令和2年9月21日 (月)
会場:浄土宗 無量山 引接院 正覚寺
http://shogakuji.com/
今日の会場は、青森県青森市にある正覚寺(しょうがくじ)さんです。住職の楠美知剛さんは同じく「未来の住職塾」を受講されていた方で、このあと行く五所川原の小山田さんに紹介していただきました。楠美さんとは初対面でしたが、すごく丁寧に対応してくれました。
前日の夜、フェリーに乗って青森に渡ってきたのですが、宿泊場所を用意していませんでした。大仏カーはもともと「キャンピングカー」として使用できるのですが、後部は作品や荷物で溢れかえっており、人が寝られるスペースはありません。急いでネットカフェを探したのですが、どこも満室です。なんとか空いている場所を見つけましたが、コロナ禍であっても意外に人が動き始めていることを知りました。
運送業の重要性
この頃はもう「GoToトラベル」キャンペーンが始まっていましたが、いく先々の観光地には人があまりいませんでした。一方、車を運転していてもフェリーに乗っていても、トラックだけがいつものように多かった記憶があります。考えてみれば当然のことです。ステイホームをするには、必要なものを配達してもらう必要があります。近くのコンビニやスーパーで問題なくモノが買えるのも、それを運んでいる人たちがいなければ成立しません。
かと言って、運転手さんに直接お話を聞く機会はなかったのですが、運送業はコロナ禍で負担を強いられている業種の一つだと感じています。メディアにもあまり話題に上ってこない点ですが、これは、キャラバンをまわる中でずっと感じていたことの一つです。
お寺には比較的、猫がいる場合が多いです。こちらでもたくさんの猫に出迎えてもらいました。前田さんは猫に目がないので、すぐに見つけて近寄っていきます。
浄土宗のお寺でよくみる光景は、この大量の木魚です。僕も何度か経験したことがありますが、大勢で一斉に木魚を叩くと、不思議な一体感に包まれます。これはうまく言葉で説明できないので、ぜひ一度体験してみてほしいです。
こちらの正覚寺では、コロナ以降、法要に人を呼ぶことを中止していました。
実は今回のキャラバンで訪れた会場でも、同じ対策をとっているお寺がいくつかありました。楠美さんも、「人は呼べないのですが、大丈夫ですか?」と心配してくれたのですが、「ライブ配信も行いますし、何よりも全ての県に実際に訪れて、供養や祈願の法要を行うことを一番大切にしています。」と伝えると、それなら是非一緒に法要をしましょう、と言っていただきました。
ご住職には「コロナの犠牲者供養」「事態の早期終息」「大仏造立による人々の安穏」への祈りを込めて法要を行なっていただきました。その後の対談では「ねぶた」の話になり、ねぶたの発祥は、無病息災を祈るための「精霊流し」であるという説を聞かせていただきました。
この日、正覚寺さんへいく前に、知人の家を訪問しました。
僕がまだ大学生だった頃、青森のアートプロジェクトに参加したことがあり、その際に非常にお世話になった建築家夫妻に会いにいきました。以前、青森で大きな作品を作り、それはご夫妻との共同作品とも言えるようなモノでもあったので、「僕が大仏を作ろうとしている」ことに対しては、他の方とは違い驚きません。むしろ造立方法に対する現実的な相談にのってもらいました。
そんな話をする中で、「ねぶた」を見に行ったら何かの参考になるかもしれない。と勧められ、青森駅のそばにある「ねぶたの家 ワ・ラッセ」という青森市文化観光交流施設へ行くことにしました。この施設へ入るのは初めてです。
そこには、所狭しと「ねぶた」が並んでいます。そしてその中には、造形途中の物も展示されています。次回の祭りに向けた制作中の「ねぶた」です(ちなみに、2020年は「ねぶた祭り」も中止になっています)。「ねぶた」が実際どのように作られるのかを間近で見ることができ、貴重な機会になりましたが、同行した前田さんが異常に興奮しています。他のメンバーの鑑賞するスピードと全く違います。これは、彼が「何かアイデアを発想しはじめている」時に見せる姿。案の定、会場をでた後に「この『ねぶた』の造形方法を大仏に生かせるかもしれない」と言いだしました。
ねぶたの家 ワ・ラッセ
http://www.nebuta.jp/warasse/
青森市でみた「ねぶた」に触発され、前田さんの中で「大仏造立の方法」が急激に練り上がっていきます。
そして、この日の内に、同じ青森県にある五所川原という町へいきます。ご存知の方も多いかもしれませんが、五所川原といえば「立佞武多(たちねぷた)」があります。次回は、僕自身がそもそも大きな作品をつくる「きっかけ」の一つにもなった巨大な造形物をご紹介いたします。
風間天心