○はじめに
はじめまして!海外にルーツを持つ子どものための専門教育支援事業YSCグローバル・スクールの田中宝紀(たなか・いき)と申します。
私たちは、「両親またはそのどちらかが外国出身者」である海外ルーツの子どもたちを対象として、日本語教育、教科学習支援、高校進学支援等を実施しています。2010年度に東京都福生市に開設。2016年からはzoomを活用した双方向型のオンライン授業に取り組み、2018年に東京都足立区にも教室を開きました。
当スクールがサポートする子どもたちは年間300名以上。子どもの日本語教育の専門家や、日本語が母語でない子どもの教科学習に豊富な経験を持つ支援者が、子どもたちの学びをサポートしています。
(写真:多様な背景を持つ子どもたちが共に学んでいます)
○YSCグローバル・スクールで学ぶ難民状況の子どもたち
活動開始からの十数年で4,000人以上の多様な背景を持つ子どもたちを支援してきた私たちですが、その多くが日本への定住を希望する家庭の子どもたちであり、難民状況に置かれた子どもたちの受入れは少人数にとどまっていました。しかし相次ぐ紛争や内戦によって、2022年度は1年間にウクライナの子どもたち19名をはじめ、アフガニスタンやミャンマーなど、命の危険から逃れてきた40名近くの子ども・若者を受け入れることとなり、改めてこれまでの対応だけでは不十分なを見直したり、トラウマケアについて研修を行うなど、安心・安全を確保した上で学べる環境づくりに努めました。
(図:2023年度、YSCで学ぶ子どもたちの内10.5%は難民状況に置かれた子どもたちです。)
加えて、そのような生徒の家庭の多くは、保護者の就労がなかなか決まらず経済的にも苦しい状況にあり、日本での生活は安定していません。このため2022年度のYSCグローバル・スクールでは、難民状況に置かれた子どもたちに、原則として無償で専門家による日本語教育を提供してきました。
昨年度サポートした子どもたちの多くが、日本語を学び、地域の小中学校に通い学校生活になじんだり、高校への進学を果たすなど、日本での生活に向けて一歩ずつ踏み出しています。しかし、ウクライナ避難民に対する行政からのサポートや社会の関心が先細りし始めてきました。それ以外の国々の出身者も含めて、学校での支援が手薄であるなど、言葉や文化の壁に阻まれ、経済的にも安定しない生活に今も不安な日々を送る子どもも少なくありません。
YSCグローバル・スクールには、今年も約30名の難民状況にある子ども・若者在籍しています。今も新たにつながる難民・避難民の子どもたちは増え続けているのが現状です。今後も彼らが少しでも安心できる環境でじゅうぶんに学ぶことができるよう、私たちと共に支援を届けていただけませんか?
○子どもたちが日本で直面する課題とは
・日本語の壁と支援機会の乏しさ
日本語教育機会は地域間格差が大きく、暮らしている地域や通学する学校によっては無支援のことも珍しくありません。文部科学省による調査では、日本の公立学校に在籍している日本語がわからない子どもたちは全国に58,000人。その内の5,800人は学校でなんの支援も受けていません。日本語がわからず勉強についていけないだけでなく、友だちもできずに孤立してしまいやすい状況です。
・不安定な在留資格
「永住者」や「定住者」、「日本人の配偶者等」などの長期滞在が可能な在留資格を持つ定住外国人と異なり、難民状況の子どもたちの場合、在留資格が不安定であることが少なくありません。日本の難民認定率は他国と比べて極端に低いため、難民としても認定されず、かといって命の危険がある母国に帰ることもできない状態のままで何年も過ごさなくてはならないケースも。子どもたちが育つ環境に大きな影響を与えています。
・トラウマ体験
出身国での紛争や命の危険から逃れてきた子どもたちは、トラウマ(心的外傷)になる出来事を経験しています。日本国内で母語でのメンタルケアを受けられず、様々な不安や思いをなかなか吐き出せない状況です。また、難民や難民の状況についての理解が乏しい環境で、マイクロアグレッション(悪意のない差別的言動)やいじめにさらされることもあります。
・不透明な見通し
定住外国人の子どもたちの場合、保護者が日本での定住を志向し、長期的な視点から日本での子育てをするケースが増えています。このため、子どもたちのキャリアも日本国内での進路を前提として検討しやすい傾向があります。一方、難民性のある子どもたち、特に紛争による避難民として日本に逃れてきた子どもたちは、母国の状況次第では「帰国」を望みながら日々を過ごすことも少なくありません。
例えば、来年の春には帰国したいと考え、日本国内での進学を希望していなかった子どもが、実際には母国の紛争が収まらず、急きょ日本で進学先を探すことになったり、逆に、日本での学校生活が落ち着いてきた矢先に帰国が決まったり。
子どもたちの学びやキャリアが途切れ、自分の近い将来の見通しを持てない状況に不安を感じることがあります。
○難民状況にある子どもたちへ、無償の支援を提供します!(専門家による日本語教育、教科学習支援、高校進学指導、多文化コーディネート)
日本で暮らす難民状況の子どもたちは、日本社会の中で多くのハードルに直面しています。それは定住外国人の海外ルーツの子どもたちと共通する課題であることもあれば、難民であるが故に一層困難な状況となっていることもあります。YSCグローバル・スクールでは、2010年度より日本語教育の専門家や経験豊富な学習支援担当者が、年間200日間、300名以上の子ども・若者へ学びとつながりを提供し続けています。
