私たちには、80歳になる母がいます。今はまだ判断力はあると思いますが、最近、認知症の症状が少し出始めているように感じています。母は一人暮らしで、私たちも近くに住んでいませんので心配ですから、施設に入所することになりました。しかし、施設暮らしで母の認知症が進むかもしれません。母の判断力がなくなると実家の売却の契約書に、母ではサインできないと思います。どうすればいいでしょうか?
認知症になると・・・名義人のお母さんは判断力がないので、売買の契約ができなくなります。
成年後見人を就けると・・・成年後見人が、本人(母)の自宅を処分する場合、家庭裁判所の許可が必要です。しかし、この許可は、「自宅を売却しなければいけない理由」がないとできません。例えば、施設費用に充てるため資金が必要、空き家の老朽化がひどい場合などです。単に「誰も住んでいないのだから、若い家族などに売ろう(貸そう)。」などの理由では、売却が難しいといえます。このように、お母さんの判断力がなくなると、実家が空き家になっても処分は難しいといえます。
家族信託なら・・・お母さんが認知症になる前に、家族信託をしておけば、そのような心配は不要です。実家の売却手続きは、実家を託された娘さんが行います。お母さんの判断力がなくても問題ありません。売却したお金は、お母さんの収入になりますが、このお金も娘さんが管理します。お金の出し入れも娘さんがすることになるので、お母さんの判断力がなくても出し入れに困ることがありません。このように、事前に家族信託を設定しておくことにより、お母さんの判断力の低下に対処することが可能になります。※ただし、お母さんが判断力のあるうちに信託契約をしておく必要があります。