「胎内仏(たいないぶつ)の胎内仏」
「勧進キャラバン」でお運びしている「勧進仏像(かんじんぶつぞう)」。
「勧進(かんじん)」とは、寺社・仏像の建立(こんりゅう)・修繕などのために寄付を募ることで、大昔から行われてきた手法です。僕たちがこの「勧進」を行うにあたって、全国から寄付や想いを集めるために作ったのが「勧進仏像」です。
この仏像の制作方法や、意味合いについて、改めてご説明しようと思います。
① 木彫りの仏像(胎内仏)
まずは僕自身 (風間天心) が、一体の木彫りの仏像を彫りました。これが勧進仏像の胎内仏になります。
*「胎内仏(たいないぶつ)」とは、仏像の中に入れられた小さな別の仏像のことを指します。胎内仏を入れる意図は様々で、製作者の想いが込められていたりする場合もあります。
丸太の段階から、ノミやチェーンソーを使って仏像の形が彫り出されていきます。この仏像には明確な名前はありませんが、コロナ禍における「人々の平穏」を一心に願って彫りました。(メインで使っている画像が、その木彫り仏像になります。)
胎内仏の制作模様は、高校時代の友人がYouTubeチャンネルであげてくれています。
② 紙を貼りながら成形(勧進仏像)
次に①の木彫仏像にたくさんの紙を貼り付けていきます。ここで貼っている紙は、全国から届けられた「自粛によって開催できなかったイベントチラシ」と「コロナ関係の記事が掲載された新聞」です。ある程度、大きくなってきた段階で新たな「木彫の顔」を設置します。
この顔が「勧進仏像」の顔になります。これも僕が彫ったものですが、顔がとても似ていると言われます。彫刻の顔は作者に似るという「彫刻あるある」ですね。
さらに多くの紙を貼り付けながら、改めて仏像(坐像)の形になるように成形していきます。
③ 開眼法要(勧進仏像)
こうして一旦完成した「勧進仏像」。
しかし、この段階での仏像には、魂がこもっていません。
皆さんが美術館や博物館で見る仏像の多くは、この魂が抜かれているはずです。(*魂の概念をもたない宗派もあります)仏像に「開眼(かいげん)」という儀式を行なって初めて魂が入るのです。
ご縁のあった四日市にある「高野山真言宗 大師之寺」さんで、開眼法要(かいげんほうよう)を行っていただきました。個人的な想いではありますが、この仏像の開眼は、このお寺の御住職に行ってもらいたかったのです。
④ 全国の想いを集めて膨よかに(勧進仏像)
こうして魂を込めていただいた仏像を、車に載せて「勧進キャラバン」をスタートしました。そして、全国各地で行う「法要イベント」にて、「自粛によって開催できなかったイベントチラシ」や、「コロナ禍に対する想いや願いを書いた紙」を貼ってもらっています。
人々の想いを託されながら、勧進仏像は次第に膨よかになってきています。
⑤ 大仏の胎内仏として格納
これまで33都道府県45箇所の会場にて「法要イベント」を開催させていただきました。
「勧進仏像」は、全都道府県をまわった後、最終的に造立する大仏の中に「胎内仏」として格納されます。(画像は格納される際のイメージです。)
つまり、「⑤最終的に完成する大仏」には、全国各地の想いが込められた「②-④勧進仏像」が胎内仏として入り、その「②-④勧進仏像」の中にも、僕自身の願いが込められた「①木彫りの仏像」が胎内仏としてあるわけです。
完成した段階で、既に何層にも想いが込められた「大仏」には、さらに多くの想いが託されることになるでしょう。
風間天心