グリップフラップの現在に至るまでのすったもんだを、大人の事情上、一部フィクションを交えて小説風に綴ってまいります。なるべくこまめにアップしようと、努力はしていきます…。お便り、拡散は大歓迎でございます!<第1回>クラウドファンディング 私は焦っていた。構想から数えるなら8年半、集中的な労力と費用の投下を始めてからでも、もう3年半は注力しているアイテムが、世に問う土俵に上がる事すらままならない瀬戸際に立たされたのだ。そのアイテムの名前は、随分前から「グリップフラップ」にすると決めていた。 私は日常に溢れる些細なストレスを捉まえ、それを解消させるちょっとした発明を行い特許化する事で、ライセンス収入を得るというビジネスモデルを実践する小さな会社を営んでいた。その第1弾のライセンス商品である中食専用の「傾かない」レジ袋が、おおよそ7年の時間をかけてようやく目鼻がついてきた為、次なるアイテムとして羽化に注力してきたのが、新型のトイレットペーパーホルダー、「グリップフラップ」である。 私の思いがうぬぼれなのかは、これからの歴史が答えていくのだが、何しろ私は傲慢なまでの自信を持っていた。このアイテムに世の人は皆、「こんなホルダーを待っていた」「よくぞ作ってくれた」「もう元には戻れない」と言ってくれるはずだ。もちろん値段によるけれど、例えば贈答品としてタダでもらえるとしたなら、十人が十人、受け取ってくれるアイテムになったと考えていたのだ。 その値段に関して、私が当初狙っていた価格帯からは少々高くなってしまったが、それも致し方なかった。このアイテムを商品化するに当たっては、多額の金型投資が必要であったからだ。生産委託先の社長からは「この額の金型を起こすなら、本来少なくとも1万台以上は作らなくっちゃあならないでしょうに」と言われていた。もちろん1万台は「夢」としては持ちたい目標ではあるが、現実問題としてまだまだ発展途上のクラウドファンディングでは、リターン5千台を超えるプロジェクトは、ほんの数えるほどしか歴在しない。 私は高い目標と理解しつつ、プロジェクトの損益分岐点を5000台で設定し、逆算する形で支援額…言い換えると商品価格を、4500円に設定したのだった。確かにトイレットペーパーホルダーとして、4500円はお世辞にも安いとは言えない。しかし日本の約5,000万世帯の中で、ほんの一握りのイノベーター層の方だけでも動いてもらえれば、5000台は決して不可能な数字では無いと考えていた。 なので私が考えていた課題は「どう5000台に到達させるか」であり、「どうやってクラウドファンディングにプロジェクトを掲載してもらうか」は、所定の申請を進めていれば通過する、単なる手続きの問題と捉えていた。だが現実は違ったのだ。<続く>



