ナマステ
本プロジェクトで現場監督をしている古屋です。
柔道場建設始めてくから2週間が経ちました。
ここまで完成しました。おおよその大きさは聞いていましたが、こうして建物として見るとかなり大きいなと思います。
このサイズだとネパールにある柔道場の中でも大きい部類の柔道場が完成しそうです。
今のペースだと完成まであと2.3週間と言ったことろだそうです。
建設始めてからここまでは順調に来ているので、あとは雨が降ったりして工事が遅れなければいいなと願うばかりです。
先日、柔道場の工事を見に言った時のことです。
工事途中の柔道場を見ていると、子どもたちが近寄ってきて「見て!もうすぐ柔道場できるよ!」って話しかけてくれるんです!!
工事進めている自分たちが完成を待ち遠しくしているように思っていたのですが、
一番柔道場の完成を楽しみにしているのは「子どもたち」なんですよね。
「柔道やりたい!」と言ってくれる子どもたちの気持ち。
そこを忘れずにしなきゃな、と改めて思わされました。
さて、子どもたちが私に話しかけてくれる言葉は「ネパール手話」という言語です。
ここでネパール手話についてお話しします。
まず手話についてなのですが、多くの人が勘違いしがちなのですが、手話は世界共通ではありません。
日本には日本の手話があって、英語には英語の手話があります。ネパールにはネパールの手話があります。
こう言うと「手話くらい世界共通にすればいいのにね」と良く言われるんですが、
手話は世界共通で同じにはならないです。
なぜなら手話はその国の文化が色濃く反映されるからです。
例えば、日本で健聴者でもジェスチャーで「いただきます」をすれば両手を合わせるポーズをしますよね。
ですが、同じ「いただきます」をネパールですると「ナマステ」になります。
日本だと小指を立てるジェスチャーは彼女って意味になりますが、ネパールだと小指を建てるのはトイレの意味のジェスチャーです。
そもそも身体で表すジェスチャーからして、国の文化で全く違います。
もう一つ手話が世界共通にならない理由があります。
喋る方のネパール語を勉強していると、日本語には表現できないネパール語にしかない単語と出会うことがあります。
ネパール語に「アルチ」と言う単語があるんですが、辞書などには「怠惰」と言う風に訳されるんですが、実際はだいぶ意味が乖離していて、アルチは「めんどくさい、やる気ない、ゆっくり」をもっと誰しもが気軽に言えるような言葉なんです。
ネパールの文化や国民性だからこそ生み出されたような言葉があります。
日本語にしても「よろしくお願いします」のように英語にしてもネパール語にしても声に出す言葉として存在しない、日本の文化から派生した言葉があります。
もし手話が世界共通だとすると、その国の言葉でしかない「アルチ」や「よろしくお願いします」という言葉たちが表せないんですね。
その国その国で文化があり、その文化があるからそこ、言葉があります。
そしてその言葉があるからこそ、手話があるんです。
今、ネパールで手話を勉強し始めて6ヶ月。
週6回、毎朝7時から2時間、ネパールの手話学校に行って勉強してます。
髪を触るポーズが黒や、バナナの皮をむくポーズがバナナとかそのような分かりやすい表現は日本の手話と同じなのですが、その他99パーセントは全く違うものです。
一つ、日本とネパールの手話の面白い違いを教えます。
両手をグーにして、人差し指だけを出して、両方の人差し指を何度もぶつけるポーズ。
これは日本では「喧嘩」の手話です。
健聴者でも、「彼と仲が悪くて、、、」と言うジェスチャーで人差し指を合わせることあるかと思います。(伝わりますでしょうか?)
しかし、両手の人差し指をぶつけるポーズ。
これはネパールの手話だと
「愛」
なんです。
「喧嘩」と「愛」全く逆の意味ですが、日本の手話とネパールの手話は同じなんです。
「彼と喧嘩しているよ」って伝えようと思ったら、ネパールだと「彼を愛しています」となってしまうんです。
「喧嘩するほと仲がいい」
とはよく言ったものです。
手話のジェスチャーが同じと言うことを鑑みると「喧嘩」と「愛」の元をただした本質的な意味は実は同じなのかもしれませんね。
柔道場完成までもう少し、、、
「喧嘩」してもいいくらいメンバー、一人一人の意見や思いを出し合って、それを「愛」に変えてネパールの子どもたちに届けたいと思います。
古屋