ぐこの映画のテーマは、「自然への人間としての接近」。現代文明に浴している我々が、自然が発する声に耳を傾けることの意味を、今一度この映画を通じて考えて頂きたく思います。
エグゼクティブプロデューサー 青木辰司(東洋大学名誉教授)
今西孝之:中原丈雄
熊本県・人吉市出身。劇団未来劇場にて数多くの舞台を踏んだ後、映画・テレビ等の映像世界に移る。
中島丈博監督作品「おこげ」(1992)にて映画デビュー。
妻を持つ同性愛の中年サラリーマンを演じて、多くの批評家により絶賛される。以降、映画・ドラマに多数出演。
現代劇、時代劇問わず幅広い活動を行っている。絵画は”中原丈雄”の名付け親でもある、シャンソン歌手の石井好子氏のすすめで個展もひらくようになり、ART BOX 大賞 ギャラリー賞も受賞している。
講演やトークなどにも出演。またプライベートバンド「TAKEO.UT☆MEN」を結成、ライブも行っている。
2024年 主演映画「おしゃべりな写真館」が公開予定。
子供の頃から俳優になりたいと思い過ごした故郷人吉での主演映画を本当にうれしく思っています。俳優には色々の現場がありますが、その頂点が映画だと思いおります。良い作品になるように心を込めて取り組みます。
山科雪子:清水美砂
東京都出身
1987年に映画のヒロインオーディションを経てデビュー。
1989年にはNHK 朝の連続テレビ小説 「青春家族」のヒロインを務める。
確かな演技力でその後、様々なドラマや映画で活躍し、数々の映画賞を受賞。
主な出演作に「稲村ジェーン」「シコふんじゃった」「おこげ」「うなぎ」がある。
山科 雪子を演じます清水美砂です。
昔 河には不思議な力が宿っていると聞いた事があります。太古の昔から 水と生き物との営みが この豊かな世界を創りました。
人間は 過酷な自然の中で本能的に適応し生き抜いて来たのです。
河はその中心でもあり 生き物の進化をも見てきたのでしょう。
私の演じる雪子は その自然と真っ向から向き合い本能で何かを掴もうとしている女性です。
いつ何時自然に負けてしまうかもしれない環境の中で
何かを大切に守ろうとしている雪子を 丁寧に愛を込めて演じたいと思います。
山科宏一:三浦浩一
劇団「東京キッドブラザース」を経て、1980年NHK水曜時代劇「風神の門」で霧隠才蔵役主演。
以降ドラマ、映画、舞台と様々な作品に出演。最近ではライブハウスでシャンソンを唄う。
主な出演作品
ドラマ『スクール☆ウォーズ』『鬼平犯科帳』『半沢直樹』
人間はとてつもない自然災害から立ち上がる強さを持っている。しかし、私の演じる男はその力を失い沈黙する。その苦しみの中から夫婦の愛、故郷への愛をいかにして取り戻せるか、迷いながら表現したい。
今西和江:寺田路恵
1968年文学座座員となる。「ガラスの動物園」で芸術祭賞、「グリークス」で紀伊国屋演劇賞を受賞。
近作では「殿様と私」(文学座)「ダウト-疑いをめぐる寓話-」「結婚」(文学座アトリエ)のほか、毎夏、各地を巡演してきた「朗読劇・この子たちの夏」(地人会)は「夏の雲は忘れない〜一九四五・ヒロシマ ナガサキ〜」として現在も継続している。また、スタジオジブリの劇場アニメ「おもひでぽろぽろ」では主人公の母
海外ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」(チェゴサングン役)、「第一容疑者」シリーズでは、主人公ヘレン・ミレンの声を吹き替えている。
今西文則:渡辺裕太
34歳。東京都出身。タレント・リポーターとして、日本テレビ『news every.』 を始め様々なテレビ番組で活躍する一方、俳優としても数々の舞台に出演し続けている。2024年1月からは舞台『マミィ』の公演で東京のほか全国を巡る。
映画「囁きの河」に出演させて頂く渡辺裕太です。熊本県人吉市を舞台に、球磨川の氾濫によって変化を余儀なくされた人達がそれぞれの生き方を模索していく物語です。球磨川には、その雄大さを感じられる川下りがあります。物語にとっても重要な部分になりますが、撮影に入る前僕自身猛特訓させて頂きます。球磨川下りと真剣に向き合い、そして存分に楽しみながら、作品作りをしていきたいと思います。家族と自然に翻弄されながらも懸命に生きる様を、人吉の素敵な風景と共にお届けできるよう精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願いします。
中川樹里:篠崎彩奈
今回の映画は水害により被害を受けた人吉球磨を舞台に描かれる映画です。
自然災害はどうしても人々の記憶が風化してしまいますが、復興は時間がかかり、今も苦しんでいる方がいます。
