【こうちマイプロジェクト道場―今日からわたしを歩んでみよう】
こうちマイプロジェクト道場は、一人ひとりの本当にやりたいことを対話とアクションを重ねながら進める学び合いの場です。
今回は、自分らしい生き方で、全国各地で挑戦を続けているゲストを迎え、彼らのストーリーを共有しながら、参加者一人ひとりの想いを掘り起こしていきます。
第1期第5回目のゲスト講師は丑田俊輔さん(ハバタク株式会社 代表取締役)。
丑田 俊輔 氏(ハバタク株式会社 代表取締役)
学生時代、千代田区の公共施設をまちづくり拠点として再生するプラットフォームサービス株式会社の創業期に参画。その後、日本IBMの戦略コンサルティング部門にてグローバル戦略を担当。
2010年にハバタク株式会社を設立。「新しい学びのクリエイティブ集団」として、全国の高校・大学を中心に、海外渡航型研修やアントレプレナーシップ教育、ICTを活用した英語学習プログラムを展開。
2014年に秋田県五城目町に移住。地域に根ざした起業家育成「ドチャベン」、古民家を舞台に都会と田舎をつなぐ「シェアビレッジ」、まちの遊休施設を遊び場化する「ただのあそび場」、地域の次世代が育つ教育環境づくり等に挑戦中。
2018年、人と事業と文化がそだつビル「錦町ブンカイサン」を神田錦町に開設。
「おっちゃんずラブ」
丑田さんのいままでを振り返ってみると、愛すべき「変なおっちゃん」との出会いが、人生を変える大きなきっかけになってきていました。
丑田さんにとっての、「変なおっちゃん」との初めての出会いは、19歳のとき。オフィス家具会社の社長に誘惑(!?)され、インターンに行ったのち、丑田さんは巻き込まれるようにして起業しました。
公共遊休不動産の活用として、ちよだプラットフォームスクエアを作ったところ、千代田区神田に面白い企業や、起業家があふれ、ビジネスが広がりました。
同時に、神田にどっぷりと浸っていた丑田さんは、一度海外に行って、グローバルを知りたいと考えるようになります。
そこで、就職活動ではグルーバルな仕事ができそうな企業を受け、入社することになったのがIBM。経営資源の地球規模での最適配置を考える仕事をしながら、考えていたのは、「これから先、僕らはどんな働き方をしていくのだろう」ということでした。
見据えた将来と教育
その後、秋田で結婚し、子どもが生まれてから、丑田さんは、3年後ではなく100年後といったように、今まで以上に先を見据えるように変化していきました。
―「“学び”をもっと多様性、創造性にあふれた環境にしたい」
そう考え始めた25歳の頃、2人目の「変なおっちゃん」こと、住谷さんに出会います。
デンマークで子育てをし、日本に良い学校がない、と自分の手で出る杭を伸ばす学校を作った住谷さんの姿に、教育って手を出しにくそうだけど、意外とできるんだ……と気づいた丑田さんは、2010年に新しい学びのクリエイティブ集団「ハバタク」を創業しました。
はばたく学び
目で、五感で、体験して考えたいと、デンマークの学校、アメリカのインターナショナルスクール、インドの農村の学校まで、世界中を見て回ります。
そして日本に帰り、様々な分野、対象がある教育の中で、自分はどれをやっていくのかと考えます。その結果が
―「多様性×創造性=共創的な学び」
という考えでした。
アメリカ、ベトナム、イギリスに拠点を作り、世界中を学びの場にすることをスローガンに、日本人が、自信をもって外国で学べるプログラムを学校向けに行っていきました。
(常識)の世界旅行
そして、丑田さんは、世界最貧国といわれているバングラデシュに2か月滞在しました。
そこは、貨幣経済の外側。東京とは社会の構造が全く異なるその場所で、一日1ドル以下の収入でも楽しそうに暮らす人々の姿を知り、丑田さんの中で生き方のものさしが変わる経験でした。
五城目町との出会い
29歳の時、3人目の「変なおっちゃん」に連れられ、秋田県五城目町に遊びに行きます。まちの人が集まる朝市や、ちびちびと長く飲む秋田の飲み会、そして何よりみんないい人!こんな場所で仕事をするのもいいかもな……そう思った丑田さんはすぐに秋田への移住を決断。
「住んでみなければ何をやるか分からない」、と五城目町で暮らしながら、田んぼを始めました。
