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ラダックの女性が作った工芸品で地域の経済と伝統を守るショップを建設したい!

インド北部ラダック地方にて「観光業と地域経済の共存」と「ラダックの⼥性のエンパワメント」を⽬的としたショップを建設します。ラダックの女性たちの手仕事に価値を与え、ローカル経済の促進に繋がるショップ開店に向けてぜひご協力お願い致します!

現在の支援総額

1,168,500

146%

目標金額は800,000円

支援者数

106

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2019/03/08に募集を開始し、 106人の支援により 1,168,500円の資金を集め、 2019/04/25に募集を終了しました

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ラダックの女性が作った工芸品で地域の経済と伝統を守るショップを建設したい!

現在の支援総額

1,168,500

146%達成

終了

目標金額800,000

支援者数106

このプロジェクトは、2019/03/08に募集を開始し、 106人の支援により 1,168,500円の資金を集め、 2019/04/25に募集を終了しました

インド北部ラダック地方にて「観光業と地域経済の共存」と「ラダックの⼥性のエンパワメント」を⽬的としたショップを建設します。ラダックの女性たちの手仕事に価値を与え、ローカル経済の促進に繋がるショップ開店に向けてぜひご協力お願い致します!

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みなさま、ジュレー!

クラウドファンディングはプロジェクト終了まで残り約1週間となりました。ご協力いただきました全てのみなさまに心から感謝致します。本当にありがとうございました。

今回は、ラダックの食文化について詳しく知るために、大阪大学人間科学研究科助教の木村友美先生にインタビューをさせていただきました。

ラダックの食の特徴や変化について教えていただきましたのでぜひご一読ください。

木村友美先生のプロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科助教、フィールド栄養学者。食と健康に関する調査を国内外で実施。これまでの調査地は高知県、ヒマラヤ地域(中国青海省、インド・ラダック、アルナーチャル、ネパール)、タイ・ナコンパトン、ニューギニア島インドネシア・パプア州など多数。高齢者の食事摂取状況と健康状態との関連を調査し、地域ごとにその関連の特徴を分析。また、開発途上地域での食の変化と生活習慣病についての調査も行う。食の研究として、栄養学や疫学に加え、地域の文化的背景を知るための文化人類学的手法も取り入れた研究スタイルを「フィールド栄養学」と称して実践している。

インタビュー

なおい:本日はお忙しい中ありがとうございます。今日は、ラダックで研究されている木村先生に、ラダックの食文化のことやその変化について教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

木村先生:よろしくお願いします。

なおい:先生はいつからラダックでの研究を始められたのですか?

木村先生:私が初めてラダックに行ったのは2010年の夏です。それから、行けない年も数年ありましたが、ほとんど毎年夏の時期にラダックに行って研究をしています。

なおい:ラダックでは、どのような研究をされているのですか?

木村先生:ヒマラヤ高地の遊牧民の人々の食生活とその変化を通じて、グローバル化が及ぼす健康問題をテーマに研究しています。ヒマラヤ地域では、政治的背景やグローバル化の影響で伝統食である大麦から「コメ食」へと変化しています。この変化が人々の健康にどのように影響しているのかを研究しています。また、ヒマラヤ高地の人々は高所に暮らすため、低酸素に適応する遺伝子をもっているといわれていますが、この低酸素適応遺伝子は同時に、低栄養にも対応できるように適応してきたという可能性があります。こうした地域では、グローバル化の影響による過栄養などの食の変化が、人々の生活習慣病や健康被害により強く影響するのではないかという仮説を持って研究しています。

なおい:なるほど、厳しい自然環境の中で低栄養で生き延びられるように身体が環境に適応している人たちが、必要以上の栄養を摂取したら確かに健康への影響が強く現れそうですね。


なおい:では、ラダックの食文化の特徴を教えてください。

木村先生:ラダック地域で最も栽培されている穀物は大麦です。大麦は炒って粉にした「ツァンパ(麦こがし)」にして食されています。この粉をそのまま食べることもあれば、バター茶と混ぜて団子状に練って食べることもありますね。大麦を発酵させて作った「チャン」というお酒もあってラダックの人々に好んで飲まれています。

