はじめまして!


神奈川県小田原市にあるゲストハウス「Tipy records inn(ティピーレコーズイン)」のコアゼユウスケです。



お試し移住の取り組みなど移住促進に関する活動をしたり、小田原市の創業支援拠点クリエイティブワークスペース「ARUYO ODAWARA」のお手伝いをしたり。宿だけではなく、小田原に関連するいろんな活動をしています。


・お試し移住実績:108組の案内のうち31組75人の移住を後押し移住成功率28.7%(2020年4月より開始)
・延べ宿泊人数:10,000人以上
・延べ宿泊グループ数:4,600以上


2018年にスタートしたTipy records innは、箱根に壊滅的な被害を与えた台風やコロナなど、これまで幾度とない大ピンチに見舞われてきました。


そのたびに「CAMPFIREに頼りたい…。今、クラウドファンディングやったらお金集まるんじゃないかな…」と思ったこともありましたが、やりませんでした。



それは「前向きなチャレンジのときに、みんなとワクワクする挑戦をしたい!」という思いが強かったからです。


そして今回、そのときがやってきました。


僕らティピーにとって「心臓」と言ってもいいような場所があったのですが、立ち退きをすることになり、なくなってしまったんです。そこで、その心臓部分を移転させるに当たって、「どうせなら、もっとパワーアップさせたい!」と思っています


宿泊者だけじゃなく、小田原の人が、町を訪れた誰かが、そして今この記事を読んでくれているあなたが、フラッと立ち寄り、ふと素顔になれるような。


そして、「何かがはじまっちゃう」ような。


そんな、カフェ&ラウンジが併設した宿をつくります。


名前は、「Tipy records inn photon(ティピーレコーズインフォトン)」



ぜひ、みなさんの力を貸してください。


いや、小田原に、ティピーに、遊びに来てください!



小田原駅から、徒歩3分。


最高に美味しい飲食店の立ち並ぶ「東通り」から一本入った通りにある。


駅前とは思えない昭和の香りがプンプンする、築70年級の建物が残るエリアに、ティピーはある。


3棟・8部屋、全部屋個室、分散型のゲストハウス。


1棟目。Tipy records inn hanareは、築70年の古民家に4部屋の個室。



2棟目。Tipy records inn houseは、築60年の一棟貸しタイプ。



3棟目。Tipy records inn roomは、ゆったり広いアパートタイプ。



そして、Tipy records innには「レコード・ディスカウント」という割引がある。


これは宿泊時に、その人の思い出のレコードやCDを「THE RECORD PAPER」というメッセージシートと共に寄贈してもらうと、宿泊料金が500円引きされるというもの。


この割引で贈られたレコードは、100枚以上。


ティピーには、世界中からありとあらゆる音楽と、元の持ち主の物語が集まっている。


僕は中2のときから、学校に行ってない。高校にも行ってない。



その代わりに、レコードショップやライブハウスで多くを学び、世の中に縛られていないカッコいい大人たちと出会った。


さらに、町からはどんどん、音楽を買う店がなくなっていく中で、「なんとか小田原でレコードショップをつくることができないか?」と考えたときに思いついたのが、このアイデアだ。




もうひとつ大切にしていることは、小田原の町の魅力を伝えること。


ティピーに泊まりにきてくれるゲストのほとんどは箱根や富士山のついで。


それでも海外からのゲストは「いい町だね」と言ってくれて連泊もしてくれる。


恥ずかしながら自分たちでもその魅力を知らなかった。コロナの中で小田原にあるゲストハウスの仲間たち同士で今やるべきことはなんだろう?と考えた結果、「地元を旅しよう」というテーマに行き着いた。


海外の人にとっては魅力あるまち小田原。自分たちがもっと知ることでコロナのあとに遊びにくるゲストにも「こんなに楽しいところがあるんだよ!」と伝えることができる。


「地元に住む人が地元のことを語れるようになることがPRになるんじゃないか?」と考えて、その日から小田原で遊びまくる日々が始まった。


その結果、ティピーのローカルマップが出来上がった。



ティピーで全員のゲストに会って町の紹介をすることは正直難しい。それでもこの町で十分に楽しめるように、ティピースタッフ御用達のお店をまとめた。このマップは地元の人にも人気ですぐになくなってしまった。


