【あれから5年】

2019年の製作から5年が経とうとしてます。この5年、より良い財布を作ろうと考えに考えて来ました。試作も何度も繰り返してきました。一歩進んでは一歩下がるの繰り返し。そしてようやく完成しました!と言いたいところですが、仕様の変更は一切なし。悪く捉えれば、何も進展がなかったと言えますが、良く捉えれば、これ以上の品はない!とも言えます。

という事で、今回は、革のみを変更して受注を受けることにしました。より素朴なヌメ革を使うことでほんの少しだけ軽くなって再登場です。

【次世代へ向けた財布の提案】

スマホ決済が普及し、コロナもあり、お財布事情は大きな転機を迎えております。カードをたくさん入れた分厚い財布も良いですが、スリムなお財布を探しはじめた方も多いはずです。薄く 、小さく 、軽く 、 そして 収納力がある。なんなら使い勝手も良い方が良い!そんなお財布はないのか? 作ることはできないのか?

クリエイティブな視線で従来の財布を大改造。これまでに無い独自の発想で新しい  “長財布”  を考えました。増え続けたカードも、これからはきっと、減っていくことに。しかし、従来型のカードはまだまだ必要。お札も小銭も使いやすく、スマートに。

『カードをたくさんもっても良いし、減らしても良い』

カードの枚数を気にせず、時代にそって変化していける、そんな新しい財布の提案です。






ただ小さくするのは誰だって出来る。小さくも使いやすく、そして、必要量が入るように試作を重ねました。ストレスなく使える!を最優先して設計いたしました。サイズはお札がちょうど良く、出し入れもしやすい。カードもしっかり収納可能。そんなサイズ感となっております。




革はどうしても重たいもの。市販のお財布でも軽いものと言うのは実際にはよく販売されてますが、そのほとんどが、見えないところで生地を使ったり、革自体は非常に薄いものを使ったりと工夫してあるものがほとんどです。本作品は全て本革のみ製作しております。1mm以上のしっかりした革でありながらも、「軽い」を実現できたのは豚革のおかげ。

豚革は軽く、薄くしても丈夫であるというのが最大の特徴です。程よく伸びるのも、今回の作品にピッタリです。今回の革は前作に比べ、素朴な革なので、わずかにですが軽くなっております。

※固体によって多少重みは異なります。



カード収納は融通の利く設計となっております。カードをたくさん入れるも、少なく入れるも使い手次第。試しにどのくらい入るのか試してみましたが、たいへんな量が入ってしまいました。あくまでパフォーマンスとしての最大量ですので、普段使用にはお勧めできませんが、大容量は証明できたかと思います。



決して極端なお話ではなく『モノを作る=ゴミを作る』だと思います。何かしらのモノを作る上で、どうしても色んなゴミは発生します。出来上がるモノ以上にゴミと言うのは発生するものです。そして、出来上がったものも最後の最後の最後、いつかは必ずゴミとして処分されるわけです。作り人である以上、作ったもの、作った時に出たもの、すべてに責任を持たなければいけません。

革は大きく分けて、重金属系薬品の“塩基性硫酸クロム”を使って作る『クロムなめし』と天然の植物タンニンで作る『タンニンなめし』の二つに分類されます。クロムなめし革が1~2日でなめされるのに比べ、タンニンなめしは数ヶ月かけて作られます。手間と時間がかからないなどの理由で、現在流通しているほとんどの革製品がクロムなめしで作られております。 

重金属系薬品のクロムなめしの革に比べ、タンニンなめしは植物の力のみで作られているため地球にもやさしく、人にもやさしいと言えます。コスト面でもタンニンなめしの革の方が圧倒的に高いわけですが、これまでも、これからもこのタンニンなめしにこだわり、作品づくりをしていく予定です。それだけ、タンニンなめしの革には魅力があります。

また、あまったハギレも捨てることなく無駄なく使うよう、小さなアイテムなど出来る限り製作しております。今回は同時進行で通常捨てられるであろうハギレを使った、新しいプロジェクトを立ち上げました。よろしければ、こちらもご覧ください。

