はじめまして。「一般社団法人 復曲能を観る会」の代表理事、能楽師の加藤眞悟と申します。12月16日に名古屋能楽堂で、部分復曲させた「熱田龍神」を初めて上演いたします。
熱田龍神はわたしたちが2年計画で復曲している復曲能の演目になります。初演の今回は「連吟」で披露し、その後は「舞囃子」、「能」と段階的に上演する計画です。完全復曲を目指し、みなさまからご支援を賜りたく、クラウドファンディングを実施させていただきます。よろしくお願いします。
特に名古屋・尾張が培ってきた文化に魅せられ、この地にゆかりのある演目の復曲に力をいれています。これまで名古屋で2回公演を実施してきました。
2021年12月 第一回名古屋公演 「和田酒盛」
復曲の背景
和田酒盛は織田信長が、本能寺の変が起こる前に、幸若舞(こうわかまい)の本曲を最後に観て上機嫌だったという記録が残っています。(幸若舞は室町時代に流行った、語りを伴う曲舞の一種です。)しかし、室町時代作の記録がありながら確かな、上演記録のない幻の能といわれています。
あらすじ
仇討を前にした曽我十郎と遊女・虎御前の惜別の場面から一転、有名な鎌倉武将たちの大酒宴の場面となるスペクタクルな演目。十郎を想う虎御前の姿は現代人にも共感と感動を与える。
2022年11月 第二回名古屋公演 「不逢森」
復曲の背景
復曲能〈不逢森〉は、尾張国萱津(愛知県あま市)を舞台にした室町時代作の古能です。演目の一部が最上級の謡物「反魂香(はんごんこう)」として伝わるだけで、能としては上演されなくなっていましたが、復曲能を観る会のメンバーが中心となって数百年ぶりによみがえらせ、2022年名古屋で初演しました。好評を博し、本年9月に東京でも再演されました。
あらすじ
鎌倉から遥か都に商人の父を尋ね行く娘は、慣れない長旅の途中、尾張国萱津宿で命を落とします。奇しくもその日、父は同じ萱津宿に泊まり、亡くなったのは娘であることを知ります。嘆き悲しむ父は萱津の森の僧とともに娘を弔い、死者の霊を招き返すという反魂香を焚きます。煙の中に娘の姿を見た父は袖にすがろうとしますが、煙とともに再び娘は消えてしまうのでした。
今年9月に行われた東京公演「不逢森」ではお客様がSNSにたくさん投稿くださいました。一部をご紹介いたします。
「こんなに能で泣くとは」
「香をあおぐ父親の手が、体全体が震えていて、泣いてしまった」
「復曲能「不逢森(あわでのもり)」を観てきました。しばし浮世を忘れ異空間へ。終演後のアフタートークでは、面や装束の解説も。すばらしい公演でした!」
2023年12月16日 第三回名古屋公演 で「熱田龍神」を部分復曲いたします!
熱田神宮には、空海お手植えと伝えられる大楠が御神木として祀られており、空海が初めて熱田神宮を訪れた時の出来事と両者を結びつける龍神伝説が「能」の作品として残っています。
- 熱田龍神を「能」として、よみがえらせることで、名古屋、尾張の地で大切にしてきた文化、ひいては、日本人が培ってきた信仰心、道徳心の再認識につながるのではないかという強い意義を感じています。
復曲の背景
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- 不逢森の復曲を通して、尾張、名古屋の魅力や文化、歴史に引き込まれていきました。そのなかで、不逢森の舞台となった「萱津神社」と「熱田神宮」、また尾張四観音のひとつ「龍泉寺」とのつながりについてのお話を伺うことになります。
- 本年は「熱田龍神」連吟として部分復曲いたします。能として完全復曲していくまでの過程をお楽しみいただければ嬉しく思っております。
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- 熱田神宮について
- 古くから「熱田さん」として名古屋はもとより全国か崇敬と信仰を集めている。三種の神器の1つである草薙剣を祀る神社として知られています。
龍泉寺について
伝教大師最澄が創建したといわれているお寺です。「その昔、伝教大師が熱田神宮に参篭中、龍神の御告げを受け、龍の住む多々羅池のほとりで経文を唱えると、龍が天に昇ると同時に馬頭観音が出現したので、これを本尊として祀った」という内容が古文書「龍泉寺記」に記述されています。
また、弘法大師空海は熱田神宮参籠中に熱田の八剣のうち三剣を「龍泉寺」に埋納したといわれ、これより龍泉寺は熱田の奥の院といわれてきました。このことから、伝教・弘法大師の開基ともいわれています。
※熱田龍神の謡本では「竜仙寺」という名称で登場しております。今後つながりを含めて研究していきます。
経費について
・「熱田龍神」復曲における研究費用 40万円
・クラウドファンディングリターン制作費
・クラウドファンディング手数料
スケジュール
12月16日(土) 14:00 名古屋公演 復曲能「大磯」、「熱田龍神(部分復曲)」
1月13日(土) 復曲能 新春イベント(予定)
1月31日(水)クラウドファンディング終了
一般社団法人 復曲能を観る会は
