本日も『わたしの、領分』稽古でした。
主人公・萩野と、その夫のやり取りを中心に。
子どもを巡って夫婦の意見がすれ違うシーン。
子どもについて考える。
男は「子どもを欲しい」と願い、
女は「子どもを産みたい」と願う。
「女には子宮がある。これだけは譲れない。だから生き残るのは、最期は女なの。」
(月喰マスカレイド)
男性は子どもを産めないから。
女性に、いのちの望みを託す。
出産は体験だ。
子どもが欲しい、は体験じゃない。
だから男はどうしても、産まれてくる前のいのちに対して、女性よりも距離がある。
きっと男はいざという時。
母体を第一に考えてしまう。
これから産まれてくる子どもと、自分の妻のいのちを天秤にかけなくちゃいけなくなったら。僕は妻を選ぶ。この決断は非情なんだろうか。
もし僕が女だったら。自分と、おなかのなか。どちらを取るだろう。わからない、どこまでいっても想像の先に真実はない、だけど答えは決まっているように思える。
家族って何だろう。
ふたりが一緒になって家族になる。
子どもがやってきて家族が増える。
先日、7月公演『私を知らないで』の戯曲を書き終えても考えた。
「家族とは親が子に与えるものじゃない。親子で築き合ってできるものだ」
(私を知らないで)
血の繋がりだけが家族じゃない。
ふたり揃ってなくてもいい。僕は片親だけど、不完全な家族だと思ったことは一度もない。
いのちの営みを続けるために。
誰かと手を取り合って次につなげるために。
僕たちは、いまここにいる。
『わたしの、領分』は。
受け継がれるいのちの物語でもあります。
わからないこと。答えの出ないこと。
簡単に言いきれないこと。
役者さんたちとともに。
じっと、向き合ってみたい。