また、家畜からとれる乳製品もあります。ヒツジやヤギ、ヤクからとれるミルクからヨーグルトやバター、チーズなどを作って食べています。

(大麦とバター茶を混ぜて団子状にしたコラック)


なおい:やはり大麦や乳製品はラダックの食の中心的な役割を担う食べ物なのですね。私がラダックを訪れた時はちょうど夏の終わりの時期で、畑で育てた野菜を乾燥させたり、土に埋めて冬支度をしていました。また、お肉も家畜の肉をいただいたり、それを乾燥させて保存して食べているようでした。厳しい自然環境での冬を迎えるにあたって、ラダックの人々の知恵と工夫が見られて興味深かったです。

木村先生:私が調査した標高4200メートルの高原、チャンタン高原の遊牧民の人たちの食は、栄養学的には少し不足状態にあるということができます。2011年に行ったアンケート調査では、チャンタン高原のある集団の人たち(約300人)のうち、毎日野菜を食べると答えた人はたったの10%しかいませんでした。チャンタン高原に暮らす人びとは、大麦や小麦、野菜類は月に2回ほど中心地のレーにあるバザールまで買いに行くそうで、それには車で3・4時間、馬では1日かかるのだそうです。

これだけを聞けば、チャンタンの人々の食は乏しいと言えるのですが、私たちの調査からは、栄養不足による疾患や健康被害は特に見つかりませんでした。その一方で、心理的な健康度(QOLなど)は日本の調査地などと比較するとより高いことが分かりました。チャンタンの人々が家族や地域コミュニティの人々と共に食べ物を分け合い、食事を楽しむ姿は、日本の孤食などの食の状況と比較すると、非常に豊かなのだと思うのです。

(家族や村人と共に食事をする様子)

なおい:近年、ラダックの食習慣はグローバル化や近代化の影響を受けて変化しているようですが、どのようなところにその変化が見られますか?

木村先生:先ほど、ラダックでは大麦を主食にしてきたという話をしましたが、近年、大麦から米へと主食が変わってきている傾向があります。欧米諸国では大麦が健康に良いということで、健康志向の強い消費者の間では一部で大麦食がブームとなりつつあるですが、その動きに逆行するかのようにラダックでは大麦摂取の減少傾向が見られています。

なおい:それはどうしてでしょうか?

木村先生:ラダックに米が入ってきたのは、実はインド政府による援助だったのです。ラダックでの食糧援助は1980年代に始まり、1995年ごろに道路が開通したことで地方の村々へも低地のインド平原で取れる米が配給されるようになったのです。

食の嗜好に関する調査では、「一番好きな食べ物は何ですか?」という質問に対して米と答えた人がたくさんいたんです。今ではほぼ毎日お米を食べるようになった人もいるようです。特に若い人たちの世代で米食が日常的となっているようです。

なおい:大麦から米に主食が変換している状況はどのような問題に繋がるのでしょうか?

木村先生:大麦は精製米に比べて食物繊維が19倍も多く、カリウム、マグネシウム、ビタミンB群などの栄養素も豊富に含まれています。また、米は大麦よりも血糖値を上昇させやすい食品であり、糖尿病などの原因になりやすいのです。近年、ラダックに生活習慣病が増えている傾向の要因の一つとして、主食が大麦から米に変わったことが考えられると思います。

なおい:私がラダックに行った時に気になったのは、みんながインドから運ばれた「マギー」というインスタントラーメンを好んで食べている様子でした。こうした加工食品の流入もラダックの生活習慣病に影響を与えているのでしょうか?

木村先生:そうですね。みんなマギー好きですよね笑。マギーだけでなく、スナック菓子なども入ってきていて、その影響として一番懸念されるのは、摂取するカロリーが増えること。もう一つは、塩分の摂取量の過多ですね。

なおい:こうした影響で家庭料理の味付けや調理方法にも変化が見られますか?