コロナに入ると同時に、小田原市協力のもと、お試し移住のプランも展開した。小田原に移住したい人に向けて二泊三日で滞在してもらい、2時間のまち案内を行う。


移住の相談は、行政の窓口や不動産屋さんに相談しても、ディープな本当のところの情報に辿りつきにくい(もちろん行政や不動産屋さんにしかできないこともある)。そこをフラットに宿屋の店主が案内することで、実際に町に住む人のリアルな声を届けることができる。


2020年の夏、緊急事態宣言明けから多くの反響があり滞在中に家を買う人も現れた。


利用者で移住した人は70名を超えている。町中でよくすれ違ったりするし、なんなら一緒に仕事したり飲み仲間にもなっていたり。


ちょっとおこがましいけど、ティピーの存在は宿泊施設を超えて、小田原の文化になりつつあるんじゃないかと思ってる。でも、そう信じてる。





「何かがはじまっちゃう」



宿泊施設が掲げるスローガンとしては、ちょっと意味がわからないかもしれない。


これは、「ティピーに関わる人は、何かがはじまっちゃうことが多いよね!」という話から、スタッフや周りのみんなで考えたものだ。


(世の中に対して言ったことはこれまでにあんまりないんだけど…)実は、このスローガンの手前には、僕らの大切なミッションがある。



「心のパンツを脱がす」



自分の中で、自分を形成してると思い込んでるものは、大概余計なものだ


僕は昔、「勉強ができる自分」や「学校に行っている自分」が自分だと思っていたが、そんなことはなかった。


学校に行かずにゲームをやり、父のギターを弾き、チャリで町中をさまよい続け、カッコいい大人たちに出会う。


そうして好きなことにのめり込んだ先に、本当の自分を見つけた



他人の人生を歩むことでまとい続けた「心のパンツ」は、プライドもろとも中二で脱ぎ捨てた。全裸になってはじめて、「何かがはじまっちゃう」んじゃないだろうか。


ティピーは僕だけでなく、僕よりもずっと心が全裸状態の人たちが集まっている。そして、このゲストハウスの環境をつくっている。


客室清掃ひとつとっても、自分と、その場と、遊びに来てくれるゲストと、徹底的に向き合っている。


全員が全員、ゲストと直接会ってコミュニケーションがとれるわけじゃないけれど、そんなティピーのみんながつくり上げた空間には、心のパンツを脱ぎ捨てたヒーローの残り香が宿っている


それがティピーの「なんかいい」をつくってる



とはいえ、誰しも「心のパンツを脱ぐ」ことは簡単じゃない。


僕は、着飾らない自分がいいなと思っているけれど、自分を守るためにパンツを履く人も多いだろう。


鎧を纏わなきゃいけない環境で生きる人だっていると思う。


でも、「なんか違うかもしれない」と思ったとき、小田原に、ティピーに訪れてくれる人が多い


宿泊のゲストもそうだし、この町への移住者もそう。スタッフになりたい!と門戸を叩いてくれる人も。


そんなときの最初の玄関が、今はもうないティピーの心臓部分「Tipy records lounge(ティピーレコーズラウンジ)」だった。





ラウンジが生まれたのは、2019年。


大家さんのご厚意で安価で貸してもらえたけれど、ひとつだけ条件があった。それは、依頼を受けたら、すぐに退去すること。



推定築90年のボロボロだった古民家を自分たちの手で直し、ティピーのチェックインレセプションとして、僕たちの事務所として、そして住み込みスタッフの居場所として、運用を始めた。



ラウンジができるまでは、宿泊棟しかなく、ゲストや街の人との接点になる場所はなかった。でもこの拠点ができたことで、ここに行けば、ティピーの誰かがいた。



ラウンジがあることが、町のひとつの風景になっていった。


ある日、大家さんから連絡があった。



「2ヶ月以内に出て行って欲しい」



最初の約束。


依頼を受けたら、ここを出ていかなければならないこと。


その日がついに、やってきた。


理由は、建物の老朽化。


築90年の建物はもちろん、耐震性もない。仕方のないことだった。


ただ、もともとは大家さんに「建物を建て直したときには、また借りたい」と相談していた。大家さんも、僕たちなら貸してもいいと言ってくれていて、建築家の友人とも、リニューアル計画を進めていた。



