前々回の記事「認定NPO法人Living in Peace 難民プロジェクトの目指すもの」の中でもご紹介した、今回のクラウドファンディングの目的でもあるLIP-Learningの現状と今後について、本記事でもう少し詳しくご紹介をしたいと思います。
1 LIP-Learningの誕生
「難民の方が就職をし、経済的に自立をするためには日本語学習が不可欠である」
「にもかかわらず、難民の方が日本語を手軽に学習できる機会が非常に少ない」
このような現状と課題の認識のもと、難民の方が日本語を手軽に学べる機会を作りたい、という思いで生まれたのがLIP-Learningです。学習機会を求めている難民の方やその配偶者の方とともに適切な日本語学習プログラムを探すところから始まり、昨年夏から秋頃、現在実施中のトライアルの形が決まりました。
2 LIP-Learningの現状
昨年夏から秋頃にかけて、LIP-Learningトライアルへの参加を希望する難民の方々を募集し、応募してきた方々にLiving in Peaceの難民プロジェクトのメンバーが個別に面談をして、日本語を勉強したい理由やLIP-Learningの受講を通じて達成したい目標や、その方の日本語習得の緊急性を評価し、Living in Peaceとして支援をするにふさわしい方であるかどうか、またLIP-Learningの目的に適した方であることを確認しました。加えて、Living in Peaceで作成した規約に沿って日本語学習をしていただける方のみを支援することとさせていただきました。その結果、今年1月から2月頃より5名の方にLIP-Learningとして株式会社アルクの日本語学習プログラムを受講いただいております。
学習開始後、5名の方々は順調に当該プログラムで勉強を継続しています。当該プログラムの1コースは、12~20回(1回50分)のオンライン個人レッスンで構成されているのですが、進みが早い方々は2コース目が間もなく終了し、3コース目に突入する見込みです。また、Living in Peace側では、管理画面等を通じて定期的に学習状況をモニタリングするとともに、本年4月には中間面談として5名全員とオンラインでの面談を実施し、日本語学習の継続の意思確認を行うとともに、LIP-Learningで提供しているプログラムの内容に対する要望を確認するなど、互いの意思疎通を図りながらLIP-Learningの提供を続けております。
3 LIP-Learningの今後
現在のトライアルとしてLIP-Learningを受講している5名の方々の受講期間は今夏に終了する予定です。これを受けて、今秋以降はトライアルの結果を踏まえた改善等を行いつつ、LIP-Learningの募集を拡大し、より多くの難民の方々に日本語学習の機会を提供したいと考えております。今回のクラウドファンディングは、LIP-Learningの受講者拡大に伴う費用を工面するために実施することにしました。
今秋以降のLIP-learningでは、現在進行中のトライアルの中で受講生の方からいただいた生の声を生かして、できるだけ多くの難民の方に、またそれぞれの難民の方のニースに応じた日本語学習の機会を提供していきたいと考えています。具体的な生の声としては、
「日本語能力検定試験対策をして欲しい」
「漢字の書き取りなどを見てもらいたい」
などがありました(現在トライアルで提供しているオンラインのプログラムは会話中心の学習のため)。このような要望を踏まえて、Living in Peaceでは、会話だけでなく、検定対策や漢字の書き取りなどにも対応できるプログラムを探したり、限られた予算の中でより多くの人たちに日本語学習の機会を提供したりするための方策を検討するなどしています。
4 最後に
現在のLIP-Learningは、5人という非常に限られた難民の方々にしか日本語学習の機会を提供できておりませんが、次回ご紹介をするように、受講生からは
「このような素晴らしい機会を是非他の多くの難民の方にも提供して欲しい」
という声をいただいています。Living in Peace難民プロジェクトとしては、1人でも多くの難民の方に日本語学習の機会を提供できるよう、今後とも支援を続けていきたいと考えておりますので、ご支援の程を何卒よろしくお願い申し上げます。