そして、暮らしながら、地元の人と出会い、交流が進む中で、新たな「変なおっちゃん」が丑田さんの前に現れます。築100年を超える茅葺き屋根の古民家を「もう潰すしかない」とあきらめかけていたおっちゃんの、古民家を大切に思う気持ちや古民家が育んできた価値に共感した丑田さんは、
―日本の原風景を未来に残したい
―都会と田舎でもっと学びあえるはず
と、考えました。
そこで、自分の問題意識と芽生えた課題を掛け合わせて、「シェアビレッジ町村」を作りました。
シェアビレッジは、年貢(会費)を納めることによって、村民(会員)だけが泊まれる施設。一揆と呼ばれる音楽フェスや、助太刀として、地域の仕事に参加するイベントなども行い、古民家の維持や、地域課題の解決を、エンターテインメント感覚をもって行っています。
そんな取り組みを進める丑田さんたちのことを、あるおっちゃんは「君たちはベンチャーだけど、絶対都会にはいないよね」と話し、こう名付けてくれました。
―ドチャベン=土着ベンチャー
ちょっと言いにくいこの呼び名が、言っているうちに気に入ったと、丑田さんは笑います。
人類最後のエンターテイメント
丑田さんが五城目に移住してきたころは、3社だった会社が、気付けば15社に増えていました。みんなが半歩チャレンジできるようにと、いつもの朝市を「五城目朝市plus」として呼びかけを行うと、小商いの生まれる場になっていきました。地域の内側から面白いものがポコポコと出てくるようになってきたのです。
事業を進める中で、丑田さんが大切にしているのが「遊び」です。
―大人4人にカレーを作ってもらいバトルをする「ゴジョーメカレーバトル」
―遊具などない遊び場を子供たちのためにみんなで作る「ただの遊び場」
本気で遊ぶことで、大人も子どももみんな活き活きとした表情になっていきます。
「世界の色々な地域の風土や文化を楽しむ、それは人類最後のエンターテインメント」と丑田さんは言います。
―ご縁とあそびという自然発生的
―変わり続けるという動的平衡
「子どもの学びは、大人の背中+遊びから生まれる」と丑田さん、子供も大人も遊び、学び続ける社会にしたいと語ってくださいました。
マイプロジェクトのシェア
いよいよ一期も最終回ということで、「私の変化編」と「アクション編」の二つを中心に、参加者が第一回から今回までの中で、どんな変化が起こったか、どんなアクションをしたのかを一人ずつ話し、疑問や感想を共有しました。
皆さんそれぞれが、自分の中の変化や気付きを得ただけでなく、行動に移すということを全員が実践していらっしゃいました。そして私が一番感動したのは、皆さんが次のステップに進むために前向きだったことです。苦しい、悩んでいる、と話す人も、次のアクションをしっかり考えていて、これからもっと面白いことが起こりそうだと感じました。
チェックアウト
最後は、チェックアウトと題して、一人ひとり今日の感想を話しました。
参加者のみなさんからは「やりたい気持ちがあふれている。みんなのことも応援したい」「新鮮な場に参加できて良かった」といった感想や、「自分がやりたいことに向けて、頑張れている」と気づきを話してくださる方もいました。
総括
最終回となる、マイプロジェクト道場第5回、丑田さんのお話や、参加者の発表を聞く中で、「人との出会い」は一つのキーワードになったのではないかと思います。
アッと驚くようなパワフルな人、今まで話したこともなかった異業種の人、年齢も考え方も違う人、そんな人との出会いが、自分自身が一歩進むための大きなきっかけになることを、私自身も学びました。
またみんなで会って近況報告がしたい、そう話す皆さんの横顔は、きりりとして、この連続講座が、皆さんの「マイプロジェクト」を実現するための素敵な一歩になったように思います。
(レポート:檜山諒 )
主催:Kochi Startup BASE設立準備室
事務局:エイチタス株式会社 高知ブランチ
住所:〒780-0822 高知県高知市はりまや町3丁目3-3 ガイアビル4F
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/
こうちマイプロジェクト道場HP:https://peraichi.com/landing_pages/view/mypro