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現代オタク文学研究 ~類似で読み解くその系譜~

人気漫画「進○の巨人」のルーツについてはこれまで“謎本”などで様々に語られてきましたが、PCゲーム「マブラ○」シリーズとの関連に特に注目して検証してみたところ、古今東西実に多くの創作物等が両作品に影響を及ぼしていることがわかってきました。現代オタク文学の系譜作りに挑みます。

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このプロジェクトは、2019/11/09に募集を開始し、 2019/12/20に募集を終了しました

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人気漫画「進○の巨人」のルーツについてはこれまで“謎本”などで様々に語られてきましたが、PCゲーム「マブラ○」シリーズとの関連に特に注目して検証してみたところ、古今東西実に多くの創作物等が両作品に影響を及ぼしていることがわかってきました。現代オタク文学の系譜作りに挑みます。

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試供品について
2019/12/08 13:06

 今回、「進撃の巨人」関連の内容を含めるものをご紹介できませんでしたが、TOP絵(二枚目)にほんのちょっとばかりヒントが記されています。いずれにせよ、本番では各作品についてもっと細かく、枝葉についても詳細に掘り下げていく予定です。 ここまでお読みいただき有難うございました。


 では「はてしない物語」(ミヒャエル・エンデ、1979)も検証してみよう。 この物語には「はてしない物語」という本を読んでいる少年・バスチアン、本の中で冒険している少年・アトレイユという二人の主人公が存在する。本の中の世界の女王“幼ごころの君”によるとこの世界は滅亡の危機に瀕しているのだという。世界を救う方法を探すため奔走するアトレイユ。手に汗握りその物語を読み続けるバスチアン。だが、真の救世主はこの本を読んでいる“あなた”なのだ!…さてどうするバスチアン!? 実は先に挙げた「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」はこの「はてしない物語」の翻案とみることができる。“幼ごころの君”によって本の中に引きずり込まれたバスチアンはその後好き勝手な冒険を繰り広げるのだが(*1)、その冒険活劇を鑑賞している“幼ごころの君”こそ「うる星2」でいう“ビューティフル・ドリーマー”なのだ。作中、“幼ごころの君”は現実世界でバスチアンが以前よく創作おとぎ話をしてやった近所の年下の少女であることが暗示されている(近頃はご無沙汰だったらしい)。その少女が現実世界で今どんな境遇にあるかはわからないが、バスチアンの“おとぎ話”を欲して彼を本の中に引き入れたのではないかと推測できる。「うる星」では普段つれない態度のあたるを眠れるラムがその夢の中に(愉快な仲間たちとともに)引き込んだのであり、「アンリミテッド」「オルタ」では「タケルちゃんに逢いたい!」という“眠り姫”純夏の悲痛な願いがタケルを「エクストラ」世界から引っ張ってきたのだ(*2)。「B・D」の上流にある「はてしない物語」も当然、多くの現代作品に影響を与えているといえよう。 前に挙げた作品の他にも「神秘の世界エルハザード」、(かなり変則的だが)「少女革命ウテナ」や「カードキャプターさくら」もまた「はてしない物語」の流れを受け継ぐ作品である。最近、ようやく新刊が出たという作り物めいた異世界を舞台にした「十二国記」シリーズもこの範疇ではないかと睨んでいるのだが、どうだろう(*3)。(*1)“幼ごころの君”はバスチアンを本の中に引きずり込んだ後、「汝の 欲することを なせ」という一文を残しどこかに消えてしまう。(*2)「B・D」における“幼ごころの君”はちょくちょく登場していた大きな帽子の幼女だろう。映画終盤にラム自身であることが明かされている。もし「エヴァ」で夢を見ているのがユイだとすれば“幼ごころの君”はレイ、『マブラヴ』で夢を見ている純夏に対する“幼ごころの君”は社霞(やしろ かすみ)…なのかもしれない。(*3)作中、「はてしない物語」を匂わせる会話文がある(延王・尚隆)。


