2020/03/11 18:00

我々のプロジェクトにご関心を持って頂き,ありがとうございます。

いつもはゼミ生を中心とした投稿ですが,今日は東日本大震災から9年目の節目にあたる日ですので,プロジェクトの代表で教員の大嶋から、二つのメッセージをお送りしたいと存じます。少し長くなりますが、宜しければおつきあいください。 

一つ目は,なぜ我々のゼミが「秋保で新たなシードルの商品開発&プロデュースに携わることになったか」です。

このプロジェクトの最終目標は「東北の復興支援・地域活性化」です。地元の大学人として,これまでの知見・経験を活かしつつ,地域ニーズにも合致した「地域の魅力発掘・発信→観光促進→地域活発化」をアプローチとして選びました。

秋保温泉に「舞台」を求め、宮城大学に着任して2ヶ月後の2019年6月,秋保ゼミ合宿に秋保ワイナリーの毛利社長をお招きして初めてお話を伺い,我々のゼミとして「秋保応援策」を検討いたしました。その結果,「①Instagramなどデジタル活用での秋保・宮城の魅力発信」「②若い女性に人気があり,地元の農家支援にも役立つということで、新たなシードルの商品開発&プロデュース」という2つのアプローチを含んだ「地域連携プロジェクト」を始めることにしました。

大嶋ゼミの活動の基本は「リアル(現場重視)xデジタル活用のハイブリッド」と「実践を通じてリーダーシップを磨くこと」です。そのため6月末にアキウ舎の協力を得て,シードルにマッチする特別料理のマリアージュ(食べ合わせ)を経験したり、観光客の視点で秋保のサイクリング体験をしてみたりしました。

《2019年6月から秋保で活動開始》

7月に勾当台公園で開催された大きなイベント「バル仙台」では,秋保ワイナリーのブースをお手伝いしながら,出展している各地のシードル生産者にインタビューしたり、試飲をさせて頂いたりして,プロデュースすべき“味”の方向性を探りました。また,ゼミ生達はシードルとの食べ合わせの研究も続けました。

《イベントの“場”を活用して,各地のシードル生産者にインタビュー》

このような実体験をベースに,秋保と宮城の魅力を大学生の目線で発掘してInstagramで発信し,改善のためのデータ分析にも取り組んだりしています。

《秋保応援のInstagramを立ち上げ》

試行錯誤しながらも活動を重ねて,本格的に「新たなシードルの商品開発・プロデュース」に取り組むことになったのです。大学での学びを活かして,Instagram運用に加えて,400人分のWebアンケート調査,公式サイト「MYU Cider」(※MYUは宮城大学の略称)の制作,Facebookの活用など,企業人さながらの「リアルxデジタルの実践的マーケティング」に取り組んでいます。

《ゼミ生が制作したプロジェクト公式サイト「MYU Cider」》

二つ目は,このプロジェクトの「大学教育として“意味”」についてです。

本プロジェクトのように,事業目的を掲げて地域と連携したプロジェクト形式での取り組みは「地域連携型PBL(Project Based Learning)」と呼ばれます。つまり,「地域と連携したプロジェクトを通じて(実社会や仕事を)大学生が学ぶ」ということです。

私は長い間,ビジネスの世界に身をおきつつ,経営リーダー人材育成の研究と実践教育に取り組んできました。それを基にした学部ゼミでの教育方針がこれです。

《大嶋研究室の学部ゼミの教育方針 (抜粋)》

優れたリーダーを育てるには,戦略的思考力に加えて,「リーダーシップ」を高め,「やり抜く力」を培うことが必須です。特に若い間こそ,“多様で良質な経験を積んで,これらの能力を高める”ことが大切になります。

幸いなことに,今回のプロジェクトでは、地域の素晴らしい多様なパートナーに恵まれ,社会的価値が高いテーマに取り組めています。

また,リーダー人材として成長するためには,体験するだけでなく「具体的に見える成果を生み出す」経験も必要です。今回のクラウドファンディングへの挑戦は,そのような意味もあります。

学生達はクラウドファンディングに初挑戦。実際にやってみるとなかなか思い通りにはいかず,まさに“トライ&エラー”を繰り返しながらも”大切な気づき”を得つつあります。また,学外の多様な関係者と連携・交流する中で,自らのプロジェクトとの関わり方やリーダーシップの不足面を真剣に見直すという得がたい機会にもなっています。

 

私は「若い年代からリーダー人材を育成することこそが,復興支援・地域活性化への道」だと考えます。これからも,このような“試み”を暖かく応援して頂ければ幸いです。

【大嶋淳俊 研究室サイト】 https://oshima-lab.wixsite.com/research

《アキウ舎にて毛利さん達と共に》