*はじめに
2020年11月18日から、カンボジアで起きた洪水被害への支援のためのクラウドファンディングを開始しました。新しくプロジェクトを設立するに伴って、オーナー名が”小川”からアジア事業マネージャーの”江角”に変わっております。
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コロナの影響によって2020年3月から、コンゴ民主共和国で洋裁技術を習得した女性たちは仕事を中断せざるを得ない状況に陥りました。彼女たちは、2017年にこの地域で発生した紛争で、夫や子どもを亡くしたり、家を失って避難を余儀なくされたりと紛争の被害を受けた女性たちです。
2020年に入って、習得した洋裁技術を使って生活を再建しようとしていた矢先のコロナ危機でした。そこで、日本の皆様からのご支援で、彼女たち(30名)にマスク作りの仕事を提供し、その間の暮らしを支えてきました。そして完成したマスクは、高齢者や最貧困層の方々に感染予防のために配布してきました。
先月は学校再開に伴い、6つの小学校で彼女たちが作ったマスクを子ども達に届けることができました。それに合わせて、手洗いやマスクの使用方法などの啓発ポスターを配布し、先生たちにそれらについての研修を行いました。
↑再開した学校でマスクと啓発ポスターを受け取った子どもたち
マスクを作った女性たちも、自分たちの仕事が、子どもたちの感染予防につながっていることに誇りと喜びを感じてくれています。まだ感染拡大が収束したわけではありませんが、女性たちが自立して生活できるように、また子どもたちが子どもらしい暮らしができるように、コロナ禍でも支援を続けていきたいと思っています。
ようやく学校が再開されましたが、まだまだマスクを持っていない子どもたちが多数います。全ての子どもたちが安全に学校に戻れるように、引き続きマスクの配布を続けていきたいと思いますのでご協力をお願いできればと思います。
また、コロナ禍で開業支援が遅れていた紛争被害女性たち(30名)は、洋裁店舗をなんとか開業することができました。6名が1グループになり、それぞれの居住地や市場の近くに6ヶ所の簡易洋裁店舗を設置しました。
↑簡易の洋裁店舗を建設している様子
コロナ禍の苦しい時期を乗り越えて、ようやく収入を得ることができるようになり、彼女たちの生活再建が始まりました。
一方、現地では紛争、コロナ禍の影響は続いている上、子どもたちはマラリアや下痢などの既存の感染症や予防・治療可能な病気など様々なリスクに直面しています。コンゴでは、コロナで350名が死亡している一方で、同じ期間にマラリアだけで、推定3万人(毎日、平均120名以上)が死亡しています。
こうした状況を踏まえて、確実にコロナ禍での生活を守るために、開業した洋裁ビジネスに加えて、彼女たちにもマスク作りの仕事を提供し始めています。
↑開業した洋裁店でマスクを作る女性
まずは5000枚作成し、それをテラルネが買取、支援物資として貧困層の方々や学校に通い始めた子どもたちに引き続き配布していきます。洋裁店を開業した彼女たちは、テラルネからのマスク買取だけに依存せずに、自分たちでマスクを販売するなどの努力も始めています。
もともと彼女たちは、紛争で夫や子どもを亡くし、支援を開始した当初は一日一食も食べることもできない状況でした。そんな経験をしてきた彼女たちにとって、誤解を恐れずに言うなら、コロナなんて「大したリスクや困難ではない」と言わんばかりに、前向きに洋裁ビジネスに励んでいるのです。
「コンゴでもさらに感染が拡大し、再び、ビジネスができなくなるかもしれない」という不安を現地スタッフが漏らした時、彼女たちは、「そんな先のことを考えていても仕方ない。今できることをやるしかない。今、仕事があること自体最高のことでしょ。とにかくやれることをやれる時にやる!そうしていれば、あとは神様が助けてくれる。」と話していたそうです。
相変わらず、コンゴの人たちのたくましさと、困難に対する向き合い方には感心してしまいます。リスクや困難と共存しながら生きてきた彼女たちの生き方は、コロナ禍に生きる私たち日本人が学ぶべき点が多くあるようにも思います。
(報告 小川真吾)