ヴァイオリニスト横山亜美さんからのメッセージです!
ヴァイオリン奏者 横山亜美
私にとって、100年前というのはそう遠い昔のことではありません。
私の祖父である、横山傅一郎が生きていた時代にあたるからです。彼も私と同じ音楽家であり、彼から親子三代に渡る音楽一家となった横山家にとって、大切な存在です。
現在でも、約100年前に彼が作曲や編曲をしていた楽譜が自宅に残っており、肉筆で書かれたそれらを見ると、100年という数字は決して大昔のようには感じられません。
この捕虜たちが日本に生きたのは、そんな祖父の青春時代と重なるのです。
日本へ西洋音楽が伝わる歴史の中で、徳島の板東俘虜収容所での出来事を始め、第一次世界大戦をきっかけとした出来事は多くあるようです。
主に西洋音楽を演奏している私個人としても、大変に関心のある事柄です。
私の祖父と父は、2人とも音楽をしているが故に、時代に翻弄されてきました。
祖父は、第2次世界大戦時下においては「非国民」と称され、仕事を失い、本人が望まぬ軍歌の作曲を強いられていました。
父は終戦後にヴァイオリンを始めたいと思っても、男性が音楽に勤しむ事に対して周囲の理解を得られず、大変に苦労をしたそうです。
けれど、どんなに辛い時があっても、それでも音楽をやめなかったのは、それが生きている原動力になりえたからだと思います。
私にとっても、音楽は魂の原動力であり、きっと日本に収容されていた捕虜たちにとってもそうだったのではないかと思います。
この青野原オーストリア2019プロジェクトには、
"音楽を通して、時を超えて心を繋げる"というコンセプトにとても惹かれました。
私にとっても、身近な肉親が生きた時代の出来事は、全く他人事ではないからです。
100年前に日本で、捕虜たちが演奏した音楽を、彼らの想いを届けるつもりで、全力でオーストリアの地で演奏したいと思っております。
どうぞみなさま、応援をよろしくお願いいたします。