11月24日に、「終わりにする、一人と一人が丘」の公演全6ステージが無事閉幕いたしました。
・2018年3〜4月の戯曲執筆@城崎国際アートセンター
・2018年5月のリーディング上演@名古屋、静岡
・2018年10月のワークショップオーディション@東京→出演者決定!
・2019年3月のリーディング上演(「鳥公園のアタマの中展」2)@東京芸術劇場アトリエイースト
・2019年9月の稽古第1期@東京
・2019年10月の稽古第2期@城崎国際アートセンター
・2019年10月〜11月の稽古第3期@東京
という長いプロセスを経て完成した作品でした。
鳥島明さん以外は鳥公園初出演のキャストさんばかりで、しかもみなさんこれまで携わってきた表現の方向性が非常に多様なメンバーでもあり、果たしてこの6人で一つのチームになっていけるのか?というのは、大きなチャレンジでもありました。
「劇団」として固定のメンバーで、同じ方法論を共有しながら長い時間を積み重ねてきている、というわけではない人々の集まりで、一体なにをやれるのか? 「異なり」を塗りつぶさないまま、それでもみんなで一つの世界を立ち上げることは可能か?
クリエイションの期間中、くり返し言っていたのは〈あいだ〉を大事にして欲しい、ということでした。この言葉を得たのは、2018年春の城崎滞在中に読んだ精神科医の木村敏さんの『あいだ』という本からです。鳥公園でずっと考えて実践してきたことがここに書かれている!と思いました。
出演者一人ひとりの演技のスタイルが違っても、〈あいだ〉の回路を構築できればやり取りできます。そしてそういう複数の人間の集まり方に、希望があると思っています。これは「演劇」ということの範囲だけでなく、あらゆる現実の状況においても。
〈あいだ〉は一瞬一瞬うつりかわってしまうので、例えば演出家に「こうしてください」と外から形で具体的に指定されて、そこにはまっていく方が楽だという人もいます。でもそれは、私にとっては何の意味もありません。
全てが上手くいったわけではないけれど、それでも〈あいだ〉を大切にすることを手離さないで進んできて、納得のいく作品ができました。個人的には、他者への委ね方について、確かな感触を得られた機会にもなりました。
作・演出を兼ねていた状態から、演出を他の人に委ねるという風に、具体的なカタチは変わりますが、新体制でも信じているところは変わらずに、〈あいだ〉を大切にやっていきたいと思います。
photo: 松本和幸