2019/06/20 15:58

UKIYO ORCHESTRAが普段大変お世話になっているTUNE Guitar Maniacの月森さんインタビュー対談第二弾!

(前回の記事)

月「バズを勘違いする方がいるけど、バズにも良いものと悪いものがあるんですよ。」

田「そうですね。確かに、良いバズと、悪いバズってあると思います。月森さんにUKIYOのライブで聞いてもらって音の改善の提案をしてもらったのですが、具体的にはケーブルと内部配線を提案頂きましたよね。実際、こんなに変わるものかとびっくりしました」

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今日はこの続きの記事になります。お楽しみください!

月「そうですね。悪いところを修理するだけでなく、改善する方向であらゆることを日々試しています。ブリッジの底の加工の有無であったり、ナットを固定する接着剤のなど挙げればキリがないですね。幸いな事に自社製品で同じような条件下で一つ一つ試す事ができているのも大きいですね。」


田「なるほど。話を聞いているとなんとなく作曲と似ていると思いました。

1つ実験してみて、いい結果が出たら、また違うところでそれを試してみるのは音楽を作る立場でも共感できます。今、楽器内部のカスタマイズをされているのは同じ発想ですよね?」

実際に月森さんに内部配線の改良をしていただきました


月「そうですね、自分の中で狙うものと結果の出し方が分かってくるようになりました。でもそれが全てのニーズに合うわけではないんですよね。たくさんの音楽があり、それ以上にたくさんのプレイヤーさんがいます。同じ様なジャンルでも求める音が違い、プレイスタイルも違う。当然ながら楽器に対するアプローチも異なります。

だからこれがイイ!このパーツにしなさい!の一方通行ではダメなんです。ちゃんとプレイヤーの意見を聞かないと良い仕事はできないですね。

僕が一番大事にしているのはあくまで僕らは裏方でプレイヤーさんが主役。さらにプレイヤーさんが奏でた音の先にはプレイヤー自身やオーディエンスがいます。」


田「そうですね。音の先には必ず人がいますよね」



月「僕もライブに行くと、楽器の音で色々と感じることがあります。折角プレイヤーがよくても楽器が悪ければ、台無しになってしまうんですよね。プレイヤーの表現したい音、気持ちを如何にオーディエンス伝えるか?エレキは電気の力を借りているので、配線などはそういう事を見据えて改善していった結果ですね。」


田「なるほど、月森さんの目線でそういう風に映るんですね」


月「はい。まだまだ勉強中ですが、プレイヤーさん自身やバンドメンバーさん、お客さんから良い感想をもらったと聞くようになり、今の方向性は間違ってなかったのかなと思います。」



田「僕もフェニックスのケーブル、大好きで今はないと本当に困るくらい気に入ってます。最初は試した時に、良い音だと同時に自分の下手さに気付きました。笑

でもそういった環境で、色んなプレイヤーもするべきだと思いますね。

自分の出している音をちゃんと聞くようにするというか。さらに表現をするためのヒントが生まれると思います」


月「エレキは弾いてから自分の耳に届くまでにタイムラグのようなものを感じますね。アコースティックギターのように弾いたその瞬間に音が届くというような感じにしたいと思って。」


田「たしかに体感で、月森さんのいうような音の伝達の速さを感じます。今は僕はそれが普通な状態になったので、楽器を触った時に感じる音のレスポンス感により敏感になることができたように思います」


月「そうですね、やっばり状態の悪い楽器は、レスポンスが遅かったり、変なところで楽器のバズが出たりして、変なクセがついちゃうんです」


田「よく分かります。例えると大きいボリュームでマイクを持っていると声だけじゃなく吐息まで聞こえますよね。あんな感じですかね。吐息を締めるところまで聞こえるので、実際の声の様に聞こえるんです。」

月「僕は基本的にはプレイヤーさんに大きな音を出してほしいと思っています。空気を揺らしてなんぼです。

音楽の原点て、遠くにいる人に危険を知らせたり、合図を送るためであったり、威嚇したり、異性の気を惹くためだったと思うんです。空気を揺らす事で心に響く。

だから今の若い人もスマホやイヤホンで音楽を聴くだけでなく、大きなスピーカーやライブ会場など、色んな場所で音を感じてほしいなと思いますね」


田「確かにスマホで聞くのは、手っ取り早いですが、あの小さなスピーカーでは大切なものは感じれませんよね。UKIYO ORCHESTRAの音楽もそうです。和太鼓やベース・ドラムの作る低音は耳でというより体で感じてほしいし、ギター、笛そしてボイスの3つで空気を振動させて伝えたいんです」


月「やっぱりライブで聞く、音楽を聞くということが必要なんですよね。昨今の機材環境ではどうしても色んなところがピーキーになり音量があげられなくなります。すると薄っぺらい表面だけの音になり、人の心に伝わりません。素の音をどん!と大きく鳴らせるようにと考えています」


田「確かにそのどん!ってところはスマホのスピーカーじゃ聞こえないですもんね」


月「とりあえずデカイ音を出してほしいなと。どん!どぅおん!ずどん!の違いが感じられるぐらい(笑)」


田「それですね!大事だと思います(笑)」


月「僕の中のアプローチもだんだん変わってきました。(PAの本、マスタリングの本を出して)音の出口の事も知らないと思って、色んな人が関わってライブが行われたり、CDが出来てるんで、トータルで見ないといけないと思って」

田「おおPAや、マスタリングの資料も読んでいるのですね。確かに、そうですね。音が出来上がるには、いろんな工程がありますもんね~」


月「そうですね」


田「僕らは普段作曲をしてライブをするだけですが、そういった活動をストレスなく続けるには、良い楽器がそこにあるのが前提なんですよね」


月「そこでストレスは感じて欲しくないですね、出来ればそれ自体からもインスピレーションが湧いて、新しい音楽ができればいいですね。

ラブペダル COT 50というツマミ1つだけのエフェクターがありますが、初めて繋いだ時にずっと弾いていたくなりました。

その気持ちをいま僕ができる事でやりたい!と取り組んできた結果、お客さんがすごく喜んで「ずっと弾いてる」という言葉をいただくと、あー良かったと思いますね。」


田「確かに良いものって、ずっと弾いていたいですものね」


月「音楽って絶対になくてはならないものではない、そういう時に自分の仕事は人の役に立つのだろうかと思うこともありました。20代後半ですかね。でも陰陽座のライブをなんばハッチで見た時です。TUNEの楽器で音楽を奏でてくれていて、そこに携われているなと思った時にこの仕事をやっていて良かったと思いました。お客さんの反応で、「楽しかった」や「明日からまた、頑張れる」の声を聞くと、世の中の役に立っていると思いました」


田「それは音楽の最大の醍醐味ですね!お客さんの言う「楽しかった」の中には、良い音だった、というのもありますね」


月「そうだと嬉しいですね」


田「陰陽座さん素晴らしい和の世界があって、UKIYO ORCHESTRAとはジャンルは全然違いますけど勝手に共感させて頂いてます笑 作曲においては芸術性も大切にしつつ、月森さんのような職人魂というのも大事にしたいです。実験とエラーを繰り返して、1つ1つ時間をかけて答えを出していく感じでしょうか」


月「そうですね。僕もなんだかんだで、色々少しずつ、悩み苦しみながらも試行錯誤の繰り返しで、、、そしたら意外と出来るもんだなと笑 その悩みや苦しみも好きだからこそ乗り越えられるんでしょうね笑」


田「そうですね笑 今日は長い時間ありがとうございました!」





TUNE Guitar Maniac

http://www.cc.rim.or.jp/~tune/


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