2015/10/23 23:04
『朝日の中の黒い鳥」『孤独な帝国 日本の一九二〇年代」
ポール・クローデル著
『炎の町を横切って』『9月1日の関東大震災』より
ポール・クローデルは,日本大使として1921年に11月19日に着任した。その翌月の12月8日,翌年の4月20日に大きな地震に遭った。節約のため再建が許可されなかったフランス公邸は,強震により壁に「ひび」が入った。クローデルは,大使館事務所のために新しい建物を準備し,「ひび」の入った公邸は,支柱で囲み補強をする許可を取った。
9月20日にフランス外務省宛の「報告書」を電報で送り,その冒頭に感謝の辞を述べている。『もしも閣下が大使館事務局の新築費用として10万フランの予算を私に許可して下さらず,大使館休館の補強工事を行っていなかったら私たちは,全員助からなかったでしょう。新築の建物はガラス1枚もわれず,支柱で補強した旧館は海に漂う船のように地震に耐え,瓦と漆喰の壁はすべて崩れ落ちましたが,主要部は持ちこたえました』。周囲の地面全体が怪物ように,生命の或る生き物のように動くのを見,人間の建てた建物が倒れてゆく…。
クローデルは,フランス人居留民とフランス関係施設の多い横浜に向かいます。クローデルは,2度の地震で横浜の被害の大きさを予測できたのです。





