映画『かさぶた』 【役者紹介】
今日紹介するのは、鮎川桃果さん。
(ツイッター https://twitter.com/ayukawaaji )。
紹介者は脚本&助監督の高村狐堂。
(ツイッター:https://twitter.com/kodo0918 )です。
イトーカンパニー所属の新進気鋭の女優さんで、私としては、小説1本書けるくらい思いいれがあるのですが……大前提として抜群の演技力と、立っているだけで場の空気を変えるオーラ力。生まれ持った天性の人を惹きつける力は誰もが認めるところだと思います。
鮎川桃果さんはオーディションの時から際立った存在でした。一番の見せ場である泣きのシーンをオーディション時には演技して貰いましたが、彼女は本当に涙を流してくれました。
片山拓監督・渡邉幸朔助監督・私高村狐堂の3人が審査にあたりましたが、鮎川桃果さんの演技がはじまった途端、彼女のうしろに隅田川が見えました。#映画かさぶた の大事なポイントである大きなスカイツリーと、夜の孤独な河原が見えました。彼女の演技は、世界を作り変え、物語をより深く生み出すのです。
しかも、そのシーンでは、頭をタオルでぐしゃぐしゃとかきまわす演技がありました。タオルの代わりに私のマフラーをお渡ししたのですが、鮎川桃果さんは容赦なくマフラーをタオル代わりにして涙をふき、頭をぐしゃぐしゃにして、主人公の葛藤を全力で描き出してくださったのです。
そうなんですよ!それでいいんですよ!
オーディションは四日間ありましたが、ぐしゃぐしゃにしてくださった鮎川桃果さんには感謝しかありません。大事なのは小道具ではなく、演技。そして演技をみる観客だということをしっかり自覚なさっている女優さんでした。
今回はキャラクター性の都合で、鮎川桃果さんを主演に据えることはできませんでした。ただ、オーディションで大事なのは、役を射止めることだけではありません。審査員の心に爪痕を残し、次の時に呼ばれるかどうか。その意味でも、鮎川さんは一歩とびぬけていました。
映画『かさぶた』では、鮎川桃果さんに、主演イマハシミハルさんの心を一番に変化させる重要な役柄を演じて頂きます。イマハシさんの稀有な才能と、鮎川さんのオーラがどんな化学反応を見せるのか。今から楽しみでなりません。
そんな鮎川さんの出演する映画『かさぶた』。脚本の一部を以下に掲載いたします。(ここでは一部公開し、パトロンの皆様には全体公開を致します)。ネタバレになりますので、苦手な方はここから下はご覧にならないでください。
スタッフ一同、この脚本を鮎川桃果さんがどう演じるのか、ワクワクが止まりません。
執筆:高村狐堂(@kodo0918)
****************映画『かさぶた』 脚本の一部公開***************
(前略)
リリコ「ってかこのライターかっけぇじゃん。なんかもらいもん?」
七海「彼の……バンドのライターです。よかったらあげますよ。もう元彼になるかもだし」
リリコ「へぇー、彼氏バンドマンなんだ。え、かっけぇ? えっ、てか元彼? 別れんの?」
七海、ちょっとためて、しっかり考えて、溢れるように。
七海「……かっけぇでした。ほんと好きでした」
リリコ「へぇー、いいじゃん。誰似?」
七海、言いながら自分自身にも確認しているように。
七海「いや、本当に好きだったんですよ。ライブの時とかめっちゃくちゃかっこいいし、でも可愛いとこもあって、ずっとこの先も一緒で、なんていうかもう当たり前に好きだったし、でも当たり前に好きってなんかなんなんだろろうって、なんか大事にされてないし、いやもちろん私も悪いっていうか」
リリコ、突然の言葉に引いていたが、タバコくわえながらも、慈愛を込めて見守り、微笑む。
そんなリリコに気づき、喋りを止める七海。
リリコ、雑に缶珈琲を飲み干し、タバコを缶に淹れて。
リリコ「いいじゃん、なんかもうそのまま言いなよ。彼氏と喧嘩なって出てきたんでしょ? 今言ったみたいにさぁ、『あたしはこんなに考えて泣きまくって目真っ黒にしてたら変な女に絡まれたんだ。全部お前が悪い! 土下座しろー』って」
二人、少し間があり、微笑む。
(後略)
***********映画『かさぶた』 脚本の一部公開 ここまで***********
鮎川さんのシーン、台詞はもうすこし続きます。
作品をみた誰もが、すべての役者が気になって仕方なくなる映画。それが映画『かさぶた』です。
公開までスタッフ一同、誠心誠意頑張ります。皆様の温かいご支援、心よりお待ちしております。