「能と狂言の力で人と人を繋ぎたい」「復曲は埋もれた文化遺産の発掘」
このふたつの言葉を柱に、現在は演じられない室町時代の演目の復曲(再興)を通じて古人が大切にしてきた文化を再認識し、生きている伝統芸能を未来に繋げたいと願う能楽師の加藤眞悟、長谷川晴彦、古室知也、奥津健太郎が集い結成いたしました。
現存している伝統芸能に触れ、日本人としての素晴らしさを感じ、今を生きる私たちの手で守っていきましょう。熱田龍神はまだ復曲の過程にありあす。スタートラインにたったばかりでございます。復曲を見守っていただきながら、皆さまと一緒に育てていければと思っております。
名古屋公演へのご来場をお待ちしております。
これまでの主な活動
2021年5月 任意団体「復曲能を観る会」を設立
2021年12月 名古屋公演 「和田酒盛」を実施
2022年3月 継続的・発展的な活動を目指し一般社団法人を設立
2022年10月9日東京公演「和田酒盛」、11月12日名古屋公演「不逢森」を実施
2023年9月18日東京公演「不逢森」実施
12月16日名古屋公演「大磯」を実施予定
理事メンバー紹介
加藤 眞悟(かとう しんご)
一般社団法人 復曲能を観る会 代表理事
能楽師シテ方観世流 重要無形文化財(能楽)総合認定保持者(日本能楽会会員)
昭和33年生まれ。故二世梅若万三郎及び三世万三郎に師事。室町時代より能楽継承の梅若家、その初世万三郎は能楽界初の文化勲章受章者。平成11年より「加藤眞悟明之會」を国立能楽堂で毎年5月5日に開催。これまで室町時代の能〈真田〉(源平盛衰記)、〈伏木曽我〉〈虎送〉〈和田酒盛〉(曽我物語)の復曲を手がける。主な披キ〈木賊〉〈鷺〉〈卒都婆小町〉〈砧〉
長谷川 晴彦(はせがわ はるひこ)
一般社団法人 復曲能を観る会 理事
能楽師シテ方観世流 重要無形文化財(能楽)総合認定保持者(日本能楽会会員)
昭和44年静岡県掛川市生まれ。大学在学中に三世・梅若万三郎に師事。梅若万三郎一門による梅若研能会のメンバーとして、東京を中心とした国内、海外での能公演に出演。自主能公演「泰晴会」を催すほか、門下の素人会「晴々会」、能普及講座としての「掛川 能楽の集い」、子供の能体験講座「小田原こども能楽クラブ」などを開催し、能楽普及にも努めている。
古室 知也(こむろ ともや)
一般社団法人 復曲能を観る会 理事
能楽師シテ方観世流 重要無形文化財(能楽)総合認定保持者(日本能楽会会員)
昭和46年生まれ。三世梅若万三郎に師事。公益財団法人梅若研能会評議員。平成4年梅若万三郎家入門、平成12年〈経正〉にて初シテ以降、千葉県、東京都など関東近郊で能の普及に努め、曽我物語ゆかりの地・伊東で伊東市文化財史蹟保存会主催の「伊東子どもお能教室」の講師として、能を通じて郷土愛を育む活動の指導にあたっている。
奥津 健太郎(おくつ けんたろう)
一般社団法人 復曲能を観る会 理事
能楽師狂言方和泉流 重要無形文化財(能楽)総合認定保持者(日本能楽会会員)
昭和47年生まれ。故十三世野村又三郎信廣に師事。狂言の家として400年の歴史がある野村又三郎家の門下として日々の舞台を勤める。東京藝術大学音楽学部邦楽科(能楽・狂言専攻)卒業。在学時には野村萬、野村万作両師(ともに人間国宝)の指導を受ける。舞台に加え、狂言講座やワークショップなどの普及活動や、芸能による国際交流にも努めている。
<募集方式について>本プロジェクトは All-IN-方式 で実施します。目標金額に満たなかった場合もプロジェクトは実施され。リターンをお送りいたしますのでご安心ください。
よくあるご質問
Q. 何のために実施するクラウドファンディングですか?
A. 復曲能「熱田龍神」を完全復曲するための費用を集めるクラウドファンディングになります。
Q. 伝統芸能には国から手厚い運営援助金が出ていると聞きましたが。
A. 当団体は今年度、運営援助金等をいただいて運営を行っておりません。日本に残る文化遺産を後世に伝える使命を持って復曲活動を行っております。能楽堂でのご高覧、みなさまの応援が力になります。何卒よろしくお願いします。
お問い合わせはページ上部の「メッセージを送る」からお願いします。
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※謡本のリターンに関しては、出版社、発行者の許可を得ております。
※動画配信、DVDリターンに設定しているものは全て出演者に事前許可を得ております。
※本プロジェクトに使用している掲載写真は掲載許可を得ております。
※このクラウドファンディングは一般社団法人 復曲能を観る会理事メンバー(加藤眞悟、長谷川 晴彦、古室 知也、奥津 健太郎)によるプロジェクトです。ページ内でご紹介、掲載しているその他の法人、個人様は本プロジェクトとは関係はありません。お問い合わせは復曲能を観る会 加藤眞悟までお願いします。
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