プロジェクトの対象である栗東市には現在123の自治会があります。プロジェクトの成果物となる書籍では、現在の自治会単位だけではなく、昭和末期の民俗調査時点での自治会(集落)の状況も比較に用いています。
とはいえ、この30年間でマンション自治会を中心として自治回数がかなり増えています。
そこで、フリーGISソフト「MANDARA」を用いて、それぞれの時点での左義長実施状況を地図に示してみました。GIS(Geographic Information System)は地図上にデータを表現するシステムです。
ただ、実は自治会というのは境界がかなり曖昧です。飛び地的な状況が生じることも少なくありません。ですから、厳密に正確な地図というのは描きようがありません。それでも今回はかなり細かな境界が描けています。
この作業にあたって、自治振興課と栗東歴史民俗博物館から境界線情報の提供をいただきました。それをもとにコンピュータ上で地図データとしてトレースして整えました。
どちらの時点でも「不明」な地区があるのは残念ですが、地図を見るだけでもわかることは少なくありません。
(1) 30年間で自治会が増えた(=地区が細分化された)
(2) 自治会数は3倍近くなっているが地図ではそこまで多くなったようには見えない(=マンション自治会など地図上に示される面積がきわめて小さいものが多い)
(3) 昭和末期には左義長を「実施していない」ことが明らかな地区は中断の1件を除き一つもない
(4) 過去に実施していたにもかかわらず「経験なし」としている地区もある
(5) 現在では既に中止にいたった自治会も少なくない
などなど…
書籍には写真だけではなく、こうした地図も出てきますのでお楽しみに。
(このレポートに貼ったものは作成中の段階ですので書籍では異なる場合があります)