I. はじめに
初めまして。真言宗大覚寺派定泉寺の副住職をしています渡辺隆人(りゅうにん)と、建築設計事務所の(有)ワイズ・アーキテクツ田村裕彦です。
神奈川県横浜市の南部で鎌倉市と接している栄区にある真言宗大覚寺派「定泉寺(じょうせんじ)」の境内に、鎌倉時代末期の「和田合戦」の時より歴史に登場する「田谷山瑜伽洞(たやさんゆがどう)(通称:「田谷の洞窟」)」があります。現在この洞窟の保存と維持管理方法を2年にわたり検証しています。
田谷の洞窟は、鎌倉時代から存在する真言密教の修行道場です。江戸時代に至るまで、内部に美しい仏像や種字(梵字)曼荼羅、花鳥などのレリーフを壁面や天井に施し、「西国(さいごく)三十三所」「坂東(ばんどう)三十三箇所」「秩父三十四箇所」「四国八十八箇所」のわが国の四大霊場の写し霊場を配した、800年の歴史を持つ巨大地下伽藍(がらん)です。文化財的には、これだけ纏まった写し霊場は、我が国の中でも珍しいと考えられるそうです。
近年の環境の変化の為か、洞窟内部の風化速度が速くなり、美しい様々な浮彫レリーフや、数か所あるドーム空間の表面が酸化し、局部的な剥離が発生しています。約800年の長い歴史を持つ遺構が傷ついています。これまでにも安全確保のため何度も手を入れており、数千万円の維持管理費を投入しています。
当洞窟は、横浜市の地域史跡として登録を受けています。現在、拝観者から頂いている拝観料から維持費を捻出しておりますが、維持管理費としては到底間に合わない状況です。しかし、拝観料を頂いている田谷の洞窟は、制度上の支援を受けることが出来ません。昨今のお寺離れの中、小さなお寺のみでこの大規模な人工洞窟を維持し続ける為には非常に困難な状況に陥る可能性が否定できない状況です。
そこで、可能な限り早期に、3Dスキャンを行い、VR(バーチャルリアリティ)データ保存ができれば、その姿形状を後世に継承できるのではないか?と考えています。今回CAMPFIREさんのご協力の元、クラウドファンディングを公開し、多くの方々にこの洞窟の事を知ってもらい、各種の調査・検討費用を含め、VRデータ保存にご協力をいただけることを「強く・深く」希望しております。
すでにテスト3D Scanを実施しています。実際の洞窟内でラフデータを廻すと、色々な可能性を確認できます。下記リンク先から確認してみてください。
サンプル動画 : https://www.youtube.com/watch?v=KjVbYmbQwyg
サンプルデータ: http://www.vreyeplus.com/taya/start-panorama.html
真言宗大覚寺派 定泉寺「田谷山瑜伽洞(たやさんゆがどう) 田谷の洞窟」
所在地 : 神奈川県横浜市栄区田谷町1501
公式HP : http://taya-josenji.jp/
公式FB : https://www.facebook.com/shingonjousenjidoukutsu/
Ⅱ. 由来のある歴史上の人物や事柄
・鎌倉時代
・和田義盛とその三男の朝比奈三郎(弁財天信仰)
・和田合戦
・鶴岡二十五坊
・阿弥陀如来信仰と鶴岡八幡宮寺
III. 「真言宗大覚寺派 定泉寺」 について(室町時代・朝比奈三郎)
室町時代の天文元年(西暦1532年)の開創とされる、真言密教のお寺です。元々は、鎌倉時代(1185頃~1333)初期に幕府侍所別当(長官)和田義盛の三男、朝比奈三郎の館があったと伝わるこの場所に開創されました。
現在は、横浜市栄区に属しますが昭和14年(1939)に横浜市戸塚区に併合されるまで鎌倉郡でした。資料によれば、開創後485年程の歴史を持つ古寺の一つで、由緒と歴史はありますが、横浜市の近郊にある檀家数100を切る小さなお寺です。
IV. 「田谷山瑜伽洞(たやさんゆがどう) 田谷の洞窟」の歴史