「建て替え後は、別のお店が入る」



そう告げられた。


晴天の霹靂だった。


あと2ヶ月でこの場所はなくなる。


そして建て替え後もティピーの心臓部のラウンジは戻ってこない。


目の前が真っ暗になり、しばらく体調を崩した。


そして、血便が出た。


今のティピーがティピーとして在れるのはラウンジの要素が大きい。


このラウンジで、僕たちは、前の道を通る人との何気ない挨拶から、スタッフ同士でのくだらない話、町の人との真剣な仕事の話、誰かと誰かの恋の話、いろんな話をいろんな人とした。


この日々の積み重ねによって「心のパンツ」を少しずつ脱げる場所になっていた。



実際にここで何人もが脱ぎ去り新しい何かがはじまっちゃうのを目撃している


この「心のパンツ」を脱いだ先にありのまま全裸状態の自分が見えたときにこそ、本当に大事なものがわかってくる。


これが「何かがはじまっちゃう」瞬間だ。


これがライブハウスみたいな瞬間なのだ。


この瞬間をつくりたいから!そんなことが起きちゃう場所を体現したいから!


僕はティピーをつくった。


いつの間にか、その中心はラウンジになっていた。


だからこのラウンジは、僕たちティピーにとっての心臓部で、単純な言葉では言い表せないほどに大事な場所だった。



そんな大切なラウンジが、これからたった2ヶ月でなくなってしまう。


信じることが難しかった。



自暴自棄になり、僕は血便を出しながら、やけ酒を繰り返した。


代わりの場所になるところを探さなくちゃ!と思い、知りうる限り全員の不動産屋さんに連絡していた。


近所の方にも話をして、どこか移転できるような場所がないか聞いて回っていた。


そんなストレスから深酒をしたある夜。



帰宅すると突然、後頭部に痛みが走った。


あまりの痛みに布団でのたうち回る。


「酒飲みすぎたー」と後悔をして、現実逃避しながらその日は寝た。


次の日もすごく痛い。痛み止めでも飲もう。それでも痛い。


頭痛発症から1週間。


未だ治らず、やっぱりおかしい。痛さが限界を迎えた日、朝起きてすぐに近くの病院に行った。




「すぐに市立病院で精密検査を受けてください」

「えっ、俺、死ぬ?」




診断書を受け取り市立病院で言い渡された病名は「解離性脳動脈瘤」だった



もうすでにティピーは僕だけじゃなくてたくさんの仲間がいるし、妻もいるし、娘のマホもいる。


「今、死んじゃったら…、どうなるんだろう?」


「新しいティピー、始められるだろうか」


少なくとも自分はその景色を見られない。


未来への不安に押しつぶされ、このときの僕は心も体もボロボロになっていた。


「パパは大丈夫でしょ!」



娘のマホは、そう言ってくれた。


そやな!


