「自分のまま」でも名字を変えても結婚できる選択的夫婦別姓を一緒に実現しませんか? を支援してくださった皆様
ジュネーブの活動報告第2弾です!
皆様のおかげで無事ジュネーブにて陳情活動を実施することができました。
10月11日〜13日はアジアのNGOを集めたアドボカシー研修に2名が参加、14日、16日の発言枠の調整をして、公式日程で委員への直接陳情が可能となりました。
さあいよいよ、14日の Informal public meeting 。今回参加した各団体が数分&数秒ずつ割り当てられた時間でプレゼンし、委員からの質問を受ける場です。この日は私達の発言枠はなく、選択的夫婦別姓について日弁連の鈴木弁護士にプレゼンを託しました。しっかりと夫婦の名字の問題について触れてくださいましたが、その後、右派団体も選択的夫婦別姓に反対のプレゼンを行いました。この日の動画はしばらく以下から見られますのでぜひご覧下さい。
▼国連WebTV Informal public meeting
早めに会場入りし、グローバルチームは手分けして委員一人一人に声をかけました。どの方が日本審査担当委員なのか、その委員が何条のご担当なのか(各国の審査の中でも、メインの1〜16条ある国際条約の条文によって担当委員が分かれます)この時点でははっきりわかりません。そのためメンバーは、全ての委員のお名前やバックグラウンドを記した資料を事前に準備。できるだけ暗記してこの日に備えました。
その事前準備もあって、今回参加したすべての委員に事情説明、資料の手渡しをすることができました。世界各地の在住国から集まったメンバーはいずれも英語が堪能です。国際弁護士、国際人権法の専門家のほか、フランス語や中国ができるメンバーもいたので、言葉の障壁なく日本の窮状を訴えられたのは幸いでした。
16日も同じようにPrivate Lunchtime Briefingがありました。
これも公式行事で、14日で発言した団体以外がプレゼンし、日本審査委員からの質問にNGO代表が答える場です。あすにはグローバルチームはここで理事で国際人権法の研究者・波多野綾子が選択的夫婦別姓の法制化がなぜ必要なのか、ど熱いプレゼンテーションを実施。日本の皆様にプレゼンを見ていただけないのは残念でしたが、プレゼンだけでなく、委員への直接陳情も、委員へのランチ手配も、グローバルチームそれぞれができることをとにかくやり切りました。
お声がけした委員からは、
- ・わかる、わかる深刻な問題。アイデンディンティの問題よね。
- ・(メンバーの事実婚、離婚に理解を示し)あなたはだからここへ来たのね、勇気を持ってきたことを称賛するわ。
- ・(委員自身の)娘が結婚で名字を改姓せざるを得なかった。この問題は身近よ。
- ・もう3回も勧告してフォローアップもしているのに、なぜ日本国内で受け止められないのか。
など、共感と理解の言葉しか返ってきません(涙)。この2回の会議では各条文を担当する委員からNGOへも、日本の現状に対してたくさんの質問が寄せられます。例えば「女性が金融で不利に立たされることはある?」「新しいジェンダー平等担当大臣が生まれたと聞くけど(三原じゅん子大臣のこと)、ジェンダー平等に取り組むみんなはどう評価してる?」「婚外子差別は今もある?」「高等教育で女性が不利な状況に立たされることは?」「ジェンダー平等の政府方針(第5次男女共同参画基本計画)についてどう評価している?」などです。まるで早押しクイズのようでしたが、その場でメンバーが積極的に手を挙げ、選択的夫婦別姓に関係すること、また直接関係しなくても応えられることはすべて、回答しました。
会議後は毎回、すぐさま回答案を作成し、出典をつけて補足資料をバンバン提出。日本の実情について一番知っているのは私ですが、社会学も含め幅広い知識を端的にまとめる能力が必要です。弁護士と国際人権法の専門家であるメンバーを中心に喧々諤々議論して、弁護士と国際人権法の専門家がビシッと端的な内容に仕上げてくれました。
迎えた17日の日本審査、国際弁護士の2人は仕事のため帰路につき、みなヘトヘトの「やりきった感」で迎えました。大きな会場で、今度はNGOではなく、34名という大所帯でやって来た日本政府代表団が、CEDAW委員からの質問に答える場です。
約5時間の対話では、日本のあらゆる女性差別の問題を委員から日本政府に質問します。1条から順に審査が始まります。聴いているうちに私たちが出した追加資料の問題点や数字が次々と出てくるので、真剣に受け止めてくれたことがわかりました。日本のジェンダー不平等は非常に根深く、幅広く、それに対して政府代表団があらかじめ用意した応えを繰り返すのみで、誠実に対応していない様子が手に取るようにわかりました。動画でぜひご覧下さい。
▼国連WebTV
前半:https://webtv.un.org/en/asset/k11/k1134kvabm
後半:https://webtv.un.org/en/asset/k1n/k1nb3bus4d
最後の最後、16条審査でキューバのMs. Yamila González Ferrer委員が「民法750条は表向きには夫婦のどちらかの姓にすることになってるけど、事実は94.7%が女性が改姓しているのは社会的圧力。女性のアイデンティティ、職業、雇用などで大きな負の影響が出ている。第5次男女共同参画基本計画による調査では、ジェンダー視点が入っていなかったのではないか。家族法を改正して夫婦別姓を可能にする予定はないのか」と質問してくれました。
日本政府代表団は「選択的別氏制度の導入は世論調査を見ても国民の意見がわかれている。社会全体における家族のあり方に深く関係することから幅広い理解が必要。サイトなどを通じて国民への情報提供を通じて国会の議論が深まるように取り組んでいる」と、いつもの政府答弁で逃げようとしましたが、重ねて委員から「具体的に応えて」と再質問。
政府は「改姓により不便さ不利益を感じる女性がいることについて、政府として旧姓使用拡大に取り組んできた。マイナカードや、パスポート、不動産登記は旧姓併記ができる。内閣府のHP免許などにおける資格で旧姓が使えるものを公表するなど周知を図っている」と、またも定型回答で終わりました。
私たちが審査終了後、すぐに旧姓通称使用の限界に関する追加資料を提出したのは言うまでもありません。
しかし私たちの働きかけに加え、日本政府の不誠実な対応が、4度目の強い勧告につながることが濃厚です。というのも、すぐに出された国連広報部のまとめ速報には、タイトルにも「夫婦同姓問題」が入り、本文3箇所にも名字の問題が触れられていました。
さあ、どんな勧告が出るか。次回活動報告をお楽しみに!
11/9(土)にジュネーブ報告会@表参道、11/20(水)佐藤倫子弁護士とのトークイベント「スナックみちこ」でもスイスでの出来事を詳しくをお話します。オンライン参加も可能です!ぜひご参加ください。