海津紗弥香です。10代に手紙を届ける古本屋「暗やみ本屋ハックツ」(東京)スタッフをしています。東京のハックツではロゴのデザインやチラシ・名刺などのグラフィックのツールのデザインやWEBサイトなどもやっています。
暗やみ本屋ハックツとは何か?は公式ホームページ(http://www.hakkutsu.info )や、初代店長の明里ちゃんや、現店長の原ちゃんが十分語ってくれているので、そちらを読んでみてください!
※宮本明里さんの記事「大好きなバンドが解散した」
https://camp-fire.jp/projects/117607/activities/70335#main
※原奈々美さんの記事「気づいたら本屋になっていた」
https://camp-fire.jp/projects/117607/activities/70679#main
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暗やみ本屋ハックツには、コンセプトの通り10代の若者たちがやってきます。
いわゆる思春期という、不安定なような、夢見てワクワクするような、そんな気持ちで過ごしている子が多いと思うのですが、
私が開店時から店員として若者と接してきて感じるのは、「何者かにならなければならない」と感じている若者たちのプレッシャーでした。
オープン初期にやってきた中学1年生の男の子。
「自分のやりたい仕事がわかってしまう!」という寄贈者のコメント付きで、「あなたのパラシュートは何色?」という本をハックツしていったのですが、
ハックツした理由が「僕には、夢がないから、この本で夢を見つけたい」でした。
また、ハックツオープンの日にお客さんとしてやってきて、ハックツの学生スタッフをやってくれている女の子。
とあるスポーツをやっていて、短期留学をするほど熱中しているのに、
同じ学校の同級生たちが起業したり、映像を作って配信したり、色々しているのを見て
「周りがすごすぎて……私にこのスポーツがあってよかったと思うんです」
と、言ったんです。
この2つの場面に遭遇したとき、私はなんとも言えない感情になりました。
しいて言うなら、もどかしく、切ない。
他者より違う、人に褒められるような「何者か」になりたくて、
「何者か」にならないといけないのではと、もがいているように見えました。
学校にも家庭にも、一般のレールから外れた人生というものはなかなか見えないもので、
10代のうちに「自分は好きに生きていこう!」「周りからどう思われたって良い!」と思える子はほとんどいないと思います。むしろ、自分や周りの理想を演じなければならないと思っている子のほうが多いと思います。
だからこそ、暗やみ本屋ハックツのような、学校でも家でもない、『自分を知らない』第3の場所が必要なんだな〜と、活動をしていてしみじみ思います。
テストの点数が悪いこと、運動神経が悪いこと、将来やりたいことがないこと、良い子じゃないこと。
「自分が隠したいもの」を何も知らない、自分がなにかやりたいと思ったら「できるわけないだろ」とも言われない、「こんな生き方あるんだな〜」と家や学校では知れない、感じられないことを感じられる場所。
そういう場所が10代のうちからあったら、少しでも不安を軽くして健やかに日々を過ごしていけるんじゃないでしょうか。
そういう場所が、若者にとって必要だと思うし、なにより、大人たちにとって「欲しかった場所」なんだと思います。
だからこそ、西田さんは言うのだと私は思います。
「本屋やろうぜ」と。