横浜市南部にあるまだ田園風景の残る田谷町に田谷山はあります。その小さな山の地下に、この「田谷の洞窟」は約800年の間、修行場として継承されてきました。鎌倉時代以降、鶴岡二十五坊(鶴岡八幡宮寺供僧の住坊)の供僧により、修行窟として拡大された人工洞窟です。
※ 鶴岡二十五坊の供僧とは、神主よりも位が高く、鶴岡八幡宮寺別当(長官)の役についていました。
・建保元年(1213)「和田合戦」…朝比奈三郎が洞窟から敗走
北条義時・源実朝(将軍)の幕府軍に和田義盛とその一族が反乱を起こし、敗れます。この時三男の朝比奈三郎がこの洞窟の奥にある(厄除大師)のさらに奥にある小さな穴から落ちのびて行ったとされています。
※ 朝比奈三郎は、弁財天信仰があり洞窟内に勧請したとされ、生前法縁の厚かった鶴岡二十五坊の僧によって護持されています。
・弘安四年(1281)「元寇(げんこう)の役」…国家鎮護祈祷
いわゆる蒙古襲来の元寇の後、この洞窟で鶴岡八幡宮寺の供僧(ぐそう)による国家鎮護の祈祷が展開されました。
※ 元寇…1度目を「文永の役(ぶんえいのえき・1274年)」、2度目を「弘安の役(こうあんのえき・1281年)」
・元弘三年(1333)「鎌倉幕府滅ぶ」 〈鎌倉時代末期〉
新田義貞の軍に敗れた幕府軍が避難民に紛れ込んでこの洞窟に隠れたとされています。
・天文初年(1532)「古義真言宗田谷山定泉寺」 開山 〈室町時代末期〉
・宝永二年(1705)「霧島高千穂峰御鉢噴火」と「桜島噴火」
・宝永四年(1707)10月4日 「宝永の大地震」
南海トラフ地震とされており、太平洋沿いでは津波が発生して甚大な被害を受けています。
・宝永四年(1707)11月23日 「宝永の大噴火」
放映の大地震から49日後に富士山が大噴火しました。地震とこの噴火による二重の災害を受けることになりました。
洞門が崩壊したため、しばらくの間閉山。
・天保元年(1830)「天保の大工事」
洞窟に湧水する豊富な地下水を田谷地区の灌漑に使用するために洞窟内部の大整備が開始される。
・慶応四年(1868)~ 神仏分離・廃仏(はいぶつ)毀釈(きしゃく)
明治新政府による神仏分離令等の政策により廃仏毀釈運動が高まり、洞窟の破壊を逃れるために閉山されました。これは大正年間まで続きました。
・昭和二年(1927)一般公開 再開
第二次世界大戦中は、薬品・医療器具の保管庫として閉山
戦後、真言宗大覚寺派に移り、再び一般公開され、現在にいたります。
Ⅴ. 「田谷の洞窟」 の構造
まずは、次の3つの図をご覧ださい。想像以上に複雑な洞窟であることがわかると思います。平面形状も複雑に絡み合いながら広がっており、断面構造も3階建てになっています。鎌倉時代から江戸末期までに掛けてこの形が形成されています。鶴岡二十五坊の供僧が、ノミを使い、お経を唱えながら掘り進められた巨大な人口洞窟です。
・全長:約570 m (確認不能な部分を含むと約1kmある)
・地下三層構造 (3階建て)
2階に出入口があり、地面の中で複雑に絡み合い上に下にと掘られています。実は、一体どこから、どの順番に掘り進めたのかは不明です。はっきりとした資料が全く存在していません。
この洞窟の構造を知ると、当時の測量技術や工事技術に驚かされます。地面の中で松明の明かりを灯して掘り進めたはずです。これだけ長い地下で換気はどうしたのだろうか?多くの疑問に出会います。
Ⅵ. 「田谷の洞窟」の様々なレリーフや通路
この洞窟は、800年前からその存在が伝承の中に出てくる人工洞窟で、先達の修行僧によりコツコツと拡張・整備されてきました。
※ 鶴岡二十五坊の供僧がノミで掘り進めたノミ跡が残っていて装飾的な形状も見ることが出来る
洞窟内壁には多数の真言密教の浮彫レリーフが施されています。どのレリーフからどの順番でいつ彫られていったのかは正確には把握されていません。洞内の風化により損傷が激しいものもあります。
