支援してくださっている皆様 ページをご覧いただいた皆様
こんばんは。
国際交流シェアハウスやどかりの中野です。今日はやどかりを運営するNPO法人Oneselfの理念について少しお話させていただきます。
NPO×シェアハウスという珍しいタイプのシェアハウスですが、もうすでにお伝えしてある通り住宅をなかなか借りられない留学生や技能実習生をサポートするために始めました。
屋号は「国際交流」とありますが私たちの理念は「多文化共生」。漢字の通り「共に生きる」ことがどういうことなのか。どうすれば「共に生きる」まちづくりができるのか。
それを活動の中心において7年間続けています。
私たちの住む神戸は1995年1月阪神大震災により多くの尊い命が奪われました。その時に外国人などの「情報弱者」の問題が浮き彫りになりました。
テレビもラジオも避難所もすべて「日本語」。神戸にはたくさんの外国人が住んでいるにも関わらず私たちは非常時を目の前にして多様な人たちへの支援まで手が届きませんでした。
「二度とあんなことを繰り返してはいけない」そう思いOneselfを設立した時から続けている活動が「防災運動会」です。
外国人の方に体を動かしたり実物を見てもらったりしながら防災知識を得てほしい。また留学生と同世代である高校生や大学生にも参加してもらい、同世代交流を楽しみながら地震について学ぶ。そしてその大きなイベントをまとめてもらうのが地域住民から募った運営ボランティアの皆さんです。
たくさんの外国人に参加してもらうイベントですが通訳はおきません。なぜなら本当に地震が起こった時に隣にいる人が必ずしも英語や中国語などの第二言語でサポートできるとは限らないからです。日本語しかない中で情報を得る。周りの動き、声の大きさ、表情。そういったものから「今は非常時なんだ」と理解してもらう。
また一方で日本人側も外国語ができなくてもいざというときに外国人を助けることができるように助ける練習を日本語だけでやってみる。この形をずっと続けてきました。
神戸に長く住んでいる人は「海側」「山側」がすぐ理解できます。しかし来日して間もない外国人が「海側」「山側」を理解できるでしょうか。もしかしたら海側へ走っていくかもしれません。そんな神戸の地形についても学んでもらいます。
AEDの使い方、ハザードマップの見方、非常用持ち出し袋に避難グッズを詰めてみる、そんな練習を各ブースに分かれて地域の人とやってみる。こういったイベントを通して日本人が持っている防災知識を共有していきます。
「交流」「観光」楽しいことばかりではありません。たまたま自分が日本に神戸にいたタイミングで自然災害に遭遇することは十分考えられます。その時に外国人も日本人も関係なく共に生き抜くためにしておかなければならないことは何なのか。
私は阪神大震災の時に11歳でした。自分が体験したことを覚えていて次の世代に語り継げるぎりぎりの年齢かもしれません。被災経験を持つからこそできること。みんなが余裕を失ったときに真っ先に犠牲になるのは社会的弱者の方々だと思います。
社会的弱者をつくらない。取り残さない。その想いを広げる。兵庫区から神戸市から。この想いに共感してくださった神戸市立の小学校の先生に依頼を受け、2019年2月21日神戸市立成徳小学校の小学校6年生に防災授業をしました。
「炊き出しが豚汁だと困るのはどうしてだと思う?」「・・・。」考えたこともない質問だったと思います。
「ムスリムの人が食べられないからだよ。避難所ではレストランみたいに自分の好きな料理は食べられないよね。みんな同じものを食べるよね。でも食べてはいけないものがある人はどうしよう。何を食べようかな。」その問いかけに目を丸くする小学生たち。
私たちは時として「きっかけづくり」にとどめることがあります。みんながマイノリティについて考える。それが多文化共生です。
「ベトナムの料理がおいしかった!」「今日のイベントはおもしろかった!」それもきっかけの第1歩ですが、国際交流をきっかけに多文化共生について考えてもらいたい。それが私たちの願いです。私たちの団体は決して「国際交流」を目的としているのではなく「多文化共生」を目的として活動しています。
やどかりは小さな地球です。多国籍。宗教もさまざまです。そんなメンバーで日々「共に生きて」います。わたしはこのやどかりを通して「共に生きられる社会」をつくりたいです。そんなまちづくりをしたいです。