社会課題の解決をみんなで支え合う
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プロジェクトオーナーの手数料の負担は一切なく、支援者さまからのご協力費(12%+税)により運営しています。

こんにちは、私は髙野元(たかのはじめ)と申します。約10年前に難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、自身の療養生活の中での思考・経験をもとに、重度障害のある人がよりよく生きられる社会の形成を目指して、看護学校などでの講演、介護事業所の運営、コミュニケーション支援機器の開発、地域の繋がりづくりなどに取り組んでいます。 

 

この度、12月頭にスイスのバーゼルで行われる第34回国際ALS/MNDシンポジウムに参加し、世界に類を見ないALSの「日本型ケアモデル」と、テクノロジーを利用した社会参加機会の拡大について発表することになりました。私たちALS当事者が国際大会に参加するためには、同行する介助者の渡航費を含め、公的制度ではカバーできない多大な費用が必要です。ぜひ、このクラウドファンディングでみなさまにご支援いただければ幸いです。 

 

ALSになってから10年、高野元のライフ・ストーリー

はじめに、私自身の自己紹介を兼ねて、ALSの発症から現在に至るまでの生活の変化や、仲間と共に取り組んでいる活動についてお話させてください。 

 

1990年に社会に出て以来、マルチメディア・システム、インターネット・サービス分野を一貫して手がけてきました。自らR&Dエンジニアとして技術開発を行ったのち、検索やアクセス解析といったインターネット・サービスの技術開発、ビジネス開発、ならびにサービス運営の経験を積んできました。社会に出て20年余り仕事をするうえで心がけてきたことは、「新しいモノを創造する」ことと「新しいことに挑戦する」ことです。これは、ALSになってからも変わりません。 

 

ALSの発症は2013年1月のことです。趣味のテニスをプレイしているときのことでした。ステップを踏むときに、「動いているはず」の右足が動いておらず転んでしまったのです。一瞬何が起きたのかよくわからず、周囲もびっくりでした。その後もときどき違和感を感じつつも、日常生活や仕事を続けていきましたが、次第に支障が大きくなっていきます。検査を経て、ALSの告知を受けたのは2014年10月のことでした。その後、症状の進行に応じて2016年に胃ろう造設、2017年気管切開・気道食道分離手術を行いました(以下のスライドは、ALSの進行と療養の経緯をまとめたものです)。 

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、体を動かす運動神経が失われていき、全身が徐々に動かなくなっていく難病です。現在も治療法は確立されておらず、世界で35万人、日本には約1万人の患者がいます。そんな当事者の一部は、医療・看護・福祉・テクノロジーなどあらゆる領域の仲間と共に、ALSが治る未来、またALSであっても自分らしく生きられる社会に向けて活動しています。 

 

私も告知直後は、病気や療養生活について何もわからず、途方に暮れていました。しかし、日本ALS協会神奈川県支部の患者会に参加したことで展望が持てるようになり、苦しい時期も励ましてもらいました。 

 

次の患者やご家族、支援者にも、自分自身の経験を伝えて恩送りしたいと考え、さまざまな活動に取り組んでいます。以下に、その一部を紹介します。 

 

創発計画株式会社 

重度障害者の生活を知ってもらうために、重度障害者向けプレゼンシステムHeartyPresenter(詳しくは後述)の企画開発や、 講演活動を行っています。 

私をはじめとする重度障害者の日常生活を支援するヘルパーを採用・育成・派遣するために、重度訪問介護事業所「そうはつ介護ステーション」を経営しています。 

川崎つながろ会 

神経難病で重度障害者であっても、楽しむことをあきらめたくないと、近所の患者仲間とはじめました。患者だけでなく支援者にも口コミで広がり、地域の神経難病コミュニティとなっています。



世界に類を見ない「日本型ケアモデル」

さて、ここまでごく短くお話してきましたが、私を含むALS当事者の生活は、生命維持から日常生活、社会参加と自己実現に至るまで、多職種との連携・協働によって成り立っています。 

 

このなかの「重度訪問介護」という制度は、比較的長時間(ALS等の重度障害の場合は24時間365日、身体状況によっては2人体制の介助が可能)にわたってヘルパーが日常生活全般の介助に入ることができるもので、これは世界でも類を見ないものです。 

こうした社会資源の活用と、仲間たちとの協働の結果として、気管切開手術後からも呼吸機能は維持できており、体調が安定することで積極的な社会参加が可能となっています。 

スイスの国際大会でのポスター発表の1つは、この「日本型ケアモデル」がいかにALS当事者の生活の質(QOL)を高めるかを、私、高野の事例を通して伝えていくものです。 

