こんにちは!NPO法人青少年自立援助センターYSCグローバル・スクールの田中宝紀です。難民状況の子どもたちのために、安心して学べる機会を提供するためのクラウドファンディング、12月22日、無事目標金額を達成することができました!最終的に150名の方々より、1,039,800円のご支援をいただきました。ご寄付は、全額子どもたちの教育のために大切に活用させていただきます。また、SNS等での情報拡散、ご友人のご紹介などご協力くださった皆様を含め、私たちの取り組みを応援していただいているすべての皆様へ、改めまして、心より御礼申し上げます。そして、今回のクラウドファンディングのために準備や新着情報記事の執筆、SNSでの発信などを担ってくれた広報チームメンバーや、日々、現場で子どもたちと向き合い、安心と学びを届けている日本語教師や学習支援担当、多文化コーディネーターなどの支援スタッフにも感謝の気持ちでいっぱいです。「海外ルーツの子どもって、どんな子ども?」昨年度よりウクライナ避難民の子どもたちの出会いを皮切りに、様々なルーツを持つ難民状況の子どもたちとのつながりが増えてきました。彼らにとって必要な支援の多くは、定住外国人など「日本語を母語としない」子どもたちと共通しているというのが実感です。日本語を母語としない子どもたち、あるいは海外(外国)ルーツの子どもたちのおかれた現状や課題は、メディア報道などを通じて広く知られるところとなりました。ただ、まだ「日本語がわからなくて大変そう」という漠然としたイメージが大半で、実際にどのようなことに困っているのか、どのような支援が必要なのか、など、具体的な課題や様子についてはあまり知られていないのが現状です。●海外ルーツの子どもたちって、どんな子ども?●日本語がわからない子どもって何人くらいいるの?●子どもだから、日本語はすぐに覚えるんじゃないの?など、ちょっとした疑問をお持ちの方々も(まだ)多いかもしれません。あるいは、自分は知っているけれど、周りはまだあまり子どもたちの事を知らないなと感じている方もおられるかと思います。今回は、あと一歩難民状況の子どもや海外ルーツの子どもたちのことを深く知る・伝えるために参考にしていただける情報などをお届けします。ウクライナ避難民の子ども、外国ルーツの子どもたちに必要な学習支援について難民状況の子どもを含む、海外ルーツの子どもたちに共通する現状や課題と、避難民の子どもたちだからこその状況をまとめているのが、2023年4月に日本財団ジャーナルにて取材していただいたこちらの記事。他にも同ジャーナルにて「避難民と多文化共生」をテーマに、いくつかの記事が公開されていますので、併せてお読みください。日本財団ジャーナルホームページよりスクリーンショット撮影記事リンク:「【避難民と多文化共生の壁】先行きが見えないウクライナ避難民。外国ルーツの子どもたちに必要な学習支援とは?」(日本財団ジャーナル)当事者による、ロヒンギャ難民の子どもたちへの支援活動も!クーリエ・ジャポンホームページよりスクリーンショット撮影日本国内には、ウクライナ避難民の方々の他、アフガニスタンなど、国内紛争から逃れてきた難民の方々に加え、ロヒンギャやクルドなど、民族迫害から逃れてきた方々なども暮らしています。こちら(↑)の記事は、ロヒンギャ出身の女性が日本国内ではじめた、同じロヒンギャの子どもたちへの学習支援について、その活動を支える支援団体「さぽうと21」の取り組みと共に紹介しています。記事リンク:「ロヒンギャ難民の「子ども時代」を奪わないで─日本の学習支援がともす希望」(クーリエ・ジャポン)イラストで、現状と課題をわかりやすくこちら(↓ )のイラストは、拙著「海外ルーツの子ども支援 言葉・文化・制度を超えて共生へ」(2021年、青弓社) の内容を、イラストレーターのCsihiさんがわかりやすくまとめてくださったものです。海外ルーツの子どもの、一般的な現状や課題をかわいいイラストで知ることができます。入門編として周りの方にお伝えする際にも、ぜひご活用ください。どんな背景であれ、ひとりの子どもとして向き合うためにそして実はこの拙著のイラスト紹介がご縁で、今回のクラウドファンディングのトップ画像をCsihiさんに描いていただくことができました。↓のイラストです。今回のクラウドファンディングの企画段階で、一度イメージ用にトップ画像を実際の写真を用いて作成してみたのですが、「難民」という言葉の重さと実際の子どもたちの顔写真が同じ画面に重なることで、偏見や差別を助長してしまう可能性があるのではないか、という懸念がありました。