※ 入洞すると一番最初に目に入る浮き彫りレリーフの一つです
※ 立入禁止区域に彫られているのですが見ることができます
※ 実物は大変大きいとても綺麗な梵字です
※ 天井高5mを超える最も大きな空間です
※ この他、西国・秩父・坂東など我が国の四大霊場の写し霊場になっています
※ 五大明王の部屋は修行道場です
※ お水大師は真言宗高野山の「奥ノ院」を表し、ここの湧水は灌漑に利用されました
※ 豊富な川の上に緻密な波が描かれた長大な浮彫レリーフです
これらの他に本当にたくさんの浮彫レリーフが点在しています。
VII. なぜ3Dスキャンなのか?
現在、「5つの止まらない」で困っております。当寺のような都市近郊の小さなお寺では非常に厳しい状況が生まれつつあります。
① 「風化・劣化」が止められない
洞窟はシルト層の軟岩層を掘られてできています。地盤工学の予備実験では、一度乾燥すると強度が著しく低下することが解っており、表面から剥落してきます。これは酸化も影響していると考えられます。現在、直接的な原因は正式に特定できていないのですが、この速度がとても早くなっており、止めることができません。
② 「環境変化(ゲリラ豪雨)」と洞窟環境
洞窟内部は地中から染み出てくる地下水のおかげで、軟岩層と空気が適度に湿潤なので、内部のレリーフや土壁形状を維持できています。しかし、近年のゲリラ降雨等の豪雨の後には、特に大量の水が地中から染み出てきて壁面が損傷しています。
※ 気象庁の資料では、1時間降水量が50mm以上降雨の年間発生回数は、この10年間で約20回も増加しています。
③ 「いたずら」が止まりません
ここ数年、時折、報道にもあるように当洞窟ももれずに「いたずら」が止まりません。
④ 「高額補修費」は避けられない
小さな補修でも数百万円かかり、高額な費用が必要です。原因は、複雑で奥まった構造を持つ洞窟の形状にあります。
要因1) クネクネと曲がる・狭く・低い洞窟形状
要因2) 一人分の作業スペースしか確保できない(工事日数がかかる)
要因3) 換気ができないため臭気のない材料・工法が必須
要因4) 工事車両展開スペースから洞窟入口まで人力運搬
要因5) 洞窟内部での資材運搬は、全て人力運搬
要因6) 長距離にわたる仮設電源・照明が必要
要因7) 仮設足場と保護のための養生が複雑
これまでに、当寺では数千円万円にわたる補修費の捻出をしてきました。
⑤ 「社会状況(お寺離れ)」が止められない
文化庁の統計資料では、信者数は横ばいを維持していますが、若年層の信仰離れは増加しています。また、墓仕舞いも増加傾向にあり、総合的なお寺離れが進行しています。定泉寺の檀家数は、現在100を切っている状況です。公的な援助なくこの洞窟の維持管理をするには、非常に厳しい状況になっています。
⑥ 現物保存とデジタル保存(3D Scan VR データ保存)
これまでご説明しました通り、大きく5つの要因が止められません。これはダイレクトに経済的に大きな負担となり、現物保存が本当に厳しい状況です。一般拝観者の安全の観点から、万が一の時は閉山することもやむを得ないと考えております。そこで、
「どうにか、現状の状況を後世に残せないか?」
↓
「デジタル保存(3D Scan VR データ保存)」
と言う事になったわけです。
Ⅷ. このプロジェクトで実現したいこと(長いロードマップ)
このままでは、約800年の歴史ある田谷の洞窟の安全と保護の観点から、近い将来に閉鎖しなければいけない時がやってきてしまうと想定できます。
『だから、出来るだけ早くに「3D Scan VRデータ保存」がしたいのです。』
すでに、テスト3D Scan を実施しています。ラフサンプルデータをクリックしてご覧ください!!
