リターン品のひとつであるプラスパッドジーンズについてご紹介します。
本品は私たちが最初に商品化したもので、1年以上の試作を重ね、施設等で意見を聞きながら作りました。「介護される側と介護する側を格好で区別しない」という私たちなりのユニバーサルデザインの思いを形にしています。
まず、ぜひ知って頂きたいのは圧倒的な穿き心地の快適さです。生地は柔らかいストレッチデニムを使用しています。夏用と冬用がありますが、冬用は裏起毛でとても暖かいです。
ゴムウエストでトレーニングパンツなどの穿き心地に近く、穿きっぱなしで寝られるようにしています。握力が弱まった方でもマジックテープでボタン部を留められるようにしています。
股上(股からウエストまで)が深く、形にもゆとりがあり、それでいてスタイルが悪くならないように工夫しています。(写真左がプラスパッドジーンズ、右が一般的なジーンズです。)
ジーンズに対してネガティブな意見として硬い、重い、窮屈、お腹が入らない、お尻が出るなどを解決することで「こんなのが欲しかった」と言っていただけるものになったと思っています。私も良く履くのですが、上にブレザーを合わせられるので普段着にも旅行でも使えます。
高齢者はジーンズと縁遠いと思われている方は多いかもしれませんが、日本で最初にジーンズを穿いた世代が現在70に達し、青春を思い起こし気持ちを前向きにする重要なアイテムなんです。モニタをお願いした施設で、なかなか歩けないと言っていたおばあちゃんが私たちのジーンズを試着して立ち上がってポーズをとられて私たちも職員さんも驚いたことがあります。
高齢者はグレーや茶色やクリーム色を着ている(べき)と思われている方もいるかと思いますがこれは思い込みかもしれません。私たちが丁寧に聞いていくと、意外に鮮やかな色を好まれる方も多いことがわかりました。
さて、名前の通り「パッド」がプラスされているジーンズの最大のポイントをご紹介します。これは高齢者の死亡リスクのひとつである転倒による大腿骨の付け根の骨折を予防する機能が隠されています。(写真は左が裏返したものです。インナーにパッドが入り、穿くことでパッドがフィットする構造です。)
皆さんの周りの高齢者で、転倒等で脚の付け根を骨折された方はいらっしゃるでしょうか。高齢化によって筋力とバランス感覚が衰え、転倒しやすくなることが知られています。知らないうちに骨密度が下がり、折れるとボルトを入れる手術を受けるしかありません。転倒は体が弱ったサインであり、一度片足が折れると反対側も折れるリスクが高くそのまま寝たきりになる方も少なくありません。なんと転倒で亡くなる方は今や交通事故死よりも多くなっています。
この状況に対して速攻性があるのが衝撃吸収パッドを腰の側部につけるヒッププロテクターです。整形外科学会や骨粗鬆症学会ではヒッププロテクターの常時着用を強く進めていますが、着心地も快適とは言えない特殊な装具は誰しもつけたくないものです。
また、長期的な予防の観点では、少しでも歩いてバランス感覚や筋力を維持することが必要です。安易に車椅子に乗せるのはより弱らせてしまうこともあるのです。
そこで私たちは発想を変えて、まず「歩きたくなる」「ずっと穿いていたい」ズボンを作り、そこにこっそり骨を守る衝撃吸収パッドを入れておくことにしました。少しでも多くの人に知っていただきたいと思っています。
試着のご要望などは086-250-6432までご連絡ください。