芸術祭公式サイトには、海外の民俗芸術団体(アーティスト)に出演を募集するためのページがあります。そのなかに、”In general, overseas groups fund their own travel all the way to Hakodate” (原則として、函館までの往復旅費は自身で負担してください)という記述があります。羽田や関西ならまだしも函館までということで、アーティストにはさらに追加の費用がかかります。アーティストは原則25人までですので、なかには長距離バスやフェリーを乗り継いで費用を節約する団体もあります。
「現地集合・現地解散」「ただし滞在費用は主催者負担」というのが民俗芸術祭のグローバル・スタンダードです。とはいえ、現地集合・現地解散の意味は、「アーティストに会うまで、本当に来てくれるのかわからない」ということです。
初回の芸術祭は「ニウエ」という初耳の島から応募がありました。「必ず行く」と連絡を受けていましたが、待てど暮らせど到着口に現れません。空港カウンターに問い合わせても、飛行機に乗っているかどうかもわかりません。結局のところ入国手続に時間がかかっただけの話なのですが、このように、アーティストの出迎えでは関係者全員が毎回肝を冷やすことになります。同時に毎回「信用」ということばの重さを教えられます。
資金調達の苦労をして函館に来てくれたアーティストに快適な滞在をしてもらいたい。いい思い出を残してもらいたい、というのが今回のプロジェクトの趣旨です。滞在中の待遇については海外の民俗芸術祭でもばらつきがあるようで、限られた予算のなか、夏休み中の学生寮をホテル代わりに使ったり、いろいろと工夫がみられます。私たちも主催者として様々な工夫を凝らしますので、ご支援のほどお願いいたします。
- 事務局F
(写真は函館市地域交流まちづくりセンターで市民向けのワークショップを行ったニウエのアーティスト。2008年)