 「カードキャプターさくら」(CLAMP、1996-2000,2016- )が「はてしない物語」の関連作品であるという状況証拠はあっても確証はない。なにせまだ完結してないし、「CCさくら」。 主人公・木之本桜(きのもと さくら)は、キャラクター論でいうとこれは「長くつ下のピッピ」(1945)に近い。活発で運動神経抜群、産まれてすぐ母を亡くしたため“母親が天使”でよくお空に語りかける…というあたりが重なる(但し、桜の場合語りかけるのは写真立てで、さらに母は比喩ではなくリアルの天使だ)。ピッピを(部分的でも)モチーフにしたキャラは珍しくなく、元々ピッピをアニメ化するつもりだったという「パンダコパンダ」(1972)、漫画「To-y」(1985-87)の山田二矢は父が外国船の船長、「ふしぎの海のナディア」(1990-91)ナディア姫はピッピの“根暗版”、「カウボーイビバップ」(1998)のエド(初登場時に警官二人と追いかけっこを繰り広げる)などと容易に挙げることができる。「マブラヴ」の鎧衣尊/鎧衣美琴はエドの流れを汲むからこれも… 話を「さくら」-「はてしない物語」に戻そう。早くに母を亡くした父子家庭という境遇と普段使われていない屋根裏部屋で“古い本”に似たカード入れを開くことで冒険物語が始まるという辺りが「はてしない物語」と重なるのだが、それ以上は解説が必要になるだろう。ここからは「さくら」=「はてしない物語」説が真であると仮定した上での推論。 桜は精霊を封じたカードを散逸させることで逃げたカードたちを集めるという任務を負う。企んだのは古の大魔導師クロウ・リード(故人)で、その魂の生まれ変わりが桜の父・藤隆、記憶と魔力を受け継いだのが柊沢エリオルである。桜が四苦八苦してカード集めをするうちにカードの魔力を感知し、香港から来日した李小狼はクロウの血を受け継いだ一族の末裔。当初、小狼はカード集めを競うライバルだったがカードは全て桜の元に集まり、最終的に桜と小龍は恋仲になる。2000年までの旧編では最後にエリオルが一連の騒動を総括し、桜が世界一の力を持つ魔術師になったと告げている。 普通、ファンタジーでは魔王を倒す等大きな目的があって、その手段として世界一の魔術を身に付けたりするものである。桜が危険を犯す動機は散逸させた自身の失態への負い目、「街が大変なことに」「カードさんがかわいそう」という小学生の女の子が命を賭けるには釣り合いそうに無い感情から来るものであって、世界一の魔術師になること自体を目的としてはいない。この物語の大きな目的とは何だろう。 「はてしない物語」で本の中の主人公・アトレイユは女王“幼ごころの君”から世界を救う方法を探せとの指令を受け命懸けの冒険を繰り広げた後、当の女王から実は任務の結果に大した意義はないという怒髪天モノの告白を受ける。命懸けの冒険をさせることで読んでいるほうの主人公・バスチアンを夢中にさせ本の中に引きずり込むことが狙いなのだという。「CCさくら」に当てはめると、桜のカード集め(及び書換え)自体には大した意義は無く、李小狼を来日させることが狙い…ということになろうか。ではこれを画策(CLAMP以外で)した「CCさくら」の“幼ごころの君”は誰か。エリオルは二人が結ばれることまでは予測できなかったと発言しているので、クロウ・リードではない。“おとぎ話”を欲した“幼ごころの君”はほぼ毎回桜の出撃に同行、危険を顧みず現場で目撃しビデオに収め続けた桜の親友・大道寺知世に他ならない。この世界は知世にとって極めて都合のいい世界だ。超優等生・知世が通う学校はかなり自由な校風で担任は優しくクラスにいじめも無し、授業もしょっちゅう遠足なり社会科見学なりで楽しい場所へ出かけている。自宅は大豪邸、母が常に仕事で多忙(*1)なため夜間の外出も自由(ボディーガードのエスコート付き)、無二の親友・桜とは一切いさかいも喧嘩も無く、しかも世界の危機を救っちゃうスーパーヒロイン(着せ替えもさせてくれるし)。これが知世の望んだ夢でなくて一体誰の夢なのか。知世こそが「CCさくら」世界の“ビューティフル・ドリーマー”なのである。 大道寺知世の外見は、平井和正「地球樹の女神」(1988-92)にある挿絵の後藤由紀子(山田章弘・画)に似ている。作中、平井自身が後藤にインタビューする(!)という章がありそこには「後藤由紀子さん、あなたはわたしのビューティフル・ドリーマーそのものなんです」と書かれている(徳間書店版、第3巻)(*2)。「地球樹の女神」のみならず、平井作品には世界を救う類の物語が見られる。「CCさくら」では桜と小狼が結ばれることでクロウ・リードの魂を持つ父・藤隆と天使である母・撫子の娘である桜と、クロウ・リードのDNAの後継者・小狼との間に子ができれば真のクロウ・リードの生まれ変わりあるいはクロウを越える何かになる可能性がある。これこそがこの物語の真の目的ではないだろうか。例えば将来、CLAMPワールド全体を揺るがすような大災厄(幻魔襲来?)が起きた際に「CCさくら」の世界からはその究極超人が合同救世主チームに参加したりするのかもしれない。(*1)もしかすると現実世界の知世は働きづめの母のためさびしい思いをしているのかもしれない…(*2)「美女の青い影」(1969)の後藤由紀子は「地球樹」の由紀子と同一人物とも明かしている。それを元にCLAMP「xxxHolic」などにでてくる次元の魔女・侑子は知世が成人した姿だとする説もある。実はこの話は以前、画材を求めに通っていた文房具屋で会った見ず知らずのCLAMPファンから聞いた話を元にしており、かなり有名な説なのかもしれないがそれはそれで構わない。当研究は独自の説を披露してドヤ顔をするのではなく、そういったものを繋ぎ合わせて広大な地図を作ることが目的なのだから。