日本語演題:ALS療養の日本型モデルの事例:家族に頼らない24時間の在宅療養がいかにALS療養の患者の生活の質を高めるか(髙野元、川口有美子、寄本恵輔、中山優季、中島孝)  

英語演題:"A Study of a Japanese Model of ALS Care: A 24-Hour Home-Visit Care System Enables ALS Patients to Live a High Quality of Life without Family Support" (共著者:Y.kawaguchi, K.Yorimoto, Y.Nakayama, T.Nakajima) 


重度障害のある人の社会参加機会を拡げるソフトウェア「HeartyPresenter」 

そして、もう一つの発表テーマが、テクノロジーを利用した社会参加機会の拡大についてです。 エンジニアとしての経験と、ALS当事者としての経験をもとに開発した、重度障害者のためのプレゼンテーション・システム「HeartyPresenter」の活用事例を発表します。 


日本語演題:重度障害者向けソフトウェア HeartyPresenterを用いた社会参加の機会拡大とALSとともに生きる生活の再構築への心理的効果 (髙野元、吉村隆樹) 

英語演題:"Expanding Social Participation Opportunities and Psychological Impacts on Rehabilitation of Life with ALS, Using the HeartyPresenter Software for Individuals with Severe Disabilities" (共著者:T. Yoshimura) 

 

重度障害者のための福祉機器は多数あり、現在は視線入力環境を構築し、ほぼ不自由なくパソコンを利用しています。このため、手がほとんど動かない私でも、パワーポイントの操作は可能です。また、音声合成機能を使って話すこともできます。 

 

しかし、この二つを同時に行う方法はありませんでした。この課題を解決するために開発したのがHeartyPresenterです。 

パワーポイントのノート欄に読み上げ文章を書くことで、動けない・喋れない重度障がい者でもプレゼンテーションができます。また、事前に用意した文章を読み上げるだけでなく、参加者の反応に応じてトーク内容を変更したり、質疑応答に対応したりといった、柔軟でインタラクティブなコミュニケーションを可能にする機能を備えています。 

自ら開発したHeatyPresenterを活用し、2018年〜2022年の5年間、大学や学会、企業等で64回の講演を行いました。講演活動を通して繋がりが広がり、「ALSになっても講演ができるんだ!」という成功体験・自己肯定感が、心身の健康や次の挑戦への原動力に繋がっていると実感しています。 

 国際大会での発表を通して、国内外の仲間たちに、テクノロジーを通した社会参加機会拡大と、それによるALS当事者のQOL向上の可能性を伝えたいと思います。 

 

クラウドファンディングの目標金額と資金の使徒、みなさまへのリターン 

今回のクラウドファンディングでは、目標金額を200万円に設定してご支援を集め、以下の目的に使用します。 

・渡航費(高野+介助者3名)  

・宿泊費(高野+介助者3名)  

・大会参加費  

・その他(食事、緊急時の対応、リターン制作などクラウドファンディング経費)

 スイスでの国際学会に参加するためには、私一人だけでなく、同行する介助者の渡航費も含め、総額で約400万円がかかる見込みです。 みなさまには、その一部をご支援いただきたいのです。 

 支援金額に応じて、写真や活動報告書の送付、オンライン、オフラインでの活動報告会へのご招待などのリターンを設けております。 

 今回の挑戦に共感いただけた方は、ご無理のない範囲でけっこうですので、どうぞご支援をよろしくお願いいたします。 

※本プロジェクトはCAMPFIRE for Social Goodが適用され、支援額に別途手数料(12%+税)が加算されて引き落とされる形になります。以下のページをご確認のうえ、ご支援いただければ幸いです。

https://camp-fire.jp/forsocialgood/readyfor


先輩たちから受けたバトンを未来へつなぐ

2014年秋にALSの告知を受けた際、故・橋本操さんと岡部宏生さん(いずれも日本ALS協会元会長)が台湾でALS患者会と交流している記事に触れ、「人工呼吸器になっても海外に行けるんだ」と一縷の希望を感じました。このシンポジウムがその夢をかなえる機会となります。  

 コロナの影響でオンライン開催が続いていましたが、今年ついに現地でのリアル開催が実現しました。 

  海外に行くだけなら観光で十分ですが、私は世界のALS関係者との交流、そして自分の取り組みが世界でどう評価されるのかを知りたいのです。過去にも多くの患者が日本の環境を紹介しており、私もその使命を感じています。  

  先輩たちから受けたバトンを未来へつなぐための高野の挑戦を、ぜひ応援してください! 

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