旧都城市民会館の3Dデジタルアーカイブプロジェクトが、第23回文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門において、審査委員会推薦作品に選ばれました。文化庁メディア芸術祭は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。第23回は、世界107の国と地域から3,566作品の応募があり、厳正なる審査の結果、受賞作品と審査委員会推薦作品が選出されました。活動を応援いただいた皆様に心より御礼申し上げます。■概要『Metabolism Quantized ~旧都城市民会館3D Digital Archive~』老朽化により維持が困難となった建築物を、複数の計測技術を組み合わせて精緻な3Dデータで保存。アーカイブとして建物の姿を後世に継承するだけでなく、ARやVR、ゲーム空間への転用など活用機会が拡張されることで、場所やスケールも自在に、物質性を超えた存在として建築を新陳代謝させた。■プロジェクトメンバー豊田 啓介 (gluonパートナー/noizパートナー)金田 充弘 (gluonパートナー/東京芸術大学美術学部建築科准教授)堀川 淳一郎(gluon CTO / Orange Jellies主宰)瀬賀 未久 (gluonディレクター)中庭 和秀 (クモノスコーポレーション株式会社 代表取締役社長)藤原 龍 (HoloLab)長坂 匡幸 (フリーランスCGデザイナー)大隣 昭作 (福岡大学工学部社会デザイン工学科)■協力都城市、クラウドファンディングにご支援いただいた皆様、xRArchi
建築家・菊竹清訓氏が設計した「旧都城市民会館」のありのままの姿をデジタルデータとして記録に残すため、クモノスコーポレーションにご協力頂き、距離を正確に測ることができる3Dレーザースキャナー4台を使って計測を行ってきました。そして、ようやく350地点から計測したデータの合成が終わり、旧都城市民会館の点群データが完成いたしました!先日8月29日(木)に開催されたリターンイベント第一弾『建築のデジタルアーカイブ』のトークセッションで、生成した点群データをお披露目してきました。3次元スキャンによる実測に基づくリアル断面。 断面を見ることで、予算がない中でホールとしての機能を担保・実現した菊竹清訓氏の設計者としての凄みを感じられます。真っ暗だった屋根裏の部分も3次元スキャンで記録に残すことができました。緞帳がそのまま降りてくる構造になっており、その分の高さが屋根裏に確保されています。建築を作る形、音響を作る形、テクニカルな部分がうまく納まるように計画されていたことが断面からよくわかります!高密度・超高解像度の点群データは5万円コースの支援者様限定となりますが、汎用版の点群データは、研究や教材としての活用や、クリエーターによる自由な創作活動に繋がるようオープンソースとして公開しております。>ダウンロードはこちら。※こちらの点群データを使って作成した作品については是非ハッシュタグ「#3DDA #旧都城市民会館」 で投稿いただければと思います。点群データ制作:
アンドロイドユーザーの皆さま、お待たせいたしました!『旧都城市民会館AR β版』がアンドロイド端末でも見れるようになりました。下記のURLを開き、お手元で旧都城市民会館のミニチュアをお楽しみくださいませ。良いショットが撮れたら、是非ハッシュタグ「#旧都城市民会館AR」で投稿いただければと幸いです。https://xrarchi.lilea.net/miyakonojo/ar/・各画像右下のARアイコンタップでARが起動・ARアイコンが無い場合は非対応端末です※ 動作条件iOS:ARKit対応端末(iPhone6s- iPad第5世代- iOS12-)Android:ARCore対応端末
ご支援いただいた皆さまへ皆さまの暖かいご支援のおかげで、解体着工前に無事に3次元計測を実現することができました。応援いただいた皆様に心より御礼申し上げます。建物の記憶を後世へ伝えるため、活動費の足しになればと始めたクラウドファンディングではありましたが、目標額を2日で達成することができ、建物への関心の高さ、名建築の価値継承、長年親しんできた地元の風景への愛着、市民会館での思い出、新たなアーカイブ手法への期待など、たくさんの想いを受け取ることができました。また現地では大雨の中での計測となりましたが、応援メッセージを頂いたり、地元の方が挨拶に来てくれたりと、暖かな励ましにとても勇気づけられました。誠にありがとうございました。