2019/07/14 22:50

■最近、脱・観光という言葉をよく耳にするようになってきています。

 観光客が押し寄せすぎて、地元の暮らしがそれに押しつぶされてしまったり、疲弊したりという”オーバーツーリズム”という問題。あるいは観光客が多く訪れるようになったことで、どこにでもあるようなお土産物や飲食店ばかりになってしまったりという”均質化”の問題。

観光地だった街も観光地ではなかった街もそんな問題に直面しているところも増えてきています。 いまの熱海でもそのようなことが起こり始めています。しかし、それは”今”初めて起こったことではありません。10数年前、熱海でのまちづくりを志した頃、かつて繁栄し、そして衰退していく熱海の街をみていて感じた問題でもありました。それが僕の原点にある問題意識です。

 15年ほど前、海外でバックパッカーをしていた頃に気づいたことがあります。様々な街を訪れる中で、「この街にまた来たいなと思えた街」は観光スポットをめぐる観光をしたからではなく、地元の人や旅人や多様なそこに関わる人々との出会いがあって、その街ならではの生活文化のようなものに触れる経験ができた街でした。「地元の人が楽しそうに暮らしている街にこそ行きたくなる」そう思ったのです。 


■熱海サードプレイス化計画 ATAMI, the great good place. 

観光地を卒業し、熱海はサードプレイスとなる。それが私たちが描き続けている私たちの熱海のこれからのビジョンです。 家と職場の往復しかない人生は疲弊する。逆に言えば、家でもない職場でもない居場所(第三の居場所)があると人生は豊かになる。自宅と観光地だけの往復では人生は疲弊する、だからこそ一回行くだけの観光地ではなく、故郷でも都会の近所でもない第三の居場所。熱海はそんな場所であり続けたいと思っています。 

だからこそ「『店主と観光客』よりは『ホストとゲスト』、そして『人と人』の関係へ。「行列よりも、会話であふれる人溜まりを」。そんなことを大事にしていきたい。 

ここ最近の熱海の街を眺めていて、当たり前だけど改めて思ったこと、それは・・・熱海という街は、観光地という宿命をもっているということです。 そんな街だからこそ、地元の人だけでも、一元さん的な観光客だけでもダメなのだ、と。地元の人から、二拠点居住する方や、たまに熱海に来る方や、東京や周辺地域から始めて来た人までの多様なグラデーションがあり、その人たちがバランスよくいて、それがゆるやかなコミュニティになっていくこと。

そんな風になっていると人にも街にもとても居心地の良い場所になっていくんじゃないだろうか。 生活レベルも底辺から頂点までの人たちが混在している、そもそもそんな多様性にあふれた熱海の街。だからこそ、街にもまた多様な入り口をつくろう。そう思ってまた新たなプロジェクトを始めることにしました。 


■【脱・観光地宣言】熱海に“暮らす”ように泊まれる宿「ロマンス座カド」をつくります

 100万人が1回訪れる街よりも、1万人が100回訪れる街を目指して。熱海銀座の「guest house MARUYA」をハブに、部屋が街全体に散らばるスタイルの宿を展開します。その一歩目となるのが、今回つくる個室タイプのゲストハウス「ホテル ロマンス座カド」。

今回チャレンジしているクラウドファンディングという手段も、目指すゆるやかなコミュニティをつくる一つの大事な方法とも思ってやっています。 


■街の一つひとつのお店や宿や会社、そしてそこで暮らす人の暮らし方こそがその街をつくる。そのためにはやはり一つひとつ、いいものをつくり上げようと取り組んでいかないと、街の価値は上がっていかない。 スピードは上げつつも、一つひとつこれからも街にコンテンツをつくり続けていこう。僕らはいま改めてそう思い、まずは一つ目のチャレンジをしていこうと思っています。