今回は、少し時間をおいて、刻々と変化する被災地からのニーズをやや客観的に見ながら、今後、どのような支援が出来るのかを考えてみました。
引き続き、nunotech代表でFM桐生でも仕事をする小保方が、前橋市社会福祉協議会の高山さんにお話を伺いました。
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小保方(以下、小):前回のレポートから日が立ち、いろいろな情報が出てきました。支援に関する情報以外で私が気になったのが、「熊本地震のこの後」みたいな切り口の記事です。この地震の影響から、南海トラフ地震や原発への懸念など、専門家の記事が出ています。こういう記事が避難者や支援者にもたらす影響みたいなものはあるのでしょうか?
高山(以下、高):正直、今後のこととか、予想とか、あまり気にしないですね。確かに、いろいろと情報は出ているけど、限られたソースを見て、その中で判断しています。 支援の方向性などについても、いろいろと出てきますけど、それぞれの立場で出来ることを、今有るリソースで粛々と進めて行く、ということになります。
小:支援に対しての民間の動きも早くなりましたね。
高:東日本大震災で支援の経験があった人、そういう場面でのある種、成功体験みたいなものをした人が多くて、“早く関わりたい”という思いを持つ人も多かったのではないかと思います。
小:そういう善意みたいなものは、Facebookのようなツールがあることで、確かに、可視化されていたように思います。
高:“早く関わりたい”という気持ちと、実際にボランティアが参加しやすいゴールデンウィークなどのボランティア側の「参加ニーズ」と、余震の減少や応急危険度判定(後述)の進行によって増えてくる「活動ニーズ」の発生にギャップがありますね。
小:なるほど。ところで、災害が起きてからの被災地でのニーズはどのように変化していくのでしょうか?
高:まず最初はなんといってもレスキューです。近隣住民が助け合う段階です。
小:阪神淡路大震災から言われていますが、助かった人の7〜8割は、ご近所の人に助けてもらったようですからね。では、その次の段階は?
高:次は、避難所での生活ニーズです。被災した人たちが自宅に住めなくなり、避難所などで生活するようになります。そうすると、何が足りない、何が足りている、というところに始まり、食事やトイレ、それらをどのように行き渡らせるかという点です。
小:物資はあるけど渡らないとか、仕分けや配送にかかる手間とか、そういう部分ですね。私の知り合いでも避難所でサポートに回っていた人は少なくありません。
高:そういう段階でもう1つ、並行して現地での応急危険度判定が始まります。人命にかかわる二次的災害が発生することを防止する目的で、建物への立ち入りなり、周辺の通行への注意喚起を促しています。熊本市では、16日の12時に実施本部が設置され、20日には、熊本市と益城町で調査した半数が、「危険」判定だったと言われてます。
小:判定することで支援にはどう影響があるのでしょうか?
高:ボランティアの受け入れ準備とも言えます。ボランティアが来てケガをさせてしまうわけにはいきませんからね。ある程度は安全性が確保されていないと、片付け等もできませんからね。
小:なるほど、その判定をもって、片付けなどのボランティアを受け入れる準備が出来る訳ですね。
高:そうです。 その後にようやく、片付けニーズが生まれてきます。ここに至るまでですが、今回のように余震が多いといつ受け入れを開始出来るのか判断するのが難しいところなんです。 今回はゴールデンウィークと少しずれています。これからいよいよ現地では、人海戦術で片付けをしていくフェーズに入ってきます。これが先ほどお話した、参加ニーズと活動ニーズのギャップです。
小:ゴールデンウィーク明けは、大学を始めとして学校も始まっていますから、地元の学生ボランティアもずいぶん減るでしょうね。
高:そうなんです。学校の再開は、ボランティア不足に影響しますね。 なので、ここから個人で動ける人より、組織的に動ける人が必要になってきます。 実際、夏休みまで祝日も少ないですから、自己責任で、食べるところ、泊まるところを用意できて動ける個人は、これから不足していくでしょうね。
小:なるほど。その後はどのように変化していきますか?
高:片付けが進めば徐々に、住宅の改修や仮設住宅や仮住まいの場所への引越しなどが始まります。そうなると、今度は、孤立防止などの生活支援のフェーズになります。
小:避難所だけでなく、避難した先でも、孤立しないような支援が必要になるんですね。 ということは、今の段階は、片付けニーズから生活拠点変更に伴う引越しあたりになるでしょうか。
高:そうですね。現地で活動するボランティアの中にはテクニカルボランティアと呼ばれる方々がいます。重機等を使った家財の救出や、道路等の啓開、倒壊危険性のある構造物の除去や補強による安全確保などが主な活動ですが、人海戦術的な活動と連携しながら活動しています。危険とみなされているお宅でもこうした方々との連携で安全に作業ができる状態を作ることができたりもします。家財の救出や家屋片付けなどでは最後は物理的な人手が必要になりますね。
小:群馬と熊本だと、ちょっと離れ過ぎてますよね。ボラバスを出すというのも難しい気がします。
高:そうなんです。交通費や時間などのコストをかけてバスを1台出すのであれば、その費用で他に出来ることがあるんじゃないか?という議論になります。離れたところから出来ることはまた別にあるのかなと思います。(つづく)