最終的には、「3D Scan VRデータの保存をしたい」と考えていますが、今回のこのプロジェクトはこれだけが目的ではありません。
本プロジェクトはphase1・2・3の三段階に分けて、行動しています。現在は「Phase2(具体的な事前調査・検証)」の段階に入っています。この調査を踏まえて、「田谷の洞窟の価値を再検証」を行い、その価値を改めて見極めたうえで、「3D Scan VRデータの精度・方針」を検討する必要があります。精度と方針の内容によっては実務的に大きな幅が生じ、これによっては最終的な費用にも大きな幅が生じてきます。
そこで、基礎的な価値をきちんと把握したうえで「3D Scan VR データの作成」を実施する必要があります。
① Phase 1 (専門家を捜し、調査・協力の交渉をする) <ほぼ完了>
既に2年前から動いているPhaseです。この洞窟に関する書籍(吉田孝(1977)「現代の名刹シリーズ1 鎌倉の地底伽藍:田谷の洞窟」宗教工芸社)と実際の洞窟のありのままの姿を確認すると、この洞窟は多方面の専門家のご意見を集めないとその価値を理解できないと考えました。しかし、「どの分野のどの専門家に相談を行い、どのように検証できるのか?」と言う事の調査から始め、コンタクトを取り、協力の交渉を一人一人地道に進めることから始めました。現在概ね協力いただける専門家の方々に巡り合えています。
吉田孝(1977)「現代の名刹シリーズ1 鎌倉の地底伽藍:田谷の洞窟」宗教工芸社(在庫があればamazonで購入可能です)
② Phase 2(具体的な事前調査・検証から3D実施前の根拠作り)<今回のアクション>
多方面の専門家のご協力とご意見を具体的にまとめて、田谷の洞窟の価値を再検証し、3D Scanの精度と活用方法などの方針を決定していく段階です。
既に、文化財・宗教学(真言宗)・地盤工学・IT技術の専門家の方々のご意見・ご協力をいただいています。具体的な事前調査を始めている段階に来た、今回のアクションとなります。
今回のクラウヅファンディングでは、「3つの精査」を行い、田谷の洞窟の価値の再検証をします。
【3つの精査】
i. 「登録内容の詳細精査」
横浜市登録地域史跡の登録内容の詳細な把握と今後の維持管理の相談窓口としての継続相談を進めます。
ii. 「文化財の詳細精査」
現状の文化財的な位置づけや特徴の再検証を進めます。
iii. 「工学的詳細精査」
複雑な構造の洞窟に対して、新たに工学的な検証を行い、「当時の工事方法や使用された道具」を明らかにできればと考えています。
この「3つの精査」を経て、「田谷の洞窟の価値の再検証」を行います。ここまでが今回ご協力を仰いでいます資金での活動です。しかし、ある程度の検証に目途がつき次第、「3D Scan VR作成の精度と方針の決定」を行います。
【3つの精査】→【価値の再検証】→【精度・方針の決定】※概算含
その先の展開も同時に考えます(未来への課題)
3DスキャンVRデータ保存後、いくつか課題があります。それは、このデータを「後世の役に立つもの」として残す事です。そのために二つの軸で、データの資質を検証します。
A) 社会の役に立つこと
・ 歴史資料としての一定の価値を持つこと
・ 誰もが利用できること(移動・身体の不自由な方、外国人を含む)
・ 田谷の洞窟及び定泉寺に留まらず、周辺地域への貢献ができること(地域・広域住民にも役に立つように工夫すること)
B) 持続可能であること。
・ データの管理方法
・ IT技術の進歩との同期方法
・ アップデートの仕組み
現在、3D関連のIT専門家の協力を受けながらIT技術の情報収集と展開の可能性を検証しています。
③ Phase 3 (3D Scan VR 作成 と その後の展開の検討)
いよいよ「3D Scan VR 作成」段階になります。このプロジェクトの最終的な目的ですが、同時に「洞窟の現況の維持保存方法の検討」も進めていきたいと考えています。
さらに、このデータのその後の展開も同時に検討します。これらの問題は、田谷の洞窟と定泉寺を取り巻く周辺社会との融合と共生が必須だと言う基本理念に基づいています。
その一つの具体的な案として、アプリへの展開をイメージしています。
A) 3D Scan VR 作成
B) 現況洞窟の維持保存方法の検討
C) 地域共生と地域振興への足掛かりにしたい。[例)アプリへの展開イメージ]
現段階では、アプリへの展開をイメージし、対応エリアのスケール感を検討しているところですが、これらにこだわらず、多様な展開を検討していきます。
Ⅸ. これまでの活動
