こんにちは。コココーララボの加藤です。今日は、今回のリターンでご用意している「稽古場レポート」の一部を抜粋してご紹介します!以下にアップする内容はほんのほんの一部で、ご支援いただいた方にはさらにボリュームのある内容をお届けします。自分がしていることを具体的に「言葉にしていく」と、その言葉を受けた周囲の人たちからもまた新たな「言葉」が生まれます。そのやりとりを繰り返すうちに、互いになんとなく感じ取っていたものがはっきりと立体的に立ち上がってくるような、しっかりと実態をつかめるようになるような、そんなことが稽古場では頻繁に起きています。これが、コココーララボで一番大事に取り組んでいることでもあります。このやりとりをテキスト化してみたものが、今回の「稽古場レポート」です。稽古場でのやりとりをテキスト化することでどんなふうに伝わるのか、受け取ってもらえるのか、その先でどんなことがおこるのかを私たちも楽しみにしています。それでは、「稽古場レポート(抜粋)」どうぞご一読ください!********************おたよりコーナーは、コココーララボの稽古の合間に行われる。稽古場見学に来た人が稽古を見ながら小さな紙に書いたことを題材に話をする。小さな紙は「おたより」と呼ばれる。誰が書いたかは記入しなくてよい。ただ、筆跡などですぐばれる。内容は個人的なメモでも感想でも質問でも、なんでもよい。この日は花さんが稽古場見学に来てくれた。6/20 19:15.荒 おたよりコーナーの時間です。世間話も交えながら進めますね。山内 世間話もね。松田 はい、おたよりコーナー。読みますね。「山内さん プリセットのときは、何が内で起こっているのですか?」花 はい、あの、健司さんの…山内 俺への質問だ…。花 そうです。「プリセットがうまくできない」みたいな話の時は、健司さんの中で何が起こってるんですか?っていう疑問。※(※この会話の直前、冒頭シーンの稽古をしていた。山内演じる“守”が松田演じる“琴子”に実演を交えて“夢”の話をする場面。始める前に、山内が「準備したいです」と言って、何秒か時間をとったときのことについての質問。ちなみに、コココーララボWEBでは戯曲を読むことができます)山内 えっと、説明できるかな。その前の状況っていうか、あの…楽しいって感じについて。前のバージョン※のときは割と、登場人物の二人が落ち合ってからそんなに時間が経ってないってところでこのシーンがあったんですよ。それで、俺がここで大ボケをかます、みたいな、ノリというか、大がかりな小噺って感じでここを進めてたのね。だから、その前段階の楽しい状態みたいなのを演じるときに「楽しくなるには楽しくなるには」って自分に問いかけてて。このシーンはマチコ(松田のこと)との遊びで、俺が楽しませるわけじゃない? でも、俺が楽しませるっていう集中力とか体の状態とかが全然なくて…全然うまくできないからそれをどうにかする、っていうのが今のプリセットでやってたことです。(※前のバージョン…2018年に上演したリミックスバージョンのこと。このバージョンは2019年バージョンとは始まり方が異なっており、別のシーンから夢の話につながっていた。一方で、2019年バージョンは突然夢の話から始まる)花 なるほど。山内 で、その楽しませるぞ、っていうのを、具体的にどうしようかなと思って。ちょっとこれを言うのは恥ずかしいんですけど、えっと、とりあえず、マチコと遊んで楽しいときってどんなだっけな、って感じのこと、ちょっと考えて。松田 (笑)あれ、そうなの?山内 うん、ああそうだそうだ、こんな感じだ、って。今は、ちょっとこれも説明してしまうのは恥ずかしいですけど、マチコと腕相撲したらどうなるかなってことを考えたんです。そうしたら、マチコは誘ったら、モジモジしながらきっと乗ってくるだろうなと想像できて。マチコと腕相撲している感じでこのスタート姿を思い浮かべたら、俺の体と気持ちのプリセットができて、つまり楽しませるって状態になれるぞ。よし、はい、OKです。っていうのが今やってた作業でした。松田 へえ。おもしれ〜。荒 へえ〜。山内 (笑)恥ずかしい! これ言わないよね、普通ね。花 私も勇気を出して聞きました。山内 あ、違う違う。聞いてくれるのはいいんだけどね、もちろん。普段こういうの役者は説明しないよね。荒 でも、なんか今の話はすごく役者の仕事って感じがしますね。