私はお芝居を通して復興の大変さや、地域の方の想いを少しでも伝えられるように頑張っていきたいと思います。
佐伯靖:カジ
お笑い芸人さくらんぼブービー解散後、MCやニコニコ生放送、役者として舞台でも活動。演劇のプロデュース、演出家、映画監督なども経験している。
佐伯真澄:輝 有子
文学座付属演劇研究所卒業 後様々な作品に出演している、近年の主な出演作品に【舞台】「田園に死す」寺山修司没40年事業、「ボノボたち」作:ローラン・バフィ【TV・ドラマ】「名もなき復讐者ZEGEN」、「どうする家康」【映画】「プリズナーズ・オブ・ザ・ゴーストランド」(ニコラス・ケイジ主演)、「エッシャー通りの赤いポスト」監督:園子温、「ゾッキ」監督: 竹中直人・斎藤工・山田孝之、「赦し・DECEMBER」監督:アンシェル・チョウハン、「あちらにいる鬼」監督:廣木隆一、など。
横谷直彦:不破万作
1946年大連生まれ、千葉県育ち。
劇団「状況劇場」を経て、伊丹十三監督『マルサの女2』(88)、『あげまん』(90)、『ミンボーの女』(92)などで注目を集める。近年の主な映画出演作に、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18/大根仁監督)、『長いお別れ』(19/中野量太監督)、『死刑にいたる病』(22/白石和彌監督)、『ある役者達の風景』(22/沖正人監督)、『恋のいばら』(23/城定秀夫監督)、『いちばん逢いたいひと』(23/丈監督)、『サイド バイ サイド 隣にいる人』(23/伊藤ちひろ監督)など。
横谷さとみ:宮崎美子
熊本県生まれ。
80年、『週刊朝日』の表紙モデルに起用される。その後、ミノルタカメラのCMに出演。同年TBSドラマ「元気です!」で女優デビュー以降、映画、ドラマ、舞台など出演。テレビのクイズ番組には81年TBS「クイズダービー」より数々出演。2000年映画「雨あがる」で日本アカデミー優秀主演女優賞、ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。現在はクイズ番組『ミラクル9』や、故郷熊本でRKK熊本放送『週刊山崎くん』のメインMCを務める。
大水害から一年ほど後、地元の方々から話を伺う機会がありました。「この川からは昔から多くの恵みを受けてきたから」と、キラキラ輝く川の流れを前に語られる言葉からは、故郷への深い愛着と「川と共に生きる」覚悟と誇りが伝わってきました。ただ無言で頷きながら穏やかな川面を眺めたひと時を私は忘れることはないでしょう。
制作スタッフ
エグゼクティブプロデューサー:青木辰司
東洋大学社会学部名誉教授
日本のグリーンツーリズム運動のリーダー的存在
日本の農村及び地方文化再生のオピニオンリーダー
チーフプロデューサー:竹内豊
元NHKドラマプロデューサー、演出家
元NHKエンタープライズ・ドラマ部長
現在、NHKエンタープライズディレクター
プロデューサー:有馬尚史
映画監督、脚本家
恵比寿映像祭正式招待作品(紙の上のロバ)の監督・脚本
プロデューサー:山本潤子
絵本の語り部 絵本・メンタルセラピスト
「かわがあふれた!まちが沈んだ日 生きる力をくれたキジ馬くん」
(人吉球磨の水害をテーマにした絵本)制作者チームメンバー
協力プロデューサー:上村清敏
地元人吉市の建築士 アトリエk+ 代表
災害翌日よりボランティア団体設立 400件以上の被災建築物の相談対応を実施
アーキレスキュー人吉球磨 代表
被災国登録有形文化財の旅館修復総合プロデュースを務める
監督・脚本:大木一史
NHKを経てTBSに所属し、2012年よりフリーで活動、元跡見学園女子大学シナリオ論、シナリオ演習講座等の非常勤講師。
〇主なテレビドラマ作品
「おしん」、「眠れない夜をかぞえて」「家栽の人」
「松本清張一周忌特別企画「或る『小倉日記』伝」「ひとの不幸は蜜の味」
〇主な映画監督脚本作品
「鶯谷奇譚UGUISUDANI」(「爆音映画祭in神戸2015」正式招待作品)
「隠り沼」(2021)・・・長野県南相木村特別協賛映画 ユーロスペース、他にて上映
〇主な受賞歴
ギャラクシー賞(放送批評懇談会)優秀賞 日本民間放送連盟賞最優秀賞 放送文化基金賞 上海テレビ祭テレビドラマ審査委員特別賞
制作スケジュール
本編撮影予定
第1回目ロケ
2024年2月21日(水)~3月6日(水)
第2回目ロケ
2024年6月17日(月)~7月1日(月)
編集開始 2024年7月頃
完成 2025年1月頃
資金の使い道
・人件費(カメラマン、制作部、助監督、メイク、役者報酬)