これまでのノウハウや経験を活かし、難民状況に置かれた子どもたちにも、質の高い教育機会と、共に学ぶ海外ルーツの仲間とのつながりを提供することで、日本で過ごす時間が少しでも楽しいものとなり、安心して子どもらしく成長することができるようサポートしています。また、難民状況の子どもたち特有の課題に対しては難民支援専門団体や関係機関との協力連携の下、多文化コーディネーターが対応しています。
(写真:対面・オンラインを選べるハイブリッド授業。支援の地域間格差是正を目指し全国から受講生を受け入れています)
●YSCグローバル・スクール 活動概要
・6歳の子どもから高校進学を希望する若者までを中心に、年間300名以上、十数か国にルーツを持つ生徒たちが学んでいます。
・月謝制を導入し、持続可能な支援体制づくりに努めています。(受講するクラスや回数に応じて、月額2千円〜4万2千円とさまざまです)
経済的な困難を抱える家庭の生徒は、スクール独自の奨学金制度により、無償での受講も可能です。
*生徒全体の約3割が、この奨学金を利用して受講料の減免を受けています。今回のクラウドファンディングで寄せられるご寄付は、同奨学金の特別枠として活用されます。
(写真:年間200日間開講するスクールでは、毎月新規受講生を受け入れています)
・当スクールの子ども・若者向け日本語教育は主に2種類あり、いずれも資格を持つ日本語教師が教えています。
1) 11歳以上を対象とした、短期集中型の初級日本語教育
2) 小学校の低〜中学年を対象とした、放課後の日本語教育
・併せて、経験豊富な担当者によるわかりやすい教科学習支援や、発達障害の海外ルーツの子どもを対象とした特別支援クラスなども開講。日本語力別、学年別、ニーズ別に全14コースあり、「誰もが必ず学べる場」を目指しています。
・年間200日(校外学習等除く)、1か月平均で20日の授業を実施。子どもたちにとって日本社会への入口となり、学校生活との橋渡しができるよう活動を続けています。また、孤立しがちな子ども・若者の「居場所」としても機能しています。
・対面とオンラインを組み合わせた、ハイブリッド形式の授業です。全国各地から受講でき、さまざまな地域で暮らしている海外ルーツの子ども同士が出会える場を提供しています。
・学校や地域と保護者・子どもをつなぎ、安心安全な環境を整える多文化コーディネーターを配置。きめ細やかに寄り添う支援を行っています。
★私たちの日々の活動の様子は、SNSやホームページでも継続して発信しています!ぜひご覧ください。
YSCグローバル・スクールホームページ:https://www.kodomo-nihongo.com/index.html
X(旧Twitter):https://twitter.com/kodomo_nihongo
Facebook:https://www.facebook.com/kodomo.nihongo
Instagram:https://www.instagram.com/ysc_globalschool/
〇スケジュール
12月22日 クラウドファンディング終了
1月~4月 対象となる子どもの決定
順次、サポートスタート
例:最も早くサポートを開始する、来日間もない子どもの場合
1月下旬:日本語初級クラスレベル1受講開始
3月下旬:日本語初級クラスレベル3修了
4月中旬:学習支援クラス受講開始
7月中旬:学習支援クラス受講終了→夏休み明けより学校へ
(その後は必要に応じて放課後学習支援クラス等で継続サポートへ)
〇資金の使い道
・受講料 6か月間20万円×5名=1,000,000円
(フルタイム受講の場合/授業料および教材費等込)
・通信費、その他諸経費 100,000円
*今回はこの内、諸経費を除く受講料の応援をお願いしています。
(写真:子どもたちはルーツも言葉の壁も超えて、共に楽しい時間を過ごすことができます)
〇最後に
難民状況に置かれた子どもたちにとって、日本での生活を送る上で大きなハードルとなるのが日本語学習をはじめとする教育機会と、安心して過ごせる居場所です。YSCグローバル・スクールは今後も、せっかくたどりついた子どもたちの日本での日々が、彼らにとって少しでも希望を感じることのできる時間となるよう、子どもらしくのびやかに過ごすことができるよう、また、子どもたちの先の見えない不安が少しでも解消するよう、関係機関と連携しながらサポートを続けて参ります。どうぞみなさんのご支援とご協力を、心よりお願い申し上げます。
また、子どもたちの生活の大半はYSCの内部ではなく、学校や地域に存在しています。子どもたちの真の安心・安全な日々は、地域の人たちのあたたかな関わりの中でしか実現し得ないと感じています。もしみなさんの身近に難民状況の子どもたちや大人たちと出会う機会があれば、ぜひ積極的に声をかけていただければと思います。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
YSCグローバル・スクールを運営するNPO法人青少年自立援助センターは認定NPO法人ではありません。ご支援に伴う寄付金控除の対象とはなりませんので、あらかじめご了承ください。
掲載の写真:YSCグローバル・スクール提供(©YuichiMoriさん、他)
トップ画像イラスト:イラストレーター Csihiさん
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