「本から生まれるものは愛であり希望である」
というメッセージには少し説明が必要です。
本文でも触れましたが、
タイタニック号が氷の海に沈もうとしているのに、
悠然と本を読む人がいたという記事を、
どこかで読んだことがあります。
「無人島に何かひとつ持っていくなら」という問いに、
多くの人が「本」と答えるということとも、
どこかで関係しているかもしれません。
そして何よりも末期ガンになった私の友人が、
死の3日前に分厚い宇宙科学の本を読んでいたこと。
これらが合わさってこのメッセージが生まれました。
死を前にして人が本を読むのは、
知識を増やしたいからではありません。
彼らは、愛と希望をそこに探しているのだと思います。
別の面から考えてみます。
「本の中にはぎっしり問いがつまっている」という説があります。
阪神淡路大震災や東日本大震災では、
多くの幼い子どもがなくなりました。
町が水没したり、大火災が起こったり、
今もまだ行方不明の人がいたりなど、
私たちは人智を超えた不条理に見舞われることがあります。
そして人々は悲劇のまんなかで
「神よあなたはそこにいるのか?あなたがこの惨劇を許したのか」
と問うことでしか、
与えられた試練を受け入れることができないのです。
どんな熱烈な問いにも神は黙したままです。
神が口を開かないのは、
人間の未熟な問いに心を揺さぶられないからだ、
と説明する人もいます。
いささか宗教的な結論となりますが、
「本から生まれるものは愛であり希望である」
というメッセージには、
神の沈黙を前にした人々の肯定があります。
神の答えがなくても、
私たちは愛を探し、希望を求めることだけはできるのだ、
というのがこの本で得たひとつの結論です。
3回にわたってあとがきを書きました。
本の完成には本文扉(1ページ目)と
奥付け(32ページ目)があと必要です。
今日の写真はその1ページと32ページを掲載しました。
あとは表1と表4(表紙と裏表紙)。
次回はそれに触れます。