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クラウドファンディングは現在77%達成186名約190万円が集まっています。
ご支援心より感謝しています。ありがとうございます。
クラウドファンディングの本文に、いつもサポート頂いている岸先生に応援メッセージを頂きました。
最初に届いたメッセージはA4用紙2枚分。
先生のサンタナ学園を思う気持ちに溢れてる文面で全文UPしたかったのですが、紙面の関係上、先生に「短くして下さい。」とお願いした次第です。
サンタナ学園の日頃の様子、日本で暮らす外国人家庭の子供達の様子も分かるので
こちらに全文をUPさせて頂きます。
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コレジオ・サンタナのこと
岸政彦(社会学者・立命館大学教授)
私がふとしたことでコレジオ・サンタナに出会ったのは、2005年ごろのことです。そのあとも定期的に学生や友人の研究者とともに訪れていましたが、当時所属していた龍谷大学で予算をつけてもらい、2009年ごろから週にいちど、学生たちとともに日本語を教えるボランティアを始めました。4年間ほど続けたと思います。その後、大学の仕事や本の出版などで多忙を極めるようになってしまい、ボランティアは休止していますが、いまでもおりにふれ支援団体に寄付をしています。
私がサンタナに直接関わったのは短い期間にすぎませんが、それでもたくさんの子どもたちに出会いました。教室の子どもたちはいつも笑顔で、賑やかで、おしゃべりが絶えません。みんな片耳でiPodを聞いていたり、ジュースを飲みながらだったり、とつぜん立ち上がって歌い出したり。自由です。一緒に行った学生たちもみんな仲良くなって、言葉もほとんど通じないのに、すぐに友だちになっていました。
何人か、忘れられない子がいます。
Sくんはとてもやんちゃな男の子で、当時小学校の3年生ぐらいでしたが、反抗的で、絶対に私の言うことをきかない、困った子でした。プリントもやらないし、書き取りもしないし、授業も聞いてません。
でも、とてもいいヤツで、授業が終わって遊びの時間になると率先して(いつも授業のあとは、学生たちと一緒に帰るまでの少しのあいだ、遊び時間にしていました)、みんなでサッカーやバレーをしていました。
ある日、いつものようにプリントもまじめにやらずに落書きをしていましたが、ふと私の顔を見て、ポルトガル語で「似てる、似てる」と言い出しました。
誰に似てるのと聞くと、「お父さん」と答えました。
おたがいカタコトの言葉でなんとか会話をして、いまはお母さんと二人で滋賀に住んでいる、ということがわかりました。数ヶ月前、お父さんは仕事の都合で、ひとりでブラジルに帰ってしまったのです。
90年に入管法が改正されてから、何十万人という日系南米人の労働者が日本にやってきました。そして、そのなかの少なくない人びとが、そのまま日本に根を下ろし、ここで子どもを生み育て、家族で暮らしています。もう30年も日本に住み続けている人びともたくさんいます。その多くが低賃金の単純労働者で、職場も生活も不安定です。
Sくんは小さいときに親に連れられて日本に来ました。母国の記憶はありません。ほかにも、日本で生まれ育ったブラジル人の子どもたちもたくさんいました。かれらを受け入れてくれる日本の公立の小学校もあることはありますが、そこでかならず日本語をイチから教えてくれるわけでもありませんし、まして母語であるポルトガル語のまともな教育もありません。こうして、「セミリンガル」あるいは「ダブルリミテッド」という状態になる子どもたちもあらわれています。つまり、日本語ができないのはもちろんのこと、母語のポルトガル語の正式な教育すら受けることができず、「どの言語も」できないまま大きくなってしまうのです。これはとても、とても恐ろしいことです。
こうした状況をなんとかしようと、日本中にたくさんのブラジル人学校が生まれました。そこではポルトガル語と日本語の両方を子どもたちに教えています。でも、政府からの補助金はほとんどありません。みんな自腹です。サンタナの子どもたちも、毎日劣悪な設備のなかで学校生活を送っています。私が通っていたころも教室はみなコンテナで、エアコンもありませんでした。真夏になると室内は40度を超えて、子どもたちは熱中症寸前になっていました。ボランティアのときは毎回、氷とジュースを配っていました。
そして、そういう学校を、コロナが襲ったのです。滋賀の工場で働く親たちも、多くが雇い止めになっています。補助金なしで運営していたサンタナも、いま存続の危機に立たされています。
どうかお願いです。
この子どもたちの笑顔を守るために、みなさんのお力を……!
立命館大学大学院
先端総合学術研究科教授
岸政彦
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Campfire
『子供たちを守りたい!』滋賀県のブラジル人学校の存続のための支援プロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/view/269415