 次に「劇場版うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984)を見てみよう。 この作品は元となる原作漫画やTVアニメ版があって、あえてその世界から逸脱するという造りになっている(ぶっちゃけ日常世界/夢の世界なのだが、オリジナルのアラ等をネタにしてる辺りこーゆー言い方ができると思う)。そこで“元の世界”を加えて図式化すると、『マブラヴ』と似たような図を作ることができる。「うる星」の“元の世界”は「マブラヴ エクストラ」(「エクストラ」は「うる星」の日常および劇場版第一作に相当する。先述の『マブラヴ』のあらすじを読んでピンときた向きもいるかもしれないが詳細は後日)、ほぼ全編がラムの夢である映画のうち前半の“終わらない学園祭前日”が「アンリミテッド」、この奇怪な“無限ループ”世界から抜け出そうと奔走する諸星あたるを描く映画終盤が「オルタネイティヴ」に相当すると考えられる。「B・D」の“ループ”を生み出すのは実世界(“元の世界”)で眠っているラム(実際に夢を制作するのは夢邪鬼と名乗る妖怪だが、彼はラムの望みどおりに作っている)であり、“学園祭前日”のあいだ中しばしばラムの望みどおりの現象(ループの変化)が起きている。「オルタ」の純夏は全く不本意な状態での“眠り姫”ではあるが世界をその無意識領域の欲望で操る“ビューティフル・ドリーマー”ということになる。「B・D」の影響力は極めて大きく、例えば「新世紀エヴァンゲリオン」のTV版は第壱話から「B・D」との共通点に満ちており、今後もループ世界としての続編が作られていくことだろう(「エヴァ」の眠り姫は誰だろう?シンジの母ユイだろうか)。 「うる星」引用のサインはずばり「マブラヴ」というタイトルである。これは直接的には都築俊彦・著「まぶらほ」シリーズ(2000-11)に繋がるのだが、「まぶらほ」が「うる星」をはじめとする“るーみっく・わーるど”のパロディになっていることを鑑みれば少々迂遠ではあるがこれが「うる星」引用のサインと見做すことができる。