『新人育成プロジェクト ~絶対に捨てない!豚革ベリーでつくる魅惑のレザーバッグ』



タンニンなめしの革の最大の特徴は、『経年変化』です。

「革は使うと味が出て良いよね~」と良く聞く言葉ですが、これは半分正解で、半分間違いです。実はこの『経年変化』が楽しめるのはタンニンなめしの特徴で、クロムなめしの革はそこまで経年変化を楽しめるわけではございません。

経年変化と一言で言ってもなかなか伝わらないかもしれませんが、具体的に言うと、使い込んだ時間と共に革が柔らかくなり色艶が増してきます。使う人によって、変化の具合は異なり、自分で革製品を育てていく喜びがあります。 

そして、経年変化を楽しむだけであれば、どんな製品でも良いわけです。その瞬間、使うこと自体もなんだか楽しめるようなものができたら良いなと、日々思いながらものづくりをしております。

最近知った言葉で「経年美化」と言う表現があるようです。アンティークの絨毯などは100年使われたものだから美しく、価値があるという考えです。自分たちが作った作品もそのように扱ってもらえるような品物を目指したいと思います。

赤色の経年変化サンプル 1年ほど



めざせ純国産!革はもちろん、小さなパーツまですべてこだわりました。日本で流通している革の多くは外国産となっております。国内メーカーの革ですら、原皮は海外のものというのは非常に多いです。今回使用している豚革は国内消費された、純国内産のものとなります。金具やパーツもすべて国内メーカーのものを使用しております。

※ボンドやテープなど細かなものは国内メーカーではありますが、国内製造であるのかは未確認です



多くのプロダクトはデザイナーと職人が別れており、考える人と作る人は違うことが多いですが、本作はプロダクトでありつつも、作品として責任持って、すべて一人で最初から最後まで製作いたします。革の表情であったり、わずかな違いを楽しんでいただけたらと思います。



革製品に限ってではないと思いますが、世にあふれている品々は必要のないデザインが多すぎると言うのが個人的な印象です。

革製品に限っては、必要に見せかけて、材料節約のためにポケットをつけてあることが多々あります。洋服などでも昔から思っていたことで、「このロゴがなければ良かったのに」

そういう必要に見せかけたデザインや、無駄な自己主張的な刻印、そのような無駄はすべて排除し、必要最低限でありながら、美しいと思えるようなデザインを目指しました。個人的には「機能美」という言葉が大好きです。





スマホ決済が増えるなか、従来型のカードはまだまだ必要。増え続けたカードも、これからはきっと、減っていくことでしょう!!お札も小銭も使いやすく、スマートに。カードをたくさんもっても良いし、減らしても良い。カードの枚数を気にせず、時代にそって変化していける、そんな新しい財布の提案です。

● 小銭入れ

 大きな口が開くので、収納力はもちろんのこと、見やすさ、取り出しやすさが格別です。

●お札入れ:2箇所

 仕切りは自由に動くため、非常に中が見やすい構造となっております。お札を分けるも良し、レシート入れにするも良し。

●縦型カード入れ:4箇所

1枚づつ入れても良し、たくさん入れても良し。

● 横型カード入れ(手前)

お札入れと小銭入れの間に位置します。大きめに設計してるので、容量も大きく、取り出しやすくなって おります。一番良く使うクレジットカードを数枚というのが使いやすくてオススメです

● 横型カード入れ(手前)

お札入れの奥にひっそり設置しております。5枚程度がちょうどの大きさ。あまり使わないカードを入れておくのも良いですが、一番のオススメはsuicaやnanacoなどの電子マネー用のカードを仕込んでおくことです。財布を開くこともなく、ささっと決済!スマホを開くよりも早くてスマートです。




ナチュラル = ホワイト(白)ではありません。ナチュラルカラーとは、染料の入っていない革そのままになっています。生成りが基本の色となります。どの色も色変化はありますが、ナチュラルが一番、色変化が強いです。革の変化を楽しむ、革そのものを楽しむにはとても良いのですが、その一方で、とてもデリケートでもあります。

雨などによって濡れるとシミになりやすく、汚れも目立ちます。扱いに工夫、慣れが必要なカラーがナチュラルです。そのことをご理解頂いた上で、ご注文いただければと思います。素朴な革を育てるのが好きな方、どちらかというと革の扱いになれている革上級者さん向けになります。

