在日外国人支援事業を担当している山本です。
本日は、シェアが、日本に住む外国人の母と子の健康のために活動を始めるきっかけの1つになった事例をご紹介します。
妊娠中に保健センターにつなげられなかった外国人妊婦の例
出産が間近に迫ったアジア出身の妊婦さん。
日本語があまりできませんでした。
周囲のサポートにより、この女性には出産前後に医療通訳派遣が必要ということで、シェアに相談が寄せられました。
シェアは病院と調整し、医療通訳を派遣しました。
この頃、お母さんは精神疾患を発症しているのではないかと周囲は心配していましたが、言葉が通じないため良く分かりませんでした。
シェアからは、医療通訳派遣の後、早めに、医療通訳を活用した精神科受診を提案しました。
産後数ヵ月が経過し、今度はお母さんが結核を発症し、シェアに医療通訳派遣で繋がってきました。なんと、赤ちゃんも結核を発症していました。
当初、精神疾患を心配されていたお母さんですので、妊娠中に保健センターなどに繋がっていれば、もしかしたら、結核を早期に発見できたかもしれない。
そして、赤ちゃんの発症は防げたかもしれない・・・。
シェアとしても今後の相談対応について、教訓が残ったケースでした。
外国人妊婦も“妊娠期からの切れ目ない支援”が得られるように
現在東京都は、妊娠期から就学するまでの切れ目ない支援を行うための事業を行なっており、それに伴い23区でも区によって取組みが進んでいます。
妊婦面接で保健師などが妊婦との面談を行い、妊娠期から長期的にお母さんをサポートしていきます。
この事業開始前は、母親学級への参加者以外の妊婦とは、病院から繋がってきたりしない限り、基本的には保健センターが関わることはほとんどありませんでした。
先述のようなお母さんが東京都にお住まいの場合は、今後、妊婦面接に繋がることができれば、支援対象として保健師に目を配ってもらえるのではないかと思います(区によって取組みが違います)。
ただ、外国人妊婦の場合、夫が母子健康手帳を取りに行ったり、夫婦で訪れても夫しか話さない(夫しか話せない)こともあるため、妻(妊婦)にサポートが必要かどうか認識されにくい状況があります。
認識されずサポートから漏れてしまった外国人妊婦を支え、保健センターにつなげていくために重要な存在が、同国人コミュニティです。
同国人のコミュニティの中で、妊婦さんの存在が把握されていれば、支援につながりやすくなります。
私達が共に活動しているFemale promoter(女性普及員と呼んでいる母子保健ボランティア。以下、女性普及員)がまさにそのような存在です。
妊娠中に保健センターと繋がっておく必要性をしっかり理解している彼女達が同国人コミュニティにいるのといないのとでは全然違います。
最近、女性普及員や、女性普及員と共に活動してくれているシェアの医療通訳のみなさんから、ネパール人コミュニティ内で困っている妊産婦さんをシェアに繋いでくれる数が増えてきています。
みなさんのご支援で集まった資金を活用し、女性普及員を中心とする同国人コミュニティと共に、見えていない、サポートに繋がっていない妊産婦さんとつながり、保健センターへの橋渡しをしていきたいと考えています。
クラウドファンディングの挑戦も残り15日となり、1,569,500円になりました。
目標額の300万円まではまだまだ遠い道のりで、多くの皆様の応援が必要です。
引き続き、応援よろしくお願い致します!!
山本 裕子
シェア=国際保健協力市民の会
在日外国人支援事業担当
(保健師、看護師)