2021/10/30 09:17


(2021年現在ではなく、昨年2020年に行った「勧進キャラバン」についての報告になります。)

令和2年10月3日 (土)
会場:日蓮宗 如意山 妙常寺
http://www.myojoji.com/index.html

第21回目のイベント会場は、神奈川県海老名市にある「妙常寺(みょうじょうじ)」です。住職の本良敬典さんとは面識はなかったのですが、「未来の住職塾」グループでイベント会場の募集をかけたところ、すぐに反応していただきました。写真の通り、本堂に大仏を安置されているお寺です。


鎌倉大仏

前回の栃木県から数日間、それぞれのホームに戻り、神奈川県からキャラバンを再スタートです。関西から戻る前田さんとバイナルマンとは別ルートで、僕は「鎌倉の大仏」に寄ることにしました。実はこれまでお参りしたことがなかったので、新たな発見がたくさんありました。

大きさ自体は台座を入れて「13m」。近代つくられた巨大仏に比べると、思ったよりも小さい気がしましたが、体感としては非常に大きく見えます。例えば東大寺の場合は、大仏殿という屋内にあることで、天井に迫るほどの巨大さに見えます。しかし、こちらは屋外にあるため、その効果が活かせません。

秀逸なのは、大仏までのアプローチ(導入路)。高徳院の入口「仁王門」からでは大仏が見えない作りになっており、何度か道を曲がった先に突然大仏が現れます。大仏の背後に高い建造物はなく、山がそびえるだけ。大仏を更に大きく見せるための仕掛けが入念に考えられています。カンボジアのアンコールワットも同じようなアプローチの効果が計算されているようです。

「鎌倉大仏」
鎌倉大仏殿高徳院  神奈川県鎌倉市長谷4丁目2番28号
https://www.kotoku-in.jp/index.php#guidance


一丈六尺


「祐天上人」の石碑、「与謝野晶子」などの歌碑がいたるところに立てられています。この日はゆっくりできる時間がありませんでしたが、これらを読んでまわるだけでも一日楽しめそうです。ちなみに鎌倉大仏が緑色なのは、銅で作られているためです。銅が酸化すると「緑青」と呼ばれる緑色のサビが生成されるためです。

さて、仏像にも様々な大きさがありますが、どこから「大仏」と呼ぶのでしょうか。これには「丈六(じょうろく)」と呼ばれる明確な規定があり、一丈六尺(約4.85m)以上のものを指します。今回のイベント会場「妙常寺」にある大仏は、まさに「丈六」サイズです。ただし、座像の場合は、半分の2.4m程でも大仏の範疇に入るそうです。僕も大仏に関わるようになるまで、この基礎知識すらありませんでした。

妙常寺

本良敬典 住職


法要と対談


初の鎌倉大仏を堪能したのち、海老名市へ向かいます。
他のキャラバンメンバーと合流し、午前の法事を終えた住職の本良さんに迎えていただきました。早速、本堂に案内していただくと、先ほどの鎌倉大仏にも見劣りしないほどの立派な大仏が!そして、こちらも十分なアプローチのある大きな本堂です。

せっかくの大きな本堂と大仏をうまく活用する方法を考えた結果、本良さんと僕が向かい合うシンメトリーな形で法要を行うことにしました。キャラバンで訪れた会場は、ほとんどが初見の場所だったので、毎回その場でカメラや作品配置、イベントの段取りを決めていきます。

この日は基本的に本良さんに日蓮宗方式で法要を進めてもらい、僕はそれに時折参加する形をとりました。「木鉦(もくしょう)」と呼ばれる木魚のような法具の使い方にも特徴があるのですが、日蓮宗のお経はとてもリズミカルです。そして本良さんはジャズ演奏とのコラボもする方なので、向かいにいながらも思わず聞き惚れてしまいました。

Nam Jazz Experiment
https://youtu.be/ijiyBbi8jnQ


対談では、大仏に関する貴重なお話をお聞きすることができました。

妙常寺では、平成15年の本堂改築の際に、「本堂とは一体何のためにあるのか?」を改めて考え、「お釈迦様のお家」としての本堂にするために、大きなお釈迦様を中心に発想したそうです。そして、まだ設計図もない状態から「もし必要な金額が集まったら、その時に立てよう。」ということで、「一人いくら」のような一律な集め方ではなく、それぞれが出したいだけ出す形をとったところ、なんと1ヶ月で「何億円」という金額が集まったそうなのです。その頃はまだありませんでしたが、まさに「クラウドファンディング的」です。

そして、「いま大仏をつくるとしたら、どんなものがよいか」という問いかけに対し、
コロナ禍というのは、『そもそも』を考える良いタイミング。では、『そもそもの大仏ってどんなものだったのか。』その意義を改めて考えることで、いま作るべきものが見えてくるのではないでしょうか。奈良の大仏も、「一枝の草、ひとつかみの土」を持って参加するように呼びかけられたように、「想いの数、その量が大仏をつくる。」それこそが、大仏のあるべき姿ではないでしょうか。」そう答えてくれました。

他にも、実際に大仏を作られた際の「造立方法」や、具体的な「製作費」なども教えていただき、大仏先輩からの勇気と知恵をいただきました。


西へ東へ


実は、前回の栃木でのイベント後の数日間、「大仏カー」を海老名付近の駐車場にとめることにしました。周辺を見比べて安いところに停めたつもりが、えらく高い金額になってしまっていました、、。駐車場の設定料金には要注意です。

神奈川県海老名市の次は、茨城県。北へ戻る形になります。そして、また神奈川県へとんぼ返りして、その後は和歌山県までいってから、東京へ戻ってきます。キャラバンで特に苦労したのは、この日程調整です。

お寺では毎日のように法事や法要があり、こちらの都合通りに日程を組むことはできません。そして何よりも、この時期は(2020年10月)全国の感染者が減少する一方、東京の数字だけが極端に多く見える時期でした。そのため、できる限り他の県を先にまわってから、東京に入る日程を組もうとしていました。

ということで、次回は茨城県です!

風間天心