もう怖くない。覚悟は決めた。


僕は娘の言葉を聞いて、いつの間にか前を向いて歩き出していた。



ちょうど同じ頃。


たしか、退去の連絡から1ヶ月ほど経った頃だ。


先ほど書いたたくさんの不動産屋さんのうちのひとりから連絡があった。


ティピーの各宿のちょうど中間あたりの場所に、物件が見つかった


それが今回、「Tipy records inn photon」になる場所。



実は前々から気になっていた物件だった。


不動産屋さんには、どれだけラウンジが大事な場所だったのか?を、まさに今のこの文章みたいに熱心に伝えた。


その方は、「そういうことなら、なんとか動いてみます」と所有者の方へ交渉してくれた。


所有者の方の意思確認が取れるかは綱渡りで、その返事次第では話が進まないことも全然ありえた。不動産屋さんからは、そう伝えられていた。


でも、不動産屋さんが尽力してくれたおかげもあり、無事に所有者の方の意思確認が取れて、数日後には所有権移転の手続きが取れると連絡があった。


本当に安堵した。


そして、今に至る。




今回のクラウドファンディングでは、1,000万円を集めたいと思っています。


ティピーはコロナをはじめとし、これまで何度も大ピンチに見舞われてきました。


そのたびに「クラウドファンディングに頼りたい」と思ったことは、何度もあります。


ありましたがやってきませんでした。


それは「前向きなチャレンジのときに、みんなとワクワクする挑戦をしたい!」という思いが強かったからです。


ティピーとしては予期せぬタイミングで強制的に移転となりました。それ自体は大変だったけど次のステップへ行けるチャンスと捉えています。



移転先ではカフェ&ラウンジphotonを併設し、宿泊を共わなくとも立ち寄れる場所をつくります。そうやって誰でも立ち寄れる「ラウンジ」のような場所をつくるのが、ここ数年の僕の夢だったんです!


一度は「なくなってしまうかも…」と思っていたラウンジを、「カフェ&ラウンジphoton」としてアップデートします!



やっと、やっと、ティピーのやりたいことが形にできる!


それにはもちろん莫大な資金がかかりました。


そして楽しい場所にするためにはこれからもめちゃくちゃお金がかかる予定です。


・物件取得費用→240万円
・内外装費工事費用→2,000万円
・宿泊設備導入費用→200万円
・その他、備品等々→200万円


photonになる場所は、元々は築70年の古民家です。


水回りから何から何まで、全とっかえです。


1,000万円は決して小さい金額ではありませんが、今回のプロジェクトの中ではほんの一部の予算となります。


それだけお金はかかりましたが、今までの小田原にはあまりなかったような、最高の空間をつくろうと思っています!


カウンターに立つスタッフを囲むように6席のカウンターを用意。焚き火をしてるような感じ。



昼間のカフェの時間帯は地元のコーヒー焙煎所スズアコーヒーと共同で開発したTipy blend coffeeを中心としたカフェメニューを取り揃えます。


夜は「ティピーのOKAMI・あさみの晩ごはん居酒屋」に変身します。


ポップアップでのイベントも開催できるように考えています。


靴を脱いであがる小上がりのスペースを設け、今までラウンジで使っていたテーブルをそのまま使い、かつてのコミュニケーションが持続できる環境をつくります。


壁にはティピーの好きなものを並べます。


100枚を超える、世界中からティピーに集まったレコードも飾り、誰でも聴けるようにレコードプレイヤーも置く予定です。


もちろん大好きなお酒も。



客室は全3部屋。


全部屋ベッドで元々の古民家の風合いも残しつつ光を取り入れて個性のある部屋に仕上げました。


お部屋の名前は「hinata」「yuuhi」「asahi」。


太陽と共に!


シャワールームは2つ。


洗面台は少し宇宙みたい。


ドライヤーもダイソンにして、追い宇宙感を出す予定です。



小田原を楽しみつつも、宿泊のみんなは最後はここに集まれる。


そんな場所を目指したいです!



箱根や伊豆や富士山が近く、観光をする上では“通過点”である小田原に、地元の人と外の人が交わる接点をつくりたい


そして、そこに新しい文化や価値観を積み上げていく


これが、今の僕にとって、一番やりたいことでした。


それを、Tipy records inn photonをひとつのきっかけにして、やっていきたいと思っています。


ここまで自分がこのプロジェクトにかける思いを話してきたけれど、もうティピーは僕だけのものじゃないです。


僕よりも真剣にティピーのことを考えてくれるスタッフがいて、ティピーのために本気で怒ってくれる妻がいて、小田原を一緒に盛り上げようとしてくれる仲間がいる。


こんなにもティピーのことをやってくれてありがとう!と思ったけどもうすでにみんな、ティピーはみんな自身の中にある自分ごとになってくれています。


その上で僕はみんなに改めて感謝したいし、小田原の町のみんなにも、感謝の気持ちでいっぱいです。


そして3度目の再スタートを切るために、一緒にこのクラウドファンディングを成功させたいです。


(※「3度目の再スタート」の謎は、後日公開予定です!)


僕たちがまずこの挑戦を達成し、ヒーローとなり、そして誰かがまたヒーローになることを夢見ること。それを繋いでいきたい。


それが僕たちと小田原にはできると信じています。


この大きな壁に一緒に挑戦しよう!


よろしくお願いします!




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