「かわいそうな子」「貧しい子」というイメージを固定化しまったり、特定の宗教や人種のみが難民という状況と結びついてしまう不安が強く、写真ではなくイラストをトップに使用することを決めました。そこでお願いしたCsihiさんが快くお引き受けくださり(感謝!)誕生したこのイラスト。やさしい風合いの中に、未来に向かって成長過程にある子どもの可能性を感じることができる、あたたかなものとなりました。子どもたちにどんな背景やルーツ、事情があれど「●●人」や「難民の子」ではなく、「ひとりの○○さん」として向き合いたいという私たちの想いが、このイラストを通じてたくさんの方にお伝えできたことを、嬉しく思っています。どのような状況にあっても、子どもたちは未来の希望。トップページにも書かせていただきましたが、難民状況に置かれた子どもたちの日常の「安心」や「安全」は、私たちのような支援団体だけが実現できるものではありません。逆に、私たちができることは本当にごくわずかです。だからこそ、子どもたちが日々を過ごす、学校や町の中こそが、彼らの安心を保障する居場所であってほしい。このクラウドファンディングを通じて、難民状況の子どもたちの置かれた境遇や現状に心を寄せてくださった全国のみなさんにはぜひ、身近な地域に暮らす子どもたちへの関心と関与を、引き続きお願いできれば、こんなに心強いことはありません。私たちも、微力ながら子どもたちへのサポートに、力を尽くしてまいります。これからも、それぞれの場で、共にアクションを。NPO法人青少年自立援助センターYSCグローバル・スクール田中宝紀
こんにちは!NPO法人青少年自立援助センターYSCグローバル・スクールの田中宝紀です。なんとなんと、皆さんのご支援のおかげで、目標の100万円クラウドファンディング達成いたしました!!!ここまでご寄付くださった147名(22日、16時現在)の支援者の皆様、SNS等での情報拡散にご協力くださった皆様、そして子どもたちを日々支えてくれているスタッフのみんなに心より、感謝申し上げます。これで、難民状況の子どもたち5名に、6か月間、フルタイムの教育支援と安心できる学びの場を提供することができます!実はつい先日も新たに紛争から避難してきた家族の子どもが学べないか、と、支援団体を経由して問い合わせがありました。まだ日本での生活も安定しない状況。クラウドファンディングでご支援いただいた奨学金を活用して無償でサポートを提供できる旨、お伝えすることになりました。今後も日本で安心できる学びの機会を必要とする子どもたちは、増加することが見込まれます。あと【18万円】(計120万円)あれば、もう1人の難民状況の子どもへ、同じサポートを提供することができます!1人でも多くの難民状況の子どもたちへ、質の高いサポートを無償で提供することができるよう、クラウドファンディング締め切りの23時59分まで、どうぞ引き続きのご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。 NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部 YSCグローバル・スクール田中宝紀
こんにちは! NPO法人青少年自立援助センターYSCグローバル・スクールの田中宝紀です。この度はクラウドファンディング「難民状況に置かれた子どもたちへ、日本で安心して学べる居場所を届けたい!」へのご関心と、あたたかなご支援をありがとうございました。おかげ様で現在90名以上の方々より、約68万円のご支援があり、目標の68%を達成中です!また、今回のプロジェクトは、プラットフォーム「CAMPFIRE for Social Good」の取り組みにより、当方にはプラットフォーム使用手数料の負担なく、全額を子どもたちの教育資金として大切に活用させていただきます。*CAMPFIRE for Social Goodとはhttps://camp-fire.jp/forsocialgood/readyfor尚、プラットフォームの関係上、お寄せいただいた応援コメントに直接お返事できない仕様となっておりますが、皆様からの応援の言葉ひとつひとつに勇気をいただいております!改めまして、心よりお礼申し上げます。*記事中の写真はスクール活動のイメージです。本文とは直接関係ありません。夏休み。