木村先生:これは最近の変化ではなく、昔からのことなのですが、インドとの交流によってラダックには早い段階からスパイスが入ってきていたようです。昔は、ラダックでスパイスを栽培することはできないのでとても貴重なものだったと思いますが、道路の普及に伴って、スパイスや食塩などが簡単に運び込まれるようになり、味付けなどにも変化が出てきているのではないかと思います。今ではラダックの伝統料理にもスパイスを用いてインドのカレーのような調理方法が組み込まれているように思います。

なおい:なるほど、様々な変化が生活習慣病につながっているのですね。

木村先生:変化は食だけでなく、運動量の変化も関係しています。遊牧民の人に万歩計をつけてもらったことがあるのですが、彼らは1日に平均して2万歩以上歩いているのです。でも、近年、遊牧民を離れ、都市で働くようになる人もいて、そういう人たちが遊牧民をやっていた時と同じくらいのカロリーを摂取したら、やはりお腹がぽっこりして生活習慣病にも繋がる可能性は高くなりますよね。

なおい:ラダックでは畑が減っていると聞きましたが、それも運動量の低下に関係するのでしょうか?

木村先生:農作業の量は減ったという報告はあるのですが、一番大きな理由は若者たちが都市に出ていることだと思います。そういう意味では、農村に残されている人たちの運動量は増えているかもしれないですね。農作放棄地の問題は個人レベルだけではなく、全体的な人の移住などの社会の構造とも深く関わっています。

なおい:本プロジェクトはラダックの伝統料理を提供できる場所やラダック料理を若者が学べる場所を作るプロジェクトです。このプロジェクトの必要性などについて研究者の立場からコメントをいただくことはできますか?

木村先生:ラダックにカフェレストランができることを、個人的にもすごく楽しみにしています!

というのは、実は日本も同じような経験を過去にしているのです。日本の伝統食や郷土料理もどんどん衰退していて。今でこそハンバーグやオムライスはお母さんの味として、家庭料理の代表的な料理になっていますが、これらは洋食の影響を強く受けていますよね。

日本も80年代の経済成長期にどんどん洋食を受けて入れて、それと同時に地方でおばあちゃんたちが作っていた郷土料理がなくなりつつあるのです。

90年代からは核家族化もさらに進んで、おばあちゃんと孫が一緒に住まなくなったことから料理も継承できなくなってしまって。

私は高知でも研究しているのですが、このおばあちゃんしか作れない料理とかあるんですよ。たけのこ寿司や、ピーナッツ寿司など。これらはそのおばあちゃんが作れなくなったらなくなってしまう料理なのです。

最近の日本では、こうした郷土料理を守ろうっていう動きが地域活性化や町おこしの分野と共に、見られるようになっています。例えば、道の駅とか、B級グルメとか。

ラダックも、もしかしたらもうすぐなくなるかもしれない郷土料理を、いかに残していけるかが課題となっています。インドなどからの新しい文化を取り入れながらも、いかに都会の人たちや観光客の人たちがラダックの伝統的な料理を知ることができるのか。子どもが村を出て都会に行ってしまっても、その地域の伝統料理がなくならないで残すことができる場所が必要なのです。今回、中心都市のレーにカフェレストランができることは、ラダックの地域の伝統食の継承に役立つと思い、とても期待しています!

なおい:心強いお言葉をありがとうございます。残りの1週間も精一杯目標達成に向けて頑張りたいと思います!この度は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

(参考資料)

・木村友美、坂本龍太、石川元直、諏訪邦明、Tsering Norboo、奥宮清人(2017)「都市に定住したチベット遊牧民の食と生活習慣病 ―インド・ラダーク地方の難民居住区での調査から―」、『ヒマラヤ学誌』2017年18号、p92-101

・木村友美(2018)「ヒマラヤ高地、ラダーク地方における大麦食とその変化 ―栄養成分と健康効果に着目して―」、『ヒマラヤ学誌』2018年19号、p60-72

・八十島安伸・中道正之 編著(2018)『食べる(シリーズ人間科学1)』大阪大学出版会

引き続きご協力をどうぞよろしくお願いいたします!

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