2017/06/09 13:38
今回、祖父江佳乃師の高座説教は毫摂寺に伝わる猪から幼き子を守ったのゑ女の逸話を基に行う予定です。
大怪我を負いながら幼き子を身を挺して守った乳母ののゑ。
昭和初期に毫摂寺を訪れた与謝野晶子は
「おもへらく釋清心もゐのししもいまはほとけの御弟子ならまし」(与謝野晶子)
という歌を詠みました。
乳母という使命を担ったのゑと、雪が降って食べ物がなく生きるために 里に下りてきた大猪。猪に子がいたかも知れません。ここには善も悪もなく、命と命のまことに悲しい出会いがあるだけです。晶子はそのことに思いを致して、 「のゑも猪も、いまはお浄土で仏さまのお弟子になっているでしょうね」と詠っているのでしょう。