2013/06/14 11:07
 当時6軒13人、半数以上が70代のおじいちゃんおばあちゃんの池谷集落との出会いは衝撃的でした。そこにあるのは、山と農に生きる人たちの強いこころと広い人間性、そして次世代に集落を繋げたいという未来への希望でした。冬には4m近くも雪が降る豪雪地帯。だからこそ「和」と「協調」が大事にされ、おおきなお世話を焼いて焼かれる、地域がひとつの家族のような生活をしていました。  現代は何百年と変わらずに続き守られてきたものが、たった数年で変化し、淘汰され、物質が交錯しています。社会が進みすぎて、一人でも生きていけるような錯覚にも陥ってしまいます。しかし集落では目に見えない何かがいまも大切に守られ、くらしには常に自分以外のものが寄り添っていることを教えてくれます。そうだ、消耗、消費されてゆくものを作るよりも、普遍的に大切なものを当たり前に大切にしたい、と思いました。  もう一つ、私の価値観を変えたのは、自分への向き合い方でした。私は小さいころからスポーツもよくし、よく食べ、太りやすい方だったので、女の子にしては割とガタイのいいほうです。それがずっとコンプレックスで、女の子らしい華奢な体に憧れていました。中学校からいろんなダイエットもしました。全く食べなかったり、白米を抜いたり、キャベツだけ食べたり、痩せるサプリメントを飲んだり…。それでも痩せては太っての繰り返しでした。家族やまわりからも「痩せたらかわいいのに」「また太ったなぁ」あげくの果てに「痩せたら付き合う」と言われると、私は確かにここにいるのに、「今」の私は誰からも受け入れられていない気持ちになりました。私はどこにいるのだろう?そして雑誌に載っている流行のカワイイ服を着ても、丸い体だとかわいく着こなせなくて、鏡を見るのも嫌でした。あの子のようになりたい。痩せないと私は「私」ではないのだと、その乖離で苦しんでいました。 食べることは罪で後ろめたく、結果、過食と拒食の狭間で、高校を何ヶ月間か(ぐれて?)行かなくなったこともありました。そんな心を埋めるように、東京のブランド服を来て、高級ブランド品に身を固めて、ピアスをいっぱいあけてみたり、危ないバイトしたり、そしてまた消費して…つまらないプライドを保っていました。