※濡れると必ずしもシミになるというわけではないです。また、シミになっても上手にケアすれば、気にならない程度まで薄くする事はできます。


今回選んだ7色はどれも長く使う上で、楽しんでいただけるようなお色を厳選しました。色によって、それぞれ特徴がございますので、お選びになる際の参考にしてみてください。

『ナチュラル』はもっとも色変化、経年変化を楽しめるお色となります。その分、デリケートなところもあり、汚れも目立ちやすく、シミ等もつきやすいです。長く使っていくことで、人の油が革に移り、シミもつきにくくなりますが、新品の時は扱いに注意が必要です。

『ブラック(黒色)』はその反対。汚れは全く目立たず、シミも発生しません。その分、経年変化も感じにくいです。革の風合いというのはしっかり変わっていきますが、色変化が無いので、色変化を楽しみたい方には不向きです。

『ブラウン(こげ茶)』も色は濃いので、傾向としては黒に近い印象ですが、黒ほど色は濃くないので、色変化は少し楽しめます。汚れも目立たず、シミもなりにくいです。長くゆっくり色変化を楽しむ方、色変化を好まない方におすすめです。

『レッド(赤)』、『ブルー(青)』、『グリーン(緑)』、『キャメル』は上記のもの中間的な印象です。色変化も楽しめますし、ナチュラルほどデリケートでもなく、扱いも楽です。十分、革らしさを楽しめる一品です。革好きの方でも、色物の革は使ったことがないという方も多いのでは?鮮やかな印象のお色も使っていくと、落ち着いた色に変わっていきます。ただ、革は染めものなので、全く一緒なお色の革と言うのは、存在しません。染めによって色のブレ幅が大きいのがこの4色です。写真の印象とは少し違った印象の物が届く可能性もございます。




【スケジュール】
2024年4月 クラウドファンディング終了
2024年5月 革発注
2024年6月 製作開始
2024年7月 順次発送


【支援金内訳(10万円の場合)】
材料費:約2万円
人件費:約6万円
CAMPFIRE掲載手数料・決済手数料:約2万円
目標合計額:10万円


【24D leather craft とは?】

最後に改めて自己紹介をさせて頂こうと思います。24D leather craft代表の西田圭吾と申します。作家活動を始めたのが今から14年前。大学を出て、アジアを旅したのがきっかけでした。

いまでもそうだと思いますが、日本に比べ、アジアではまだまだ当たり前のように手作りの品が身の回りにあります。昔から継承されている工芸品はもちろん、ちょっとしたものは自分たちで作ったりもします。感覚的なものが180度変えられたよう気がします。

帰国後、すぐにものづくりに没頭しました。それまでの人生で、ものづくりに携わったのは、学校の技術や家庭科の授業ぐらいでしたが、毎日毎日没頭して作り続けると、すべて独学ではありましたが、人は案外作れるようになるようです。

気がつくと、グアテマラに民族衣装を買い付けに行って作品作りをしたり、工房をセルフビルドしたり、自宅をセルフリフォームしたり、レコード屋さんを開業したりと、何でもかんでも手作りしてました。

この14年間、休むことなく、ものづくりの活動をしてきて、今回のクラウドファンディングは作品からプロダクツへの挑戦であり、集大成でもあります。

独学ゆえの苦労と斬新さ

独学は非常に時間がかかります。師匠に一言、言われれば分かることも自分で気づくには10年かかることもあります。いや、むしろ気づかないままのことの方が多いのかも知れません。多くの作家が当たり前に知っていることも、もしかしたら知らないことってたくさんあるかもしれません。

しかし、その逆に、革製品においての当たり前を知らないが故の発想力、斬新さから、生まれてきたものも多いと思います。

民族衣装を使ったシリーズ

廃材利用のセルフビルドの工房

【習うより慣れろ】

気がつくと15年目、こんなわたしも教える立場となっておりました。教わったことがない者がどう教えるべきか。習うより慣れろ精神です。と言うのも、個人的な意見ですが、技術的なことは時間と共に習得することは出来ますが、無我夢中の作品にエネルギーを注入すると言う行為は、初期衝動が一番大事だなと思ってます。

そんなこんなで、新人育成プロジェクトを立ち上げました。よろしければ、ご覧ください。


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