秋が深まる中、皆様いかがおすごしでしょうか。ソコニイルカです。
「暴力を受けた女性のための宿泊所と職業訓練のための店舗をアフリカに作りたい」プロジェクトへのご支援ありがとうございました。
皆様にご支援いただいたおかげさまで建物が完成し、10月2日に職業訓練所となる「アトリエ」をオープンすることができましたので報告させていただきます。
【写真:建物全景。手前の二つの扉が「アトリエ」左が髪結い、右が仕立て屋です】
【写真:正面の門から入ると住居スペースがあります】
前方部分に2つの職業訓練所となるアトリエ部分、門を入った後方部分に9部屋の生活できる部屋があります。この内、一部を暴力を受けた女性のための宿泊所として確保し、その他をNGOの運営資金のために賃貸します。
【写真:アトリエ開きの様子。髪結い協会、仕立て屋協会からの人たちや、主人の友人・知人などで賑わいました】
■アトリエって何?
日本語でアトリエというと、芸術制作の場所が思い浮かびますが、ベナンでは「アトリエ」は、仕立て屋や髪結い、機械修理工や家具屋などの職人が働く「店舗」のことをさします。彼らはアトリエで仕事を営む一方で、「見習い生」を受け入れ訓練します。ベナンでは、約3年程度の見習いを経て、初めて資格を取得できることになっています。資格を取得すれば、自分でアトリエを開くことができます。
見習い生となるためには、最初にまとまったお金(日本円で5万円程度)をアトリエの主人に払う必要があります。これは多くのベナンの家族たちにとって簡単に払えるお金ではありません。特に家族のサポートが受けにくい孤児や障がいを持った子どもについては、職業訓練を受けることはハードルの高いことです。
そこで、私たちのNGOでは、アトリエ開設のための設備を準備し、家賃を無料で貸し出す代わりに、アトリエの主人は無料で見習い生を受け入れるという仕組みを作ろうと考えました。それによって、経済的に難しい状況にいる子どもが無料で職業訓練を受けることができるようになります。この建物のアトリエには、人々の需要が安定していて、且つ女性の職業として人気の高い職業である「髪結い」と「仕立て屋」にすることにしました。
【写真:仕立て屋のアトリエの中。ミシン5台、アイロン、はさみなど、開業準備は全て整っています】
■現状は?
アトリエの主人は、NGOの活動に理解がある人でないといけません。私たちは、技術力と人柄をアトリエの主人が保証し、NGOの活動にも共感を示す女性を二人見つけることができました。
また、アトリエ開きの後、一人目の少女を見習い生として早速受け入れています。彼女は、両親を亡くして親族に引き取られていましたが、お金と引きかえに他の家に使用人として住み込みで働くことになりました。そこでひどい仕打ちを受け、逃げてきたところを、保護された少女です。職業訓練を通して彼女がどのようにスキルを身につけ、生きていく力を養っていくのか、私たちは支援しながら見守っていきたいと考えています。
【仕立て屋の看板。NGO「Midofi」の名前が店舗名です。(NGOはフランス語でONGと綴ります】
■運営資金は?
後方の賃貸部分の部屋は、NGOの運営資金を捻出するためのビジネス目的のものです。ここに賃貸したいという人がどれほどいるのかが、NGO運営の根幹に関わってくる部分でした。幸い、建物の建築途中から「いつ貸し出すのか」という問い合わせが次々と入り、現在貸し出し予定だった部屋は全て、賃貸として貸し出すことができました。
■今後は?
10月半ばには、ソコニイルカのメンバーもベナンに渡航予定です。建物のプレート貼り付けなど、残っている仕事をすると同時に、今後の運営についての議論を重ねる予定です。
建物は完成しましたが、活動はまだ始まったばかりです。職業訓練部分「アトリエ」も、住居部分に確保している「暴力を受けた女性の宿泊所」の運営も、運営していく中でいろいろな課題も出てくると思います。それらを一つ一つ解決していきながら、皆さんの支援で完成したこの建物を、一人でも生きづらい状況にいる人びとの居場所として機能するように尽力していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。
ソコニイルカ メンバー一同