2015/12/31 21:06

はいたい、橋本です。
新暦では今日が大晦日、1年の終わりです。とりあえず水回りだけはと 申し訳程度の掃除をし、年賀状もこれから。
さて、今年はどんな年でしたか? 去年の自分を越えることが出来ましたか?
私はようやく前年越えしました! 今年は、ようやく、ようやく、一歩踏み出した年でした。揺るがない私を引き出してくださった皆様、陰ながら支えてくださっている皆様に感謝いたします。

そして今年最後のレポートは芭蕉布のお話でも…
芭蕉布を知る前、東京に住んで居た頃から知っていた沖縄民謡『芭蕉布』。

海の青さに空の青 南の風に緑葉の 芭蕉は情けに手を招く 常夏の国 我した島 沖縄(うちなー)
首里の古城の石だたみ 昔を偲ぶかたほとり 実れる芭蕉熟れていた 緑葉の下 我した島 沖縄(うちなー)
今は昔の首里天じゃなし 唐ヲゥーつむぎ はたを織り じょうのうささげた芭蕉布 浅地紺地の 我した島 沖縄(うちなー)

今でこそ、真っ青な空を背に、太陽の日差しを受け、芭蕉の葉が風にそよぎ、重なり合う葉の陰がまるで万華鏡のように変わっていく光景を思い描きながら歌うことは出来ますが、当時の「芭蕉布」を知らない私は、松尾芭蕉という人物名が頭を離れないでいました。

那覇に移住してからの、とある工芸展で「芭蕉布とは芭蕉というバナナのような植物から繊維を採り出し、それを糸にして織りあげた布」ということをようやく知り、その会場で、繊維を繋いで糸にする『苧績み(うーうみ)』という作業を初めて見ました。
一畳足らずのスペースに座り、その人は左側にある繊維を取り、割き、黒い布をかけた膝の上で繊維と繊維を結び、右側のカゴに糸となった芭蕉をフワッフワッと納めていく。
この時代に?という衝撃と、清らかな空気感。
あの日を境に沖縄の染め織りについてモーレツな探求心が芽生えたのです。


芭蕉はまず育てるところから始まります。良い繊維を採るために芭蕉畑の手入れは欠かせません。200本から1反といわれる芭蕉布。バナナのような木から原皮を採り出して灰汁で煮、繊維が採り出され、その繊維を結んで糸にしていきます。幅40㎝弱、約15mの反物を織るのに、いったい何度結ぶのか。かなり簡略していますが、全く気の遠くなる作業の繰り返しです。
繊維を結び、糸になったのがこちら

艶やかな糸、生まれたての白い糸。決まった動作でほぼ決まったスピードで繋がれていく糸。これが人の成せる技なのか? 人の手が産み出したものに見えますか? 結び目がどこにあるかわかりますか?

結ばれたその糸は、縒り(より)をかけたり染められたり、いくつもの工程を経てようやく機織りの日をむかえます。芭蕉は乾燥を嫌うので、湿気を与えながらの織り作業。人の感覚でコントロールし織り上げられます。織りあがった布は再度 灰汁で煮立て、乾かし、結び目を押さえて目立たなくするために、伏せた湯呑みでしっかりとこすられます。
そうして織り上がったのが、先日のバッグ。

 

この所々に プツッ、プツッ っとあるのは繊維を結んだ結び目。この不規則さと色の変化。焼き物では「景色」という言い方があるようですが、まさにそれ。
そんな味わい深い芭蕉布の無地で布服をつくりたいなぁと思う今日この頃です。

人前で話すことも、文章能力もまだまだですが、自分が変わろうと思わない限り何も変わりません。
私らしく変われるように頑張ります!

ご支援をいただいている皆様、ありがとうございます。
応援をしていただいている皆様、ありがとうございます。
見守っていただいている皆様、ありがとうございます。
良い新年をお迎えくださいませ。