高橋です。『Cu-Bop』のワシントンDC上陸のための作業に集中していた昨日、複数の友人からメールや電話が殺到しました。皆、口々に「菊地成孔さんのblogが大変なことになってるよ!」「菊地さんのblog読んだか?」と言ってくるので、慌てて菊地さんのblogを読んでみると…ホントに大変なことになってました!
『最高の音楽ドキュメント2本必見』と題したblog、三宅唱・監督の「The COCKPIT」と共に、『Cu-Bop』が必見の音楽ドキュメンタリーとして紹介されています。↓
http://www.kikuchinaruyoshi.net/2015/05/13/最高の音楽ドキュメント2本必見/
ここでの菊地さんの『Cu-Bop』への激賞ぶりがハンパじゃない。長文のblogの中から、かいつまんで紹介させていただきます。
「音楽、特に有色人種の音楽を愛する方には必見です。ワタシの首を賭けてルコマンデ致しますので、必ず観て下さい。音楽の力に打たれて、笑い、泣いて、絶対に感動します。保証します。我が日本からもこうした、掛け値無しに素晴らしい音楽ドキュメンタリーが制作された事は、普通に文化的に誇るべき事だと思います」
と絶賛していただいておりますが、菊地さんならではの『毒』もキチンと盛られています。
「監督の、高橋さんって言う方が、この方カメラマンでもあり、キューバ音楽のレーベルやってたりするんですけど、才能と情熱がある人にありがちな話しなんだけど、あまりにも不器用で、狂った様に商才が無い訳(笑)。
なんで、もの凄いもの作ってるんだけど、伝わりずらいわけ(笑)。特に日本人に(笑)。説明能力のホスピタリティーが、びっくりするほど低いのよね(笑)」
狂ったほどの商才の無さ…この言葉、胸に沁みます。いや、実はウチの家系は代々商売で失敗していて、じいさんはお菓子屋、おやじは八百屋を倒産させて借金をこしらえ、地回りのヤクザに追い込みかけられたりしながら、失意のうちに世を去りました…。菊地さん、僕の商才の無さは家系から来るモンなんです。
なんか、でも、この一文に菊地さん流の愛情を感じました。ダメな弟を見守る賢い兄のような…。そして、後に続く文でこうフォローしてくれてます・
「「もう、そんな事、どうでもいい」ほどに、出て来る人が全員凄すぎる訳。双方のバンドのメンバー言うまでもなく、キューバでパーティーやってる素人さんのパーカッションアンサンブル(まあ、アフリカで言うドゥンドゥンバみたいなものですが)の演奏とか、もう、気が狂うほどヤバいわけ。
ただのテクニックじゃないんですよ。ダメなジャズとか、ダメなクラシックみたいな。「早くて偉いだろう」的なんじゃないの。全身が音楽とひとつに成ってる人たち。楽器と繋がると、肉体も精神も、音楽そのものと同化してしまう、とんでもないリズムとハーモニーとメロディを血肉化させきっている、恐るべき人々な訳」
そして感動の締めくくり。
「でも、本当に、これは素晴らしい映画で、マーケットを中南米マニアに限定する必要まったくないの。K-POPダンス習ってるお姉ちゃんとか、部屋でビート作ってる子とかね、総ての音楽ファンが見るべきだと思います。ワタシいま、ほぼ毎日見てますこれのDVD。皆さんも、日本公開に合わせて、両作とも是非ご覧になって下さい」
菊地さん、『Cu-Bop』の試写用DVD、なんと毎日観てくれているそうです!もうこれだけで感無量ですよ。
そして、ここでレコメンドされてるもう一つの「The COCKPIT」も気になりますね〜。この映画の監督の三宅さんはhpのプロフィールによると、なんと31歳。僕より15歳も若い! この作品、僕も劇場まで観に行きます。
これほど愛情(と少しの毒)を盛り込んだblogを書いていただいて、菊地さん、本当にありがとうございました。次回のこのblogでは、菊地さんに執筆いただいた映画批評文を一挙に全文掲載します。ご期待ください。