 お次は「ふしぎ遊戯」(渡瀬悠宇、1992-96)。『マブラヴ』作中には時折「ふしぎ遊戯」からの引用を思わせる会話文が登場する。両作品の世界観が似ているとは言い難いが、引用が窺える以上共通点を探さねばならない。異世界を往来する点はどうだろうか。一冊の本を媒介に世界間を移動する(「ふしぎ遊戯」)のはまずエンデの「はてしない物語」(1979)由来だろうし、朱雀、青龍まで現実世界に来ちゃうのはその劇場版「ネバーエンディング・ストーリー」(1984)が元なのかもしれない。『マブラヴ』のそれとはだいぶ趣が異なるようだ。 「マブラヴ エクストラ」はいわゆるギャルゲー美少女ゲー、恋愛ゲームの態を為しているのに各ヒロインの攻略難易度には極端な差がある。これは全てをクリアしてのち、純夏がメインヒロインであることを認識すると一応納得できるのだが、それにしても選択肢をランダムに選んだとしたらまず間違いなく純夏エンドになるし、次いで冥夜エンド、意図して狙わないとまずたどり着けないその他ヒロイン(尊と一緒に遠洋漁船の上で迎える日常エンド(!?)やまりもと結ばれるバッドエンドを除く)…という極端な格差はやはり気になった。 そこで「ふしぎ遊戯」「マブラヴ」の恋愛関係を図式化してみたところ、面白い結果が得られた。主人公で朱雀の巫女である美朱と朱雀七星士、主人公で恋愛原子核(*1)であるタケルと彼に群がる電子の如きヒロインたち、これらの性別をひっくり返しただけでハーレム(逆ハーレム)構造が見事に一致したのである。「マブラヴ」冥夜の御剣財閥は天皇家の暗喩であり、「ふしぎ遊戯」で一国の王様である星宿と比して遜色はない。純夏-冥夜-タケルの三角関係は無論鬼宿-星宿-美朱。純夏、タケルがしばしば冥夜と比して“庶民”を強調していたのも美朱、鬼宿のそれと重なる。“おカマ”ちゃんの柳宿は性別不詳の鎧衣尊(美琴)だし、朱雀七星士で最後に登場した天才児童・張宿は「アンリミテッド」で初登場の天才幼女・社霞(やしろ かすみ)と、なかなかの一致ぶりである。タケルが圧倒的に純夏、冥夜と結ばれやすいのも「ふしぎ遊戯」美朱の恋愛遍歴を見れば当然なのだ。 ちなみにこの引用を象徴するサインとして「アンリミテッド」エンディングで見られる“星を見上げる親子”の図(「ふしぎ遊戯・第二部」ラストの見開きコマに相当)を挙げることができるのだが、どうやらもうひとつ隠しサインがあるらしい。「頭文字D」高橋涼介によく似たキャラ・一文字鷹嘴(いちもんじ たかはし)が「エクストラ」と「オルタ」シナリオに登場するのだが、高橋涼介、星宿と同じ声優が一文字の声を当てている。この程度でどうして「ふしぎ遊戯」引用のサインといえるのか。巧みな操縦技術(「エクストラ」では60mリムジンの運転手、「オルタ」では駆逐艦・夕凪の艦長)、これは「頭文字D」由来なのだろうが、どちらのシナリオでも一文字は最後に車両、駆逐艦による無謀な突入を敢行している(*2)。「頭文字D」の高橋は決して命を捨て死中に活を求めるようなキャラではない。これはおかしい。実は「ふしぎ遊戯」終盤、敵将・心宿の策略で朱雀が力を失い、自国への敵軍侵入を防げなくなった星宿は、圧倒的な力を持つ心宿に無謀な攻撃を仕掛け討ち死にしている。一文字鷹嘴は「頭文字D」「ふしぎ遊戯」双方からの引用を象徴するキャラクターなのかもしれない。ちなみに同じ声優さんが三島由紀夫を思わせるキャラの声も当てているがこれは無謀繋がりと見ていいのか、現在調査中。(*1)恋愛原子核…「エクストラ」世界で夕呼が命名。大したとりえも無いタケルに何故か女子が群がる現象を説明しようという仮説。(*2)一文字の名誉のために言っておくが、決して無意味な犠牲ではない。星宿のアレは微妙だが…


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