既に2年前から動き出しています。きっかけは隣地で発生した小さな浅所陥没です。調査の結果、地下水の影響で洞窟の立入禁止区域内で小さな崩落が発生した事が原因でした。この時、ごく小さな是正工事に500万円以上の費用が掛かった事がきっかけで、洞窟の安全・維持管理と保存方法を根本的に考え直し、デジタルデータ保存の可能性を探ることになりました。
① 浅所陥没の是正工事
適正な工法を調査した結果、JHが高速道路建設のために確立している施工基準に準じた是正工事を実施しました。浮彫レリーフのある内壁を後世に残すためには非常に専門的かつ特殊な工事が必要不可欠となり、非常に高額な工事が必要となることが判明しました。
② 測量
過去に洞窟の詳細な測量が行われているのですが、この研究成果(紙媒体)は既に紛失されており、現在定量的に把握できていなかったため、全体形状を把握するための測量を実施しました。現在測量図としてCad化されています。同時に田谷山の標高の測量を行い、洞窟の上の「土被り厚さ」の把握もしました。
③ テストスキャンの実施
専門業者3D Surveyplusさんのご協力を頂き、既にテストスキャンを実施し、ラフなVRを制作しました。
現在、ラフデータをご確認いただけます。下記をクリックしてご覧ください。
④ 横浜市への相談
市登録地域史跡の登録の経緯の詳細の確認問合せ、今後の補修・維持管理の方法や専門家・専門業者のルート探し、経済的支援の協力を相談しましたが、当洞窟の登録レベルでは支援を得られないことが判明しました。
⑤ 専門家への相談
既に多方面の専門家の方々に視察していただき、ご助言・ご意見を伺っております。継続してご協力を頂いている専門家もいます。
【文化財関連】
横浜市教育委員会文化財課 (制度上の協議窓口)
(独)国立文化財機構 東京文化財研究所(専門家のご紹介)
鶴見大学 文化財学科 (文化財のご助言)
【工学関連】
埼玉大学 (地盤工学)
東京大学 (空間情報科学)
【3D関連】
3D Surveyplus LLC (テストVR制作・IT技術協力)
【宗教関連】
高野山大学 名誉教授 (真言宗関連のご意見)
【行政関連】
横浜市栄区(地域共生と振興に関するご助言)
その他、土木工学(トンネル)の研究者を探しています。
Ⅹ. 資金の使い道と(仮)工程表
① 総費用(概算)2000万円を今後集めます
現在、概算見積りで2000万円という金額が試算されています。クラウドファンディングの他にも資金調達の活動が必要です。しかし、「3D Scan VRデータの精度・方針」の内容によってはこの金額も大きく見直すことになります。
今回のクラウドファンディング資金を基に、価値の再検証を行い、その後に最終的なVR製作費を明確にした上で、寄付や各種財団等の助成の交渉・お願い・検討を同時に進めます。
しかし、公的な協力を得ることのできない当洞窟では、資金調達に想定している工程以上の時間がかかる場合もあると考えざるを得ません。現段階では、まず愚直でも目標達成のための、客観的な検証を進める必要があります。
② (仮)工程表
このプロジェクトは、Phase1から始まりPhase3に至るまでに少し時間がかかります。この洞窟の価値の再検証を終えるまでに、多方面の専門家・研究者のご協力を頂き約1年半~2年かかると想定しています。調査等の進捗の状況にもよりますが、その後、「3D Scan VRデータの精度・方針」の決定に進めます。詳細な仮の工程表をご確認ください。とても長いプロジェクトとして現在進行中です。2020年にはVRを公開したいと考えています。
③ 今回の資金の使い道
今回、皆様のご協力を仰いでいる資金は、最長2年を想定するPhase2段階のStep2、「田谷の洞窟の価値再検証」の諸経費の一部に充てたいと考えています。
【田谷の洞窟の価値再検証】費用
・ 内部レリーフ調査資料作成費
・ 各地の類似文化財の比較調査費
・ 多分野研究・調査のまとめ資料作成費
・ 多分野調整会議の主催費
・ 旅費交通費、消耗品費
合計120万円(見込み)
複数の専門家のスケジュール上、「田谷の洞窟の価値再検証」に想定以上の時間が必要となる場合もあります。(何しろ、800年間の時間を取り戻す作業となるので、想定外の出来事が起こることも考えなくてはいけません)
その後、「3D Scan VRデータの精度・方針」の検討・決定に進みます。もちろん合理的に並行して進めていきたいと考えています。
Ⅺ. リターンについて
ご賛同とご協力を頂けます方々には、とても長いプロジェクトに参加していただくことになります。以下のようなお礼を予定しております。リターンの時期は今夏以降になりますことをご了承ください。