いただいたご支援は、3次元デジタルアーカイブの活動資金として大切に活用させていただきます。早速、取得したデータの解析や撮影した写真から3Dモデルの生成が、現地での計測からまだ1ヶ月も経たぬうちに、どんどん進んでおります!本日は都城市での計測風景をご紹介します。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー旧都城市民会館 3D Digital Archive Project 〜計測編〜ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◆いざ、宮崎県都城市へ建築家・菊竹清訓氏が設計したメタボリズムの代表作「旧都城市民会館」の記録をデジタルデータで後世へ継承するため、解体着工前に宮崎県都城市を訪れました。3次元計測では、gluonとともに、KUMONOSによる3次元レーザースキャン、xRArchiの藤原さんと長坂さんによるフォトグラメトリ、福岡大学の大隣さんによるドローン撮影の技術を組み合わせ、写真や図面だけでは記録しきれない複雑な形状や構造を立体的に記録しました。◆空間のデジタル記述で培ってきた技術を活用し、3種の手法で計測を実施(1)3次元レーザースキャン豊富な測量実績と新しい測量手法を切り拓くKUMONOS(クモノス)の3次元レーザースキャン技術によって、建物の形状を立体的にスキャン。取得したデータは、原寸で計測されており、点群データと呼ばれる、点が集まって空間を形容するデータとなります。世界遺産や文化財のアーカイブ、復元、修繕工事のシミュレーション、CGモデリングなど幅広い応用性を持っており、3次元データとして永遠に残すことができる技術として注目されています。解体前の旧都城市民会館で3Dスキャナーを用いて3次元計測を行うKUMONOS CORPORATION大雨警報が鳴り響く中、屋根裏の空間も3次元スキャンを行いました。屋根裏には鮮やかな緞帳が残っていました。(2)フォトグラメトリxRと建築の未来を考えるコミュニティ「xRArchi(イクスラーキ)」から、藤原さんと長坂さんが駆けつけてくれました。フォトグラメトリとは、360度あらゆる方向から撮影した写真をコンピューターで解析し、3Dモデルを立ち上げる技術です。カメラやスマートフォンなどで撮影した写真から生成が可能なことや、PCやフォトグラメトリ用のソフトが高性能化してきていることから、スキャナーなどの特殊な機械がなくても3Dモデルが作れる手法として話題になっています。フォトグラメトリで作られたお二人の作品はこちら。銭洗弁天VR(制作:藤原龍)、Takanawa Underpass(制作:長坂匡幸)少しずつ移動しながら、大量の写真を撮っていくxRArchiのメンバーフォトグラメトリによって3Dモデル化された市民会館のロビー(3)ドローンによる空撮特徴的な屋根の形状や構造を記録するため、ドローンによる空撮を実施し、上空からの三次元計測とそのデータを使った解析を行いました。空からの撮影では、福岡大学工学部社会デザイン工学科で測量関連の助手を務める大隣さんにご協力いただきました。大学では緑地管理にドローンを活用する研究を行っています。計測の日はあいにくの大雨でしたが、雨が止んだ一瞬を狙い、高度な飛行スキルで屋根の上を満遍なく撮影しました。ドローンによって特徴的な屋根の形状を上空から撮影雨が止んだ瞬間を狙って撮影。空を飛ぶドローンは近所の小学生達にも人気者でした。◆撮影した写真の総数は10,000枚以上。各チームでデータの解析がスタート。現地計測を終え、早速、各チームで取得したデータの確認・解析が始まり、データのやり取りや試行錯誤も含めたノウハウの交換がオンラインで日々行われています。現地では7月23日より解体作業が始まり、建物は仮囲いに覆われ始めましたが、物理的な市民会館の解体が進む一方で、デジタルの市民会館は着々と生成が進んでいます。撮影した10,000枚以上の写真を解析し3Dモデルを生成する。______________________________________________________________________「旧都城市民会館 3D Digital Archive Project 〜計測編〜」は無事に現地での3次元計測を終えましたが、今後も「〜3Dモデル生成編〜」として、点群データの公開に向けたデータ解析が続いています。デジタルデータの活用に関するトークセッションや、点群データから建物のウォークスルーをつくるワークショップの開催もございますので、どうぞお楽しみに!引き続き、活動へのご支援どうぞよろしくお願いいたします!