・制作費(美術/小道具、衣装、音楽、音声、編集、MA(整音)
・企画費(ロケハン、その他準備)
・機材費・ロケーション撮影関連支出(弁当/食事代、宿泊費、交通費)
・広告宣伝費(ポスター制作、HP制作)
・CAMPFIRE手数料
・リターン送料
球磨川沿いを走っていた鉄道の、折れ曲がり寸断されたレールが夏草に覆われたまま、無残にも放置されてある。肥薩線の復旧の見通しは全くたっていない。眼下を流れる球磨川が、無情なまでにも美しい。だが、この辺りの多くの人家が水害の犠牲になった。集落ごと消えてしまった地域もある。多くの人が、家屋のみならず故郷をも失ったのだ。
人吉市のある地区が、遊水地の候補になっている。洪水時に周辺の安全を確保するため、この地区に一時的に水を流し込む計画だ。そのため現在、住人たちに移転の打診が行われている。末期の病に冒された妻を抱えた住民がいる。彼はこのままこの地で最期まで静かに暮らしたいという。洪水後、自らの手で全壊した家を建て直し、水に浸かった田畑を3年がかりで復旧させた住民がいる。「今年漸く美味しい米が獲れそうだ」とその男は、満面の笑みを浮かべた。だが、彼はこの地を離れる決意を下した。「又洪水が来る。必ず来る。そう思うと……」語る男の目には涙が滲んでいた。
流域で暮らす人々は、洪水で大きな被害を受け、その後も常に水害の恐怖と闘い続けている。それでも、この地で暮らす人々がこの河を憎むことはない。彼らのこの河を見る目は常に限りなく澄んでいる。洪水からの復興は、まだ道半ばである。だが、こうして河と向き合いながら暮らす人々の思いを蔑ろにして真の復興はありえない。この映画を作るにあたって、私も私なりにこの河と共に暮らす人々の声に耳を傾むけてきたつもりである。
それはほんの一握りの声かもしれない。だがこの声の向こうに広がる流域住民たちの思いの集大成を、この映画に託そうと思っている。この映画が、河と共に暮らす人々にとっての、ささやかながらも新しい希望の灯となることを願って……
監督 大木一史
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見るTKU(テレビくまもと)で、囁きの河とロケツーリズムについて特集が放送されました。2024/11/7
2024/11/08 20:44映画「囁きの河」を応援くださった皆様、ご無沙汰しております。昨日(11/7)、TKU(テレビくまもと)で、この映画とロケツーリズムについて9分間にわたって特集が放送されました。ロケツーリズムに密着した特集です。映画の撮影を見学しながら、災害や復興、あるいは地域の生業について知る「ロケツーリズム」というツーリズムの新たなムーブメントです。こちらで放送内容が視聴できますので、ぜひご覧ください。 ↓ https://bit.ly/TKUsasayakinokawa主演の中原丈雄さんほかの撮影の様子、エグゼクティブ・ディレクターの青木先生の解説、参加されたみなさんの声など、とてもよくまとまった内容になっています。急に冬になったような日本列島ですが、皆様、お身体に気をつけてお過ごしくださいね。映画の制作は、順調に進んでおります。来年春が待ち遠しいですね。ではまた・・・ もっと見る
映画「囁きの河」制作の中間報告とお礼
2024/07/23 21:57こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
撮影報告
2024/03/10 21:00【冬ロケを終えて】 映画「囁きの河」、半月に渡る1回目の撮影が終わりました。空も川も生き物です。毎日違います。川霧や川の流れ、雲の流れに撮影が中断することもありました。 ドローン撮影では撮影スタッフが近くにいないため、地元の人が俳優さんに気さくに話しかけてくる場面もありました。球磨村、相良村、人吉市での撮影には30名以上のエキストラさんが協力してくださり、キャストさんたちの燻銀のような演技に魅せられました。 撮影が予定通りにいかないことも当たり前だと思えるようになった頃、撮影現場に咲く草花が語りかけてくるようでした。 住む人がいなくなった住居跡には何事もなかったかのようにボケも水仙も長閑に開花しています。秋には柿が実るでしょう。耕作出来なくなった河川敷の荒地には菜の花が見事です。 災害支援を繋いで来た人たちが連日地元だけでなく遠くからも応援見学に来てくださいました。ご縁を感じながらたくさん助けていただいたこと、寒風の中温もりを感じる瞬間でした。 夏場の撮影は6月中旬からです!山本 もっと見る
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