① 全てのご協力者様(ご了解ある方のみ)は、御奉納者として定泉寺HPに公表
全てのご協力者様でご了解のある方は、御奉納者として、当寺ホームページに「お名前とお住まいの県・市町村名」を公表させていただきます。
・御奉納者リスト(定泉寺ホームページに公開)
・お礼メール(公開の可否を確認)
② ご協力者様へ情報共有(ご協力金額5000円以上)
大変勝手ながら、5000円以上のご協力者様には、進捗がありましたら、メールにて迅速にご報告をさせていただきます。とても長いプロジェクトですのでが、VR公表までご報告を続けさせていただく所存です。
・進捗報告メール(適宜)
・季節の挨拶状(2回/年)
③ ご協力金額別の品物のお礼(ご協力金額1万円以上)
ご協力金額別に当寺よりお礼の品物をご送付します。発送時期は、平成29年8月末を予定しております。金額別の品物のリターンの詳細は以下の表をご確認ください。
【10000円以上】
・Goods(A) お灯明団扇
【15000円以上】
・Goods(B) 絵葉書(8枚組)
【100,000円以上】
・Goods(C) ストラップ
・Goods(D) 経文香
・拝観券 1回無料
・御奉納名看板
【500,000円以上】
Goods(E) 本 [500,000円以上]
Goods(F) 心経扇 [500,000円以上]
④ 御奉納名看板(ご協力金額10万円以上)
高額ご協力者様は、本洞窟の入り口に「御奉納名看板」を設置し、お名前をご公表させていただきます。看板の設置時期は、VR公表直前になります。個人以外でのご協力者様で、会社・団体でのご協力者様は、会社名若しくは団体名でのご公表となります。現在、詳細な設計中です。全貌が決まりましたら、改めてデザインを公開します。
⑤ お断り(必ずお読みください)
由緒ある洞窟への御奉納となる、とても長いこのプロジェクトの性質上、以下のことをご理解いただきますようお願いいたします。
1. 全てのご協力者様への品物のリターン時期は今夏以降になります。
2. ご了解のある方のみホームページに「お名前とお住まいの県・市」をご公表させていただきますが、大変恐縮ではありますが、ニックネーム等、当寺でふさわしくないと判断したお名前の公表は差し控える場合があります。
Ⅻ. 最後に
ここまでの長い文面におつきあい下さり、誠にありがとうございます。800年の歴史を後世へ伝えるためには、とても慎重で強い責任感の上にこのプロジェクトを立ち上げております。最終的には非常に高額の資金が必要です。現在資金調達の初期段階ですので、現段階では達成の確約のお約束ができない状況にあると、正直に申し上げなければなりません。これは現在の私どもの不徳であります。
しかし、既にご協力いただいている全ての方々の心強く高度に専門的なご助言から、ある一定の成果と進展を得る事が出来ていると考えております。目標に到達できると自信をもって、誠実に進めております。その結果が、ここまで辿り着いているという大きな成果とご理解いただければと思うところです。
是非、皆様の心温まるご協力を頂けますよう、強く、深く心よりお願い申し上げます。
平成29年2月吉日
真言宗大覚寺派 定泉寺 渡辺隆人
(有)ワイズ・アーキテクツ 田村裕彦
最新の活動報告
もっと見る6/18 イタリアとの国際共同研究のオファー
2017/06/19 10:28トルコのイスタンブール工科大学の美術の先生の仲介でイタリアのミラノにある国立研究会議(Cnr)という機関との国際共同研究の提案を頂きました。来日中のイスタンブール工科大の先生とそのお知り合いの方々をご案内し、保存実行委員会の地盤工学の先生と国際共同研究の検討を始める事になりました。国際的に広がる可能性が出てきました。(写真左:当委員会地盤工学の埼玉大学の先生、左:イスタンブール工科大学の美術の先生) ミラノ国立研究会議 もっと見る
6/7 株式会社RICOH様の撮影
2017/06/19 10:21今後のIT技術の展開を見据え、保存活動後の展開に使いやすい技術を模索中です。RICOHのTHETAと言う360°パノラマカメラの技術開発者の方に洞窟の試験撮影をしてもらいました。使い方や様々な設定方法、アプリでの修正・合成方法等、アドバイスいただき、多方面との連携の可能性を検討しました。コストパフォーマンスもよい興味深いカメラです。 RICOH THETA もっと見る
5/30 田谷の洞窟保存実行委員会
2017/06/19 10:18初めて全員そろっての会合を実施しました。今後の調査方針、活動内容の確認等を議論し、洞内環境モニタリングセンサーの付け替えを行いました。いよいよ具体的に調査が始まります。 もっと見る
コメント
もっと見る