虫取り網を持って近くの公園に行きました。YSCグローバル・スクールでは、これまで広く海外ルーツの子ども・若者を対象としてサポートを届けてきました。今回のクラウドファンディングでは初めて、難民状況の子どもに特化したご支援を募ることとなりました。 これにあたっては、スタッフとなぜ全員を対象としないのか、なぜ今それをやるのか、議論を重ねてまいりました。その上で、やはり昨年度と比較してウクライナ避難民への関心が低下していることや、YSCの中でアフガニスタン、ミャンマー、クルド等、これまで以上に難民状況の子どもとの出会いが増えている状況において子どもたちの現状を深く知ることとなり、改めて私たちとして日本の「難民問題」を避けて通ることができないという判断に至りました。毎年、子どもたちと七夕の短冊に願い事を書いて飾ります。定住外国人の子どもも難民の子どもも、日本社会で直面する困難と、必要とする支援の多くは基本的に共通しています。主に日本語教育、日本社会の制度や文化に関わる知識・情報、医療福祉などです。特に「教育」に関わる分野では、当スクールのこれまでの蓄積を活かせることも多いと感じます。一方で、確実に難民であるが故の困難があり、特に来日直後の衣食住の確保、命と安全の保障が必要不可欠な点は定住外国人やその子どもたちの大半と異なります。難民を支援する民間団体などがこれまで取り組んできた衣食住と命・安全の確保は、今後、一層重要な活動となってくるでしょう。第一に優先されるべきことだと思います。世界各地で相次ぐ紛争が長期化し、「いつか帰国するかもしれない」「状況が改善したら母国に帰りたい」と考える難民の子どもたちの避難生活も、予想以上に長引いています。そうした中で、どのくらいの期間になるかは不透明ながらも、子どもたちの健やかな成長に不可欠な「日常を支える」活動の広がりも、また重要だと考えています。当スクールでは、必要に応じて食料配布などを行う場合もありますが、基本的には教育支援に特化して活動しています。いわば、衣食住がひとまず確保された時点で、その「次」を支える取り組みです。難民支援団体の真摯な取り組みによって当面の生活基盤が確保された後、そこからバトンを受け取り、難民状況の子どもたちの(一時的な)「日本の中での日常」が安全で、安心できるものとなるように。私たちのスクールで、学びの継続と子どもらしい成長をサポートする役割を果たせればと願っています。秋には文化祭も。子どもたち発案のクイズ大会で盛り上がりました!12月13日から始まった国連「グローバル難民フォーラム」において 、日本は共同議長国を務めています。国外だけでなく国内における難民受け入れについても、その責任を果たすことができるよう、難民認定制度の改善や支援の充実が求められます。そしてそのためにも、隣人となる地域社会による受け入れ体制の推進を欠かすことができません。今後、難民背景を持つ方々の増加が見込まれる中、私たちも命の危険から逃れてきた子どもたちが、少しでも安心して日本での生活を送ることができるよう、学びの継続をあきらめることのないよう、尽力していきたいと思います。子どもたちの笑顔が、未来に続いていきますように難民状況の子どもたちへ無償で安心して学べる居場所を提供するクラウドファンディングは【12月22日】までの受付となっています。残り【7日】で、あと【38人】の方からの応援が必要です!ご支援検討してくださっている皆様、ぜひお早目の手続きをお願いいたします。また、すでにサポートに参加してくださった皆様にも改めて、お知り合いへの情報のシェア、SNS等での拡散にご協力を賜りますよう、ご協力をお願いいたします。NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部(YSCグローバル・スクール)事業責任者 田中 宝紀
