表紙の問題は
この先2転3転します。
しかしながらここではあとを追わずに
別の角度から抽象性の問題を考えて見ます。
タイトルが示すように
この本に書かれたメッセージのいくつかは
本を介して語られています。
ひとつは本から生まれるものは愛であり
もうひとつは死を前にして
人は何をすべきかという問題です
それに対してこの本では
本を読むべきとのメッセージを与えています。
下の本文の18・19ページを見てください。
人は死を前にしても
本を読めばいいという提案は
実は私の友だちの振る舞いがもとになっています。
彼女は末期の胆管ガンでした。
もうダメかもしれないということで
最後の別れのつもりで病院を訪ねると
彼女は平然と本を読んでいたのです。
3日後に彼女が亡くなり
私は彼女の行為について考えはじめました。
彼女が死の床で得た知識はどこで活きるのであろうか?
向上する可能性がまったく閉ざされても
彼女にはまだ求めるものがあったのか?
私の頭の中では
彼女の甲斐のない努力は
どこかで不条理な死を前にした人の嘆きと
神の沈黙に通じるものがありました。
そして次のフレーズが生まれたのです。
「死に迫られたぼくも
母のように本を読み続けるであろう
本から生まれるのは
希望であり愛なのだから」と。
この部分を書いたことで
私のメッセージは思いもしない方向に拡大し
宮沢賢治の世界と重なるようになりました。
それが「雨ニモマケズ」の引用になったのですが
この続きは明日にしましょう。