その、なんか、想像して状態を作る…松田 その想像はどういう道筋でもいいんだよね。最終的にその状態に行ければね。山内 今は時間なかったから、もう具体的にマチコと遊んでるっていう、何して遊ぶかなっていうのを別の具体例で道筋立てちゃいました。松田 よく稽古するときに、「あれ、このシーンの前何だったっけ、この前何してたっけ」っていうのをさ、すぐ忘れちゃうから、そこは台本に戻って確認したりとかしてね。私もそうやって考える。それの大規模なやつだよね。山内 ま、でも、体と気持ちがね、ノリノリにならないと始められないんで、これは。荒 この戯曲、最初からある意味、山内さんはトップスピードで始めなきゃいけないので、山内 そうそうそう。そうなんです。松田 そうだね。でもさ、長編の、フルバージョンはこの夢のシーンから始まってるよね。確か。荒 はい、そうです。松田 去年やったときは、リミックスで、そこに至るまでがあったので。山内 イエーイって。勢いをつなげられたんだよね。松田 うん、うん。だから、去年はこのシーンが最初じゃなかったんだよね。このシーンから始めるのは、今年が初めてなんだよね。山内 そうそうそう。…という、お答えでよろしいでしょうか。花 はい。ありがとうございます。山内 どういたしまして。********************…以上、「稽古場レポート」どうでしたでしょうか?この日はこの後も、「受け取った振付と台詞とをどんなふうに結び付けているか」を山内さんと松田さんがそれぞれのやり方について話したり、「演出家が演じ手に渡すタスクをどう与えているか、どう与えるといいと考えているか」について話したりと興味深い話がたくさん出ていました。それらは、ご支援いただいた方に追ってお届けしますので、ぜひぜひ楽しみにお待ちください!最後に、この日の稽古場で山内健司さんがこんなことを言っていました。「ものづくりに関心のある人は特に、劇場にお芝居を見に行くように稽古場の時間を共有できればいいのにって思ってて。本当はすごくそう思ってるんですよ。」この稽古場レポートは、稽古場の時間を共有できるかもしれない手段の一つだと私たちは考えています。楽しんで、ともに共有してくださったらとても嬉しいです。締め切りまでもうあと2日!ぜひご支援ください。そして、よければぜひコココーララボvol.2『助走』にもお越しください!お待ちしています!
コココーララボ制作の加藤です。今回の企画初日まであと8日となりました!現在、稽古が順調に進められています。稽古場には時折、メンバーの知人が見学に来ます。見学者がいるときは、稽古の最中に『おたよりコーナー』が設けられます。見学者には小さな白い紙が渡され、稽古中見ていて気になることがあればその紙にかきとめてもらいます。そこには、感想はじめ「あのセリフの出だしを強めに言葉にしたのはなぜですか?」「なぜ地面をみて歩くように指示をしたのですか?」など細かな質問などがたくさん書かれています。コココーララボメンバーはそれを読み上げ、それに対してひとつひとつ言葉にしてこたえていきます。このやりとりがまるでラジオのリクエストコーナーのようだったので、『おたよりコーナー』と呼ぶようになりました。これについては、メンバーである青年団・山内健司さんが「演劇の『舞台の上の言葉』『見ている人の言葉』『作っている人の言葉』を通わせる」試みだと言葉にしていました。見ている人から疑問や興味の言葉をもらい、それに対して舞台上の人や作る人が言葉にして具体的に説明していく。それは、複雑に関わりあい組みあがっているものを、ひとつひとつほどいてばらばらにして、互いに見合って細かく確かめ合うような作業です。このように、コココーララボでは上演するまでの間、企画の立ち上がりから上演までの取り組みを改めて考えたり、疑ったり、試したりしています。『ラボ(研究所)』らしく、短い時間で効率的になにかを積み上げることよりも、ひとつひとつを確かめながら重ねていくことを行っています。今回稽古で行われている『おたよりコーナー』の詳しい内容などは、リターンの品である『稽古場レポート』に折り込んでいければと思っていますので、興味のある方はぜひご支援ください!-----------「演劇づくりが観られる社会見学のよう」これは前回の企画を見た方からいただいた感想です。今回のコココーララボvol.2『助走』は公演の要素が強い企画ですが、その側面は今回もたっぷりとあると思いますので、ぜひぜひ楽しみにしていてください!