難民状況に置かれた子どもたちへの奨学金を募っている、当クラウドファンディング。寄付総額が計588,300円となりました!(12月12日正午現在) 応援してくださったみなさま、本当にありがとうございます。私たちだけでは届かない方々まで情報が広がるよう、SNSなどでご紹介いただけるのもとても助かります。引き続き、ご協力をどうぞよろしくお願いします!✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤「難民」と聞くと、遠い場所での出来事のように感じたり、自分にはよくわからないから…と気後れしたりする人も多いのではないでしょうか。誰にでも身近な「食」を通じて、そんな心の壁を溶かすイギリスと日本での試みをご紹介します。まずは、イギリスで2017年に設立されたNPO「Migrateful」。移民・難民・庇護希望者のイギリス社会への統合サポートなどを目的とした料理教室を展開しています。Migrateful公式サイト トップページより (2023年12月8日撮影)30カ国を超える国々から来た人々が、イギリスでのトレーニングを経て、Migrateful所属のシェフとして活躍中。対面とオンラインで行われている料理教室は、個人で参加できるオープンクラスに加え、企業・団体向けにチームビルディングの一環として実施されているクラスや、友人・家族などで申し込めるグループレッスンもあるそうです。公式サイトはとても明るい雰囲気で、楽しそうな写真や動画が満載です。Migrateful公式サイト 「About Us – Meet the Migrateful Chefs」 より (2023年12月8日撮影)日本では、認定NPO法人 難民支援協会が難民とともに作ったレシピ本「海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders」を2013年に出版しています。(2020年に新装版発売)「ミャンマー(ビルマ)、イラン、クルド、エチオピアなど、世界15の国・地域から45の家庭料理を集めた日・英併記のレシピ本です。レシピを教えてくれたのは、世界中から日本に逃れてきた難民の方々。故郷の家庭料理を、日本にある食材で簡単に作れるよう工夫されています。2013年に出版されてからたいへん多くの方に読んでいただき、本書の料理を大学の学食で提供する活動(Meal for Refugees, M4R)が生まれるなど、難民への共感を広げるきっかけになってきました」(同協会公式サイト 「活動レポート 日本に逃れてきた難民とつくったレシピ本『海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders』新装版を発売!」より引用)書籍特設サイトより (2023年12月12日撮影)難民支援協会のウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」に掲載されている、「冷戦下の代理戦争から東京の生活戦争へ。シャン民族料理店『ノングインレイ』スティップさんの人生」も併せてぜひ。ラオスからタイの難民キャンプを経て、1983年に来日したスティップさんが「高田馬場の駅前の雑居ビルに、なんとか一つの居場所」(同記事より)をつくるまでをていねいに聞き取った、貴重なインタビューです。上記の記事より (2023年12月11日撮影)在日クルド人女性を中心とした「ハニムのだいどころ」では、伝統的なクルド料理を手作りしています。東京近郊でのイベント出店や埼玉県でのランチビュッフェ(月1回程度開催)で出会えます。詳しくはSNSをチェックしてみてください。InstagramX(旧Twitter)Facebook公式instagramより (2023年12月11日撮影)「ハニムのだいどころ」を含め、世界のおいしいものが楽しめるイベントが「難民・移民フェス」。日本に住む難民・移民との相互交流を目指しているチャリティフェスです。これまで東京と埼玉で計4回開催され、料理・手工芸品・書籍の物販やワークショップなどに多くの人が訪れました。こちらも最新情報はSNSからどうぞ!noteX(旧Twitter)第4回チラシより食べてみたいものや行ってみたいところはありましたか? 食を通じた出会いとつながりを、ぜひ楽しんでくださいね。執筆:福岡里砂(YSCグローバル・スクール 広報担当)
難民状況に置かれた子どもたちへの奨学金を募っている、当クラウドファンディング。現在寄付総額が計470,000円となりました!(12月8日正午現在) 応援してくださった51名のみなさまに、心よりお礼申し上げます。あと【14日】で【53人】の方からの応援が必要です! 私たちだけでは届かない方々まで情報が広がるよう、SNSなどでご紹介いただけるのも大変ありがたいです。引き続き、ご協力をどうぞよろしくお願いします!今回の活動報告では、当スクールで教科学習支援と多文化コーディネートを担当する渡部陽子さんが、教室での子どもたちの姿をお伝えします。*写真はスクール内のイメージです。本文とは直接関係ありません。✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤難民状況にある子ども・若者の学びを考える今年度、当スクールではウクライナ、アフガニスタンなどから来日した、約30名の難民状況にある子ども・若者が学んでいます。今回はそうした子どもたちの福生教室(東京都)でのようすをご紹介します。授業中は、難民状況に置かれた子どもと、海外にルーツを持つ他の子どもとのようすに大きな違いはなく、日本語や教科を指導するスタッフもほぼ同じように対応しています。生活環境を見ると、来日後も両親と暮らしている子どもがいる一方で、父親と離れて母親のみと同居、あるいは両親と離れ祖母と暮らしているといったケースもあります。家族や友達と楽しく過ごしていた母国での日常や学校生活を突然奪われ、何の心の準備もないまま日本に来ています。予想していた以上に日本での生活が長期化し、ストレスを抱えている子どもも多いようです。日本の小中学校に通ったり、日本での高校進学を目指したりしている子どももいれば、母国のオンライン授業や試験を受け続けながら、日本語を勉強している子どももいます。両親と離れ、祖母と避難してきた中3の生徒は、日本語や教科の勉強にあまり集中できず、授業中もよくふざけていました。今年の夏、出身国に一時帰国して日本に戻ってくると、日本の高校に進学するという気持ちが固まり、真剣な表情で授業に取り組むようになりました。早く母国の状況が落ち着いていたなら、家族や友達と故郷で楽しく過ごしたかっただろう生徒が決心した進路。日本で希望の高校に進学できるようサポートして、少しでも楽しく充実した高校生活を送ってほしいと願っています。母国の悲しいニュースを聞いたり、家族や友だちとの楽しかった日々を思い出したりして、授業中に落ち込んでしまう子どももいます。「外」という漢字を勉強した時、カタカナの「タト」と読み、母語で「お父さん」の意味だったため、母国に残っているお父さんを思い出して悲しい気持ちになった生徒もいました。七夕の行事で生徒たちに短冊に願いごとを書いてもらった時には、他の生徒たちが希望にあふれた言葉を書く中で、難民状況に置かれた生徒が「ぼこくのせんそうが はやくおわれば いいのに」と書いているのを見て、胸が苦しくなりました。日本語の授業で「~したいです」という文型を勉強した時は、難民状況に置かれている生徒が「国に帰りたいです」という文を発表すると、他の生徒たちから「(わたしも、ぼくも)国に帰りたいです」という声が上がりました。当スクールの難民状況ではない生徒たちの中にも、「家族と離れて暮らしている」、「自分の希望ではなく日本に来ることになってしまった」など、さまざまな事情を抱える子どもが多くいます。難民状況に置かれた生徒の悲しい気持ちを「そうだよね」と受け止めてくれる仲間がまわりにいて、自分と似たような気持ちの子どもが他にもいると気づく。そして、多様な国々から来た子どもたちと、つらい気持ちを日本語で分かち合える。そういうことがとても大切だと思っています。当スクールでは出身国が同じ生徒同士が母語を使って親しくなるようすも見られますが、それぞれ違う出身国の生徒たちも、英語や習ったばかりの日本語でとても仲良く過ごしています。難民状況に置かれた生徒の中には、過去に日本で数年間過ごし、来日して間もない他の子どもよりも日本語が得意な生徒もいます。高校受験に向けた作文や面接の練習では、授業が終わった後も仲の良い生徒たちが数名、自主的に教室に残り、日本語が得意な生徒が他の生徒たちの作文に助言してあげたりしています。数学や英語が得意な生徒は苦手な生徒に教えるなど、お互いに助け合いながら勉強しています。母語を思い切り使えることは、当スクールが生徒たちにとって心安らぐ場所となっている理由のひとつです。同時に、限定的でも日本語や英語を使いながら、多様な国にルーツをもつ子どもたち同士が友情を深めることも、気持ちの安定につながっています。母国でサッカーが好きだった子どもが、いま日本で暮らしている地域のサッカークラブで楽しんだり、空手が好きだった生徒が地域の空手教室で練習していたり。当スクールの外にも、難民状態にある子どもたちが楽しめる場所が増えてきました。子どもたちが好きな活動を通して地域とのつながりが生まれ、難民状況に置かれた子どもたちの存在を多くの人が知り、身近に感じて興味や関心を持つことで、子どもたちの安心安全な居場所が広がってほしいと願っています。