2019/03/05 19:44

今回は切り絵作家・濱谷宗慎の作風の変遷についてお話したいと思います。作品を制作しているうちに、自らの思いが芽生えたり、いろんな切り絵作家さんとの出会いによって、作風が変わっていき、そして今でも変化は続いています。

 

【初期の作品】紙を切って、絵の具で着色

最初は下絵を描いて、それを黒い紙に重ねて切り、出来上がったものを台紙に貼って、絵の具で着色していました。切り絵も全部の太い線が繋がったスタンダードな切り絵作品でした。

『月下桜笛』切り絵を始めた初期の作品。

 

【中期の作品】紙を重ねて色を表現したくなる

作品を創っていると、「切り絵らしさ」というのをだんだん出したくなって「せっかく紙を使っているんだから、色も紙を使って表現したい!」と思うようになりました。絵の具は使いますが、そのうえに紙を貼って、「紙の貼り重ね」による色の表現を追及するようになります。

『郷土礼賛 KASHIWARA HEAVEN AND PEOPLE』第7回柏原ビエンナーレにて、柏原市は太平寺にある観音寺というお寺で展示した作品。

この頃から、テーマを設定して作品を制作するようになります。「郷土礼賛」シリーズは私の故郷・河内を人や神話など、多面的な角度で表現した切り絵作品です。この郷土礼賛シリーズはこれからも創っていきたいテーマの一つです。

 

【一番大きな変化】切り絵そのものを光と影で表現する

自分の作風の中で一番大きな変化をもたらしたのが、他の切り絵作家さんとの出会いです。『SAMURAI』という日本全国から集結した切り絵グループの皆さんの作品を見せていただいた時は、とてつもない衝撃でした。平面表現に限らず、皆さん、立体切り絵やインスタレーションなど、いろんな方法で「切り絵」というアートジャンルの見せ方を追及されていました。そこで一番心に残った表現が切り絵を「光と影」で魅せるという手法です。立体額に切り上がった作品を入れ、光を当てて、作品本体とその影を表現します。

『月光に吠える』いろんな切り絵作家さんの作品を見て、刺激を受けて出来上がった作品。

その後、私自身『SAMURAI』に参加させていただき、昨年は山梨県富士クラフトパーク内にある「切り絵の森美術館」で作品を展示させていただきました。

 

私の作品はまだまだ変化していきます!切り絵はもちろん、いろんなアーティストの方の作品を見て、刺激を受け、これからもアーティストとしての研鑽を重ねていきたいと思っています。