2014/07/21 19:07
アウンコーラットさんとは昨年11月、彼の映画「Kayan Beauties」の試写会が東京で行われ、その打ち上げパーティで初めて出会いました。

映画「Kayan Beauties」はミャンマーで暮らす首長族の少女達の思春期やリアルな葛藤を題材にした映画で、”首長族”という被写体の珍しさが目立つ中安易にそれらを誇張する事や見世物感覚で捉えるのではなく、普遍的な少女達のドラマを映画に落とし込むアウンコーラット監督の優しい眼差しに惹かれたのを今でも覚えています。

彼は日本で9年間暮らし、映像の勉強をしていた経験もあり日本語が非常に達者で、打ち上げの席では「Kayan Beauties」について演出の事や想いを話してもらいました。

ミャンマーで映画を作る企画を進めていた私達は実際問題どうやってミャンマーで撮影するかも知らない状態であったので、アウンコーラット監督に相談をしたい旨を話すとすぐに後日彼の滞在する場所で会える様に時間を空けセッティングをしてくれました。ミャンマーで大御所である彼が私達の様な若い世代を相手にしてくれる事に驚きで、彼自身も「若い人達がミャンマーで映画を作る事が嬉しいし力になりたい」と言ってくれた事がとても嬉しい事でした。

それから私達がミャンマーに渡航した際もテレビドラマの現場や食事に連れて行ってくれたり交流を深めていきました。彼の撮影システムは日本のモノと全く同じもので、段取りやスタッフの動きも非常に洗礼されていて学ぶ事が多くありました。アウンコーラット監督は日本の武道や生活で学んだ礼儀・作法・心を人生において非常に大切にしていると語ります。

私達の企画がようやくまとまってきて、彼に具体的な協力関係も含めて前回の渡航で話し、映画の内容を聞いた彼はこう言いました。

「日本に9年間住んでいてミャンマーに帰国する時凄く苦労した。映画に登場する家族、特にお父さんの気持ちは痛い程分かるし、他人事ではない。この父親は私自身なのかもしれない。」

この言葉を聞いた時、映画『Passage of Life』がアウンコーラット監督と共に制作する”必然性”が浮かび上がり、ミャンマーにも沢山の映画人がいる中、彼と出会えた縁に何か大きな力を感じました。

日本の東京の片隅で生まれたこの映画企画が、遠く離れたミャンマーの国でこうして繋がっていく。その先には何が生まれるのか。今この文を読んでくれている人も含めて一緒に歩んで行けたら幸いです。