オランダ統治下にあったバリ島。武器になるからと禁止された竹製の楽器はいつしか忘れられた存在となった。1970年代、それを復活させるために人生を掛けたバリ人とその妻の日本人女性がいた。彼らが復活させたジェゴグはやがて、世界的成功を収めるまでに成長した。

その想い、未来へと続け!ジェゴグ復活ドキュメンタリー制作プロジェクト。

※2024年現在、スアール・アグン楽団をはじめ、ウブドにあったジェゴググループも活動を休止しており、定期的なジェゴグの公演がバリ島から消えてしまっています。


ジェゴグって、スアール・アグンってなに?

 ジェゴグ(Jegog)とは、インドネシア・バリ島西部のヌガラという地域で生まれた楽器です。バリ島の楽器というと、青銅製のガムランが有名ですが、このジェゴグはジャングルから切り出された竹を筒状にし、それを木琴のように並べた形をしています。演奏はひとつの楽団が大きさの違う14台のジェゴグを奏でるアンサンブルスタイルで、なかでも一番大きなジェゴグが生み出す音はまさに「大地の響き」。現地ヌガラで聞くと、お腹に響く重低音に驚かされます。また、ふたつのグループが同時にジェゴグを叩きあって勝ち負けを競う「ムバルン」は「音の格闘技」ともよばれ、観客を巻き込んでの熱演が繰り広げられます。

1920年代の終わりにヌガラ地方で発祥し、村人の娯楽として広まっていったジェゴグですが、第二次世界大戦後、インドネシアを統治したオランダ軍から「竹は武器になるので危険」だと没収されてしまいました。こうして村人たちから忘れられてしまったジェゴグを再びよみがえらせたのが、1970年代にスアール・アグン(Suar Agung)という楽団を立ち上げたイ・クトゥッ・スウェントラ氏でした。スウェントラ氏は日本人の奥様、和子さんと力を合わせてジェゴグを復興させ、国内外で公演を行う実力あるグループにまで育て上げました。1998年、フランス開催のワールドカップでは開会式のパレードに参加。また日本をはじめとする海外公演も数多く行い、様々な国のアーティストとのコラボレーションも実現させてきました。

↑UBUD TVさんより提供していただいた動画です。

プロジェクト立ち上げの背景

 昨年2023年9月、バリ島の代表的なジェゴグ・グループ「スアール・アグン楽団」の発展に人生の大半を費やしてきた和子(ニョマン・ユリアストゥティ カズコ)さんが亡くなりました。スアール・アグン創始者である故スウェントラ氏の妻としてジェゴグ復興に力を尽くし、またバリ島在住日本人の心の母として慕われた和子さんの死は、多くのバリ人、日本人、ジェゴグファンにとって悲しい出来事となってしまいました。

2018年5月にスウェントラさんが他界し、その後のコロナ禍で観光客が激減し、昨年は和子さんが亡くなるという状況が続いたため、バリ島では現在、スアール・アグンのジェゴグを鑑賞できる定期公演がなくなってしまいました。私、関将を始め多くの人がその復興を願って何かしたいと思ってはいるものの、バリ人じゃないと出来ないことばかりで歯がゆい思いをしています。このままではジェゴグの存続さえ難しいとその現状を憂う方も少なくありません。

昔からのジェゴグファンはもちろん、ジェゴグを知らない人にもその魅力を知ってもらい、ジェゴグを、スアール・アグンの活動を応援するためにはどうしたらいいか。そう考えた時、スアールアグンの歴史・功績を、和子さん、スウェントラさんのヒストリーも含めて紹介する制作物(以下、デジタルコンテンツとよびます)を作ろう!そう心に決めたのがこのプロジェクトを立ち上げるきっかけになりました。


このプロジェクトで実現したいこと

このプロジェクトで実現したいのはズバリ、ジェゴグ復興にかけたスウェントラさんと和子さんの功績をまとめたデジタルコンテンツを制作することで、ジェゴグを再認識してもらうことです。私を始め、多くのジェゴグファンが数々の苦労話や信じられないようなミラクルなエピソードをおふたりから聞いてきました。そんな話から偲ばれるおふたりの人柄も、今では懐かしいものになってしまいました。だからこそ今、スウェントラさんと和子さんの偉業をデジタルコンテンツという形にして残したいんです。コンテンツ(読み物・映像・画像等メディアなど)の内容には、スアール・アグン楽団員や関係者、共演者、ファン、おふたりの友人知人などのインタビューも予定し、その歴史、活動履歴等を数々の証言や資料をもとにまとめあげたいと思います。そしてこのデジタルコンテンツをきっかけに、再びジェゴグにスポットライトを当て、まずは2025年に行われるバリ島最大の芸術祭「バリ・アートフェスティバル」でのスアール・アグン楽団の出演を後押しするところまで頑張ってゆきたいと思います。
2010年バリ・アートフェスティバル出演時(スウェントラさんと僕)


デジタルコンテンツは、みんなで作る参加型。
あなたの思い出を募集します!

このデジタルコンテンツの特徴は、みなさんから寄せられた素材で作ること。スアール・アグンの演奏を聞いたことがある方、スウェントラさん、和子さんと交流があったなどの方々で、「コンテンツに使ってもいいよ」という写真や動画、コンサートのフライヤーなどがあったら、ぜひ送ってください。また、「公開してもいいよ」というエピソードや思い出話があれば、ぜひコメントにしてお寄せください。あの時、あの感動をシェアしましょう!
ヌガラ公演でのスウェントラ・和子夫妻

 

●応募素材(以下、4種ありますが複数項目をお送りいただいても結構です。)

1. 写真 

*プリント写真はデジタル化して送ってください。

*キャプションを添えてください。(撮影日時、撮影場所、その時の状況などわかる範囲で。125文字以下)

例文:1993年、ヌガラで初めてスアール・アグンのジェゴグ鑑賞。大きなジェゴグの下に潜って重低音を体感したり、ジェゴグを叩かせてもらったり、楽しい時間を過ごしました。ジョゲ・ブンブンでヘタな踊りを踊らされ、バリ人から大爆笑されたのもいい思い出です。

 

2. 動画

*mpg、mp4、mov等のデータ(DVD、USBメモリーなど物理メディアは受け付けられません)
トリミング等エディットは済ませてから、ギガファイルやgoogle drive、one drive等へのアップロードしたダウンロードリンクをお送りください。(ダウンロード期限は最長で、drive等をお使いの際はダウンロード出来る権限を確認したうえでお送りください。)

*キャプションを添えてください。(撮影日時、撮影場所、その時の状況などわかる範囲で。125文字以下)

例文:写真の例文を参照してください。

 

3. フライヤー(チラシ)

*デジタル化して送ってください。(同じフライヤーが複数集まった場合は、キャプション文章のみを掲載させていただくことがあります。)

*公演日時・公演会場と、その公演の思い出などを書いたキャプションを添えてください。(125文字以下)

例文:2004年8月6日・東京サントリーホール。いつもヌガラの自然のなかで聞いていたジェゴグがなんとサントリーホールに登場!音響はすばらしかったけど、やっぱり体を揺らしたり、踊ったりできるヌガラ公演が楽しいな、と思ったのがホンネです☺☺

 

4. コメント

*800文字程度以内。

*文体は自由。ジェゴグ、スアール・アグン、スウェントラさん、 和子さんにまつわるあなたの思い、とっておきのエピソード、思い出話などをまとめてください。

*日時と場所などはわかる範囲でお書きください。

*多少の校正(加筆訂正)をする場合がございますのであらかじめご了承ください。また、プライベート過ぎる内容で、公表すべきではない内容があった場合は、著者さまと相談の上、校正させていただくこともあります。


■必須事項

*投稿者の氏名(掲載時に匿名希望の場合はその旨を明記してください)。

*連絡先メールアドレス

■投稿はこちらまで

sekishow12@gmail.com

自己紹介
【実行委員】

I Gede Oka Artha Negara(イ・グデ・オカ・アルタ・ヌガラ)
ジェゴグ奏者・作曲家 スアール・アグン創始者スウェントラ氏の長男であり後継者。現在カリフォルニア大学サンタクルーズ校にて講師を務める。アメリカでのジェゴグ等バリ島の文化の流布に貢献しながらもバリ島、日本での演奏活動も活発に行っている。


関将(せき・しょう)
ギタリスト・作曲家・プロデューサー
B’z稲葉浩志のソロアルバム「マグマ」やTWINZERに参加。最近では大澤誉志幸のツアーにも参加。作曲家としてはナベプロ・エイベックスほか大手プロダクションのアーティスト,CM音楽など楽曲提供や舞台音楽も手掛ける。インドネシアのジャカルタ、バリ島でも現地アーティストや竹のガムラン ジェゴクなどとのコラボレーションやプロデュースも行う。
現在、ロッカ★フランケンシュタインのほか、ジャズ、ブルース、民族音楽他を基調としたソロギターでJapanツアーやインドネシア・NY他で展開中。『同じミュージシャンとして、スウェントラさんとは言葉を越えたすばらしい時間を過ごしました。』

伊藤博史(いとう・ひろし)
1990年からバリ島に在住し、1993年からジェゴグ発祥の地、ヌガラでのスアール・アグン定期公演を催行。ほかにも年末の特別公演、4チームによる ムバルンの実現、ヌガラの海岸での公演などをプロデュースして日本人ファンを増やした。スウェントラ氏亡き後の2021年には、コロナ禍でもスアール・アグンの演奏を届けようと、オンラインでの「応援ライブ」を開催している。『ジェゴグを通じてたくさんの人たちと知り合いました。その思い出はかけがえのないものです』

中谷 薫 (なかや・かおる)   
バリ舞踊家
バリ島旅行の際にバリ舞踊を鑑賞した事がきっかけでバリ舞踊を学ぶことになり、1999年インドネシア国費留学生としてインドネシア国立芸術大学デンパサール校舞踊科入学。 現在はバリ芸術祭や寺院、儀式での奉納舞踊、国内外の公演を行う傍ら、バリ島内外での指導も多数行っている。
『スウェントラさんは大学の大先輩で、私が大学生の頃からお世話になり、色々な事を教えていただきました。和子さんはバリのお母さんの様でした。スアール・アグンとは何度も一緒に公演させていただいたり、テレビに出演させていただいたり、全部がキラキラした思い出です。心から感謝しています』

西村久美子(にしむら・くみこ)
1991年の東京公演で初めてスアール・アグンを鑑賞。以来その魅力にはまり、ヌガラ、東京、佐渡などの公演に頻繁に足を運ぶ。現役ライター時代には和子さんへの取材経験もあり、2012年にバリ島在住となってからは和子さんと個人的交流も深めた。『お世話になった‘’バリのママ‘’へ少しでも恩返しができればと思っています!』


現在の準備状況

バリ島での楽団メンバー、関係者などへのインタビューを通じて史実をまとめたり、ネットに散在している過去のフライヤー、ブログ、インフォメーションから拾った情報までも収集しております。


リターンについて

※記入必須となっている氏名の小文字アルファベット表記の例です。

例えば

山田太郎 yamadataro

山田花子 yamadahanako

のように記載お願いします。


・デジタルコンテンツ
今回メインとなるのがデジタルコンテンツです。アカウントとパスワードを入れてログインする会員サイトのようなイメージです。当初、冊子やメディアでの完成品も候補にありましたが、制作費用が高額ということもありますが、やはりアップデート可能なクラウド上のデジタルコンテンツの方が楽しみも増えると思い、この方法を取りました。

スアールアグン楽団、スウェントラさん、和子さんの3つの柱を中心にジェゴグが世界に羽ばたき、現在に至るまでを追いかけます。年表、資料、ディスコグラフィー、画像、映像、文章などで構成されます。

【映像コンテンツの内容】
バリ・アートフェスティバル2008、2010
その他スウェントラさんの演奏シーン
スアールアグン楽団員・関係者インタビュー
(最低でも合計3時間以上)



CD 『The Art Sound of Earth』(ダウンロード版)
スウェントラさんの最後のレコーディング(遺作)となりました。(2010年発売) 
このアルバムタイトルは和子さんの案でした。僕がプロデュースしたのですが、スアールアグンのジェゴグ演奏だけでなく、スウェントラさんの魅力を引き出そうと、彼のクンダン、ティンクリック等の演奏、Jun Bintangの『ありがとうマデ・ジェゴグバージョン』も収録しました。残念ながら現在流通していない廃盤となってしまったため、今回新たにリマスターしたダウンロード版でお届けします。

The Art Sound of Earth(9曲入り合計約64分)

※通常版のほかハイレゾ版もございます。

ハイレゾ(Hi-Res Audio)とは、High Resolution(ハイレゾリューション)の略で、「高精細」や「高解像度」を意味します。音楽データの情報量が多く、CDよりも高音質の音源です。原音の波形を24bit/96kHzなどの高い解像度でデジタル保存しており、圧縮音源では伝えきれなかったレコーディング現場の空気感やライブの臨場感をより感動的に体感することができます。

スケジュール

5月、SNSを駆使して皆様からのコンテンツの募集を開始します。
5月、デジタルコンテンツ製作開始(インタビュー動画撮影含む)
8月、クラウドファンディング終了  
9月中、コンテンツ完成後、順次支援者様にコンテンツへのログイン方法その他リターン品に関してをメールでご案内いたします。

それ以降、新たなコンテンツを随時アップデートしていく予定です。



資金の使い道

製作費想定額   

デジタルコンテンツ(映像以外):約200,000円

CDリマスター等:約100,000円

映像制作(撮影・編集・字幕・通訳その他含む):約900,000円

キャンプファイヤー手数料(17%+税):約280,000円

上記、ざっくりではありますが、もし目標に届かない場合、ロケの予定地が変更になったり、インタビューが動画から文章になったり、など工夫して完成させていきます。


最後に

バリ島の音楽であるジェゴグの復興に関しては、我々日本人であるがゆえ、当事者であるバリ人が奮起しない限り簡単にいかない部分も多々ございます。しかし、逆に日本人だからこそ出来ること、例えば過去の実績をまとめあげる、後押しをする(援助する)などは十分に出来る!と思っております。 日本におけるバリ島ブームもとうの昔に過ぎ去ったものの、多くのバリ人にとっては日本人の存在感、存在意義は依然として大きいと僕は実感しています。 バリ島では、ヤシの木以上の高さの建造物は禁止されています。それはとある日本人の助言から始まった法律と聞いております。さらにはインドネシア独立には日本人の存在が必要不可欠でした。だから、日本のみなさんに助けていただく今回のプロジェクトも成功すると信じております。 が、もちろん僕ら少人数のチームだけでは成し得ません。インドネシアの文化功労賞まで受賞したスウェントラさん、そしてスアール・アグン楽団の軌跡を風化させないために、皆様ぜひ、どうか力